国立森林研究・整備機構森林総合研究所、国立環境研究所の研究グループは、植物にとってのさまざまな気候ストレスと森林の分布限界との関係を地球規模で評価するモデルを新たに開発した。気候変動による気温の上昇や乾燥によって森林分布が変化しやすい場所を高解像度かつ地球規模で推定できるようになった。
国立森林研究・整備機構森林総合研究所、国立環境研究所の研究グループは、植物にとってのさまざまな気候ストレスと森林の分布限界との関係を地球規模で評価するモデルを新たに開発した。気候変動による気温の上昇や乾燥によって森林分布が変化しやすい場所を高解像度かつ地球規模で推定できるようになった。 現在の気象データから、年間の乾燥度、湿潤な時期の乾燥度、初夏の乾燥度、初夏の日射量、初夏の平均気温、最寒月の最低気温、乾燥する時期の平均気温の7種類の気候ストレス指数を地球規模で算出。7種類のストレス指数と、衛星画像から見た現在の地球の土地被覆(森林、低木・草地、裸地、氷・雪)との関係を機械学習によってモデル化し、現在の森林の成立や欠落に強く関係する気候ストレス指数を明らかにした。 さらに構築したモデルに、全球気候モデルで予測された将来気候下の気候ストレス指数を当てはめることで、将来の森林分布の変化を高解像度で推定した。その結果、気候変動によって森林が拡大しやすい地域は、縮小しやすい地域より広いと予測された。また、両地域は地理的に離れていることも分かった。 研究成果は2月16日、「サイエンス・オブ・ザ・トータル・エンバイロメント(Science of the Total Environment)」誌にオンライン掲載された。(笹田)