ラーメンWalker発!「未来を輝かせるラーメンストーリーズ」第12話
『つけめんTETSU』創業者小宮一哲とラーメン界の仲間たちで創る、旅の思い出ラーメン
2022年05月12日 12時00分更新
ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。『つけめんTETSU』創業者・小宮一哲がGWスペシャルとして4月29日~5月2日に「理想のサービスエリアのラーメン」、5月6日~9日に「理想のロードサイドのラーメン」と2部に分けて出店。TETSU独立者など仲間たちと作る前半のラーメンと、『ソラノイロ』宮崎千尋店主と一緒に立ち上げた『ラーショマルミャー』からラーメンWalkerキッチン限定ラーメンを提供した。今回、錚々たるメンバーが集結した理由とは? 出店で創り上げたラーメンの裏側など、あの小宮さんに伺った。
大切なTETSU仲間と思いを共有して、一緒に作った懐かしの東京ラーメン
小宮一哲と言えば、千駄木で『つけめんTETSU』を創業し、資本金300万円で始めた10坪の店を、都内を中心におよそ30店舗展開するほどの人気店に成長させた男だ。そして、創業から8年後に15億円で売却し、「企業価値を500倍にした男」とラーメン界のレジェンド的存在として知られている。一時、ラーメン業界から離れたものの、ラーメンへの熱い想いは消えてなかった。再び『あの小宮』『伊蔵八中華そば』『釜玉中華そばナポレオン軒』『ラーショマルミャー大泉学園』など、いくつもの新ブランドを立ち上げ続けている。
今回、小宮さんが作るラーメンのひとつは「理想のサービスエリアのラーメン」。GWにちなんで、旅行の思い出を振り返るようなラーメンがテーマだ。「また旅行したくなるような、あの時サービスエリアで食べたラーメン美味しかったねっていう。そんな旅先で食べたラーメンの思い出が、九州だったら豚骨ラーメンだし、北海道だったら味噌ラーメンとか、僕もいろいろあるんですよ。でも、北海道のラーメンだったら北海道の店主さんが作ったほうがいいし、豚骨ラーメンだったら九州のお店がきて作ったほうがいいじゃないですか。僕の店は東京なんで、僕がどういうラーメンを作るべきか悩みましたね。東京ラーメンって何かなって考えてるうちに、東京にサービスエリアってないなって。だから、東京にサービスエリアがあったら、こんなラーメンかなっていうのを作ろうと思ったんです」という小宮さんが目指したのは、昔懐かしい東京らーめんだ。
この東京らーめんを、小宮さんは『つけめんTETSU』を独立した仲間たちとともに創り上げた。「最初に仲間たちと一緒にやろうと決めたんですね。あんまり表立っては言わないけど、我々もコロナで大きなダメージを受けてますから、弟子たちも独立して大変だろうなと。それなら彼らを巻き込んでイベントに参加したほうが、彼らにもメリットがあるんじゃないかと思って。この企画の大きなコンセプトの“ラーメンで日本を元気に”ってところまではいかなくても、近い仲間たちは元気にしたいなと。麺も村上朝日製麺所に依頼しましたが、そこの谷口豊は同級生で、僕も仲間たちも取引してる人が多かったんです。仲間で作りたいっていうところで、すべてうまくまとまりましたね」と小宮さん。
小宮さんは、仲間たちとコンセプトを共有しながら、そこからどういうラーメンがいいか皆でアイデアを出しあって、ラーメンのイメージを固めていった。スープは小宮さんが担当し、チャーシューは小宮さんと現『TETSU』の小嶋さん、ワンタンも小嶋さんが仕込んだ。「イベントで厨房に入るメンバーもいますが、店主が厨房に立ってラーメンを作ってる店が多いんで、イベントの現場には来れない人もいますが、アイデア出しに関わったり、応援してくれたり」と、メンバーそれぞれの関わり方で、今回の出店で初めてTETSUの仲間たちが集結した。
厨房に立つ小宮さんとTETSUの仲間たちが、次々とラーメンを提供していく。「一緒に厨房に立つのは、それぞれ独立以来なのに、僕がチャーシューをつかんだら、次の人がメンマをもって待ってるとか、ラーメン作りながらやりやすいって感じる。10年ぶりくらいの仲間も、時間軸が一緒っていうかね」と、小宮さんは嬉しそうに語る。「朝礼でも話したんですけど、僕的には同窓会みたいな気持ちでイベントに参加させてもらってます」。独立しても、TETSU時代の小宮さんとベースは同じ。受継がれたDNAが阿吽の呼吸を生む。
先人が伝えてきた昔懐かしいラーメン。その美味しさの秘訣は職人の技
出店スタートに食材に関する小宮さんのTweetが物議を醸した。
