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nキーロールオーバーとアンチゴーストに対応、コンパクトでPCデスクのスペースも有効活用

7580円でもゲームプレイに必須な要素はしっかり踏襲、上海問屋の静音赤軸採用コンパクトキーボードが面白い

2022年05月11日 16時00分更新

文● BRZRK 編集● ASCII

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「DN-916082」

 ゲーマー向けと謳う製品は多種多様なものが存在する。中にはゲーマー向けのサプリメントだったり、デスクや手首のサポーターだったりと、本当にバラエティー豊かな品揃えになってきた印象だ。

 とはいえ、ゲームを操作する際に使用する入力デバイスがゲーマー向けの製品としてのコアであることは変わっておらず、日夜さまざまなメーカーがゲーミングデバイスとしてマウスやキーボードを研究・開発して世に送り出されている。

 その中で今回紹介したいのは、上海問屋が発売している日本語配列の73キー コンパクトメカニカルキーボードの「DN-916082」だ。この製品はWindowsのクラスドライバーで動作するため、面倒なドライバーや設定用ソフトウェアの導入が必要がなく、パソコンと接続したら即利用可能と、手間いらずになっている。

デスクを広く使えるコンパクトなボディー

 本製品の注目すべきポイントは、見た目からもわかるとおりコンパクトさだろう。省スペース化を果たすためにテンキーレスにする製品は数多くあるのだが、本製品の場合はファンクションキーをナンバーキーと、HOMEボタンなどの一部のキーをタイプキーと統合させることで、さらなるコンパクト化を実現している。

 では、統合されたキーはどうやって利用するかというと、キー配列の右手前側にあるFnキーと統合されたキーを同時押しすることで利用が可能になる。例えばFnキー+1を押せばファンクションキーのF1の入力となったり、Fnキー+OでPrintScreenキーにといった感じだ。

 音量操作やメディアコントロール用の組み合わせも用意されているので、わざわざキーボードから手を離してマウスで操作せずともキーボードのみである程度の制御ができるという点は注目に値するだろう。

 サイズはおよそ幅337×奥行104×高さ37mmとかなり小さいため、デスク上の空きスペースをかなり確保できる。この空いたスペースをどう使うかは人それぞれだが、より大きなマウスパッドを設置できたり、メモ帳を置いて会議しながらメモ書きできたりと、メリットがあるのは確かだ。

 基調色はブラックで、キートップは同色のつや消し加工がされていた。その肌触りは筆者の所感で恐縮なのだが、すごく肌触りの良い表面といったらいいだろうか。ただのプラスチックのカリカリした表面とは異なり、ほんのわずかに柔らかさを感じさせるつくりになっていた。

 キートップの裏側(キースイッチ側)に白色のLEDが点灯するギミックが内蔵されており、キートップにある文字部分が透過されて発行する仕組みとなっている。

LEDの発光パターンや強弱は調整可能

 続いて底面部も見てみよう。底面部には四隅に大きめの滑り止め用ゴムが貼り付けられていて、盤面から約1mmほど突き出すような高低差があり設置した際にこの4点で支えてくれる。筆者のPCデスクはやや滑りやすい表面なのだが、このゴムがしっかりと効果を発揮してくれたので、多少横方向からの力が加わったとしても大きくズレるようなことは一切なく、アクシデントが生じることもない。

本体底面。四隅に大きめの滑り止め用のゴムを備えている

 そのほか、底面部にはディップスイッチとUSB接続端子が配置されている。このディップスイッチには3つのスライドスイッチがあり、ON側へと突起をスライドさせることでキーの割り当てを入れ替えられる。内訳は、1をONにするとCapsLockとCTRLキーの入れ替え、2をONにするとWindowsキーと左ALTキーの入れ替え、3をONにするとWindowsキーとFnキーの入れ替え……といった感じだ。

キーの割り当てが変更できるディップスイッチ

 そしてUSB接続端子は盤面から少々凹んだ場所にmini Type-Bの端子があり、ここに付属品のUSB 2.0ケーブルを差し込みパソコンと接続することで、利用可能になる。なお、USBのケーブル長は実測約165cmと結構な長さがあり、利用するパソコンと多少離れていても接続に関しては問題ないだろう。

ケーブルを埋め込む溝があるので、設置する際にケーブルのせいでちょっと浮いてしまうということもない

 キーボード奥側(後側)にある2つあるスタンドはチルトスタンドと呼ばれている。このチルドスタンドは、キーボードに角度を付けて利用するためのものだ。こちらに関してはスタンドを利用していないときのキーボードの傾きが約4.5度で、スタンドを立てると約11.5度と結構な差が生じる。どちらがベターなのかという点については利用者の椅子やデスクの高さによって違いが生じるので言及はできない。実際に使用して自分に合っているほうを選択するといい。

角度調整が可能なスタンドを備える

好みに合わせて利用しよう

nキーロールオーバーとアンチゴーストにもしっかり対応
スイッチは静音赤軸の「TTC silent red keyswitch V3」を採用

 ゲーマー向けのキーボードとなると重要な要素がいくつかある。1つ目はnキーロールオーバーだ。これはキーボードが複数キーの同時押しに対応している場合は「nキーロールオーバー対応」といった感じで呼ばれることが多い。複数のキーを同時押ししながら遊ぶことが多いPCゲームではとくに重要視されているのだが、これに対応していないと2つのキーを同時押しするとほかの入力が無視されたりといったことが起きる。

 具体的にいうと、右方向と前方向の入力をして斜めに移動しながらジャンプをしたいというとき、斜め入力として利用している移動キーで上限の2入力を使い果たしてしまい、ジャンプの入力が受け付けられないといったトラブルが生じる。そのため、ゲーマー向けの製品ではnキーロールオーバー対応かどうかが重視されるのだ。

 本製品はどうかAqua Key Testを使用してテストしてみたところ、ゲームで使用するようなキーを可能な限り同時押ししても難なく反応していたため、ゲーマーの求める基準のひとつはクリアしていると判断していいだろう。なお、誤入力によるミスを防止するためのアンチゴースト機能も搭載しているので、鬼に金棒といったところだ。

同時押ししているキーが濃い色で表示されている。問題なくゲームに使用できるはずだ

 スイッチは2021年5月15日にリリースされた静音赤軸の「TTC silent red keyswitch V3」を採用している。そのため打鍵時にカチカチとしたクリック感はないが、適度な押し返しをしてくるためキーを押している感はしっかりと感じられる。

静音赤軸の「TTC silent red keyswitch V3」を採用

 静音スイッチということで打鍵音もかなり小さめで、実際にボイスチャットを使用しながら友人とPCゲームで遊んでみたところ、打鍵音を拾うことはほとんどなかったと教えてもらった。このことからも静音性については優秀な部類に入るのではないだろうか。

 耐久性についても公称値で5000万回まで耐えられると記述されているため、酷使しまくるゲーマーでもそうそう壊れることはないはずだ。

 この静音スイッチは45±10gfと押下に必要な荷重はかなり軽めで、アクチュエーションポイントも1.9±0.6mmと余分なストロークを極力省いた仕様となっているので一瞬一瞬を争うようなゲームを遊んでいる人でも問題なくあつかえるだろう。

 以上、DN-916082をチェックしてきたが、かなりコンパクトなのでフルキーボードに慣れている筆者が本製品に慣れるまで若干の時間がかかった。しかし、体が覚えてしまうとFnキーとの組み合わせもとくに意識せず使用することができ、快適に操作できた。

 実際にこの原稿も本製品を使用しながら書いているのだが、とくにコレといった不満もなく書けてしまった次第だ。

 展開の素早いFPSや、ショートカットキーを多様しまくるMMOやRTSといった異なるジャンルでも問題なく本製品はその力を発揮するだろう。ただし、テンキーの利用が必須となっている一部のタイトルを遊ぶ場合は、本製品は合わないためその点は注意してほしい。

 また個人的には、天板からスイッチが飛び出ているため掃除がしやすいのも気に入っている。エアダスターなどでシュシュッとほこりを吹き飛ばすことができるのでクリーニングは本当に楽だ。

 ハードコアゲーマーの要求する水準にも達している本製品だが、7580円とかなり手頃な値段で販売されている。新たにゲーミングキーボードの購入を考えているのであれば、選択肢に入れてみてはどうだろうか。

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