食材アピールほどダサいことはない。良い食材を使って美味しくするのは誰でも真似が出来る。技術や経験で美味しくするのは誰もが真似出来ることではない。真似出来ないことをするから「職人」と呼ばれ、仕事に価値を生む。材料アピは職人としての価値を低下させる(Twitterより)。
「僕は、昔からスーパーで売ってるものでしかラーメン作らないって言うんですけど、本当はスーパーで売ってないものを使ってるんですよ(笑)。つまり、みんなと同じ材料を使ってるんだけど、こんなに美味しくしてる。それって職人の技術ですよね。だけど『〇〇産の△△を使ってる。だから美味い』と声高に言うと、食材に手柄を取られて、あなたの価値を落としてませんか? 技術や知識があるからこの食材を活かし美味くなったと、自分の手柄にしましょうよという話なんです。もちろん、この食材はもっと多くの人に知ってもらいたい!というものはガンガン言いますよ」
今回のラーメンの食材を伺ってみると、鶏ガラ、豚ガラ、野菜、乾物と、ごく一般的なラーメンに使われるものだ。
「そもそも今回のコンセプトから、昭和のラーメン屋さんが、どういった材料を使ったかなってところから考えてるわけ。それこそ昭和のラーメン屋さんが、ブランド豚を使ったなんて思えないでしょう。〇〇産じゃなくて普通の鶏ガラだし、普通の豚ガラだし、特別なのはないです。それがなんで美味しいかっていうと、僕らの技術です」
理想のロードサイドのラーメン「進化系ラーショ」で世の中を変える!
後半には、前半とまったく違うラーメンショップ(通称ラーショ)を提案した小宮さん。家系総本山「吉村家」創業者・吉村実氏は、ラーメンショップ出身と言われている。つまり、ラーショは家系のルーツでもある。全国に展開するFCチェーン店ラーショは、おもにロードサイドを中心に広まっている。今回の企画にぴったりのラーメンというわけだ。
「実は、2021年から僕とソラノイロの宮崎の2人で、『ラーショマルミャー』池袋店と大泉学園店をずっと隠してやってきたんですよ。ラーメンショップという偉大な看板の店をリスペクトしてラーメンを作るのに、先入観なく純粋にラーメンを味わってもらいたいってことで。ちょうど半年経ったんで4月に公表しようとしてたんですね。それなら5月にラーメンWalkerキッチンで一緒にできたらいいなと思ったんです」
小宮さんとソラノイロ宮崎店主の2店舗合同でスタートした企画だが、『ラーショマルミャー』は、池袋店と大泉学園店で、それぞれ違う味のラーメンを提供している。
「大泉学園はうまいラーショ、池袋は美味しいラーショです(笑)。わかりやすく言うと、池袋は清湯スープで上品なラーショ、大泉学園は半濁スープでパンチ系。僕もラーメン職人、宮崎もラーメン職人、どっちも自分のほうがうまい・美味しいと思ってますから。ラーメンショップも店舗ごとに味が違うから、僕らも店ごとに違っていいやと」
もう一つ、『ラーショマルミャー』は、コロナでいろんな飲食店がダメージを受けている今、比較的ダメージの少ないラーメン店への業態変更をプロデュースするためのモデルケースでもある。
「今回の出店までに宮崎と話し合い、どういうラーショにしようか決めました。お互いなかなか妥協しないので大変でしたが(笑)。妥協っていっても、味の妥協ではなくて、意地の妥協ですね。妥協して、“うま美味しい“になったかと。前半は僕が仕込んで、後半は宮崎が仕込んだので、同じ内容でも仕込む⼈間によって味が変わっちゃうのがラーメン。そこを楽しんでいただけたかと思います」。そんなお楽しみ袋のような要素も、アイデアマン⼩宮⼀哲の腕の⾒せ所だ。
伊蔵八小宮と仲間たち
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伊蔵八中華そば
東京都目黒区祐天寺2-12-4 エトモ祐天寺内
11時~23時
定休なし
https://twitter.com/izobachi
ラーショ マルミャー 池袋店
東京都豊島区池袋2-22-5 東仙第2ビル 1F
月~木11時~15時 18時~22時
金11時~15時 18時~23時
土11時~23時
日祝11時~21時 ※LO15分前
定休なし
https://twitter.com/Marumyaramen
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ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
https://ramen.walkerplus.com/kitchen/