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ラーメンWalker発!「未来を輝かせるラーメンストーリーズ」第11話

熊本ラーメン盛り上げ隊! 『天外天』×『黒亭』が地元・熊本の魅力をラーメンで伝える

2022年04月26日 12時00分更新

文● 大熊美智代 編集● ラーメンWalker

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 ラーメンWalkerがテーマを決めて名店店主とともに新たなラーメンをお届けする企画。4月14日~20日は激戦区の熊本でラーメンWalkerグランプリ第2位の『天外天』、4月21日~27日は老舗であり大行列店『熊本ラーメン黒亭』と、熊本ラーメンを代表する2店が出店。関東では食べられない本場の味を、熊本から遠路はるばる届けてくれた。ちょうど2016年の熊本地震から6年、熊本に寄せる想いとともに、熊本の食文化を支えてきた熊本ラーメンの魅力を伺った。

『ラーメン天外天』店主・小田圭太郎さん

熊本から九州、食も人も繋がる『天外天』の新しい熊本ラーメン

 熊本県民のソウルフードと呼ばれ、長年愛されてきた『天外天』。夜営業だけで大行列の人気店まで繁盛させたのは、2代目店主の小田圭太郎さん。大学卒業後の2000年、『天外天』の清永マスターから誘われてアルバイトで入った。「それが、いつの間にか仕込みをするようになって(笑)。自分がラーメンを作るようになったんです」と、小田さん。

 当時はカウンター10席ほどの店で、ダイレクトにお客さんの反応が伝わった。それが段々おもしろくなって、ラーメンにハマッたという小田さん。2013年に先代の清永さんから店を引継ぐことになるのだが、基本の味はそのままに、本格的に作り方を見直していった。

1989年創業の『天外天』。夜営業のみで連日大行列、まさに熊本県民のソウルフード

「うちはもともと取り切りスープで、その日のスープを炊いたら骨を全部捨てて、翌日また新しいスープを炊いてたんです。それが、福岡や佐賀のいろんな店の店主さんと知り合い、骨を捨てない呼び戻しの手法を取り入れるようになりました」

 県を越えていろんなラーメン店のいいところを吸収して創り上げたのは、人もラーメンも繋がりを大事にした、新しい熊本ラーメンだ。

ラーメンWalkerキッチンSP「全部のせラーメン」。小田店主おすすめ、基本の一杯

熊本のブランド豚など地元食材づくしで、熊本を元気に! 

 スープは、継ぎ足しながら炊く豚骨と鶏ガラのWスープ。ずっと炊き続けた豚骨スープに、今日炊き始めたスープのフレッシュな骨の甘み、トロミを足していく。豚骨だけでなく、鶏ガラも入れることで後味スッキリ仕上げている。「もうちょっと鶏を増やしたらおいしいんじゃないかとか、豚骨の煮込み時間を長くしたらいいんじゃないかとか、自分の感覚も大切にしてます」

継ぎ足しのスープと当日炊きのスープを合わせて濃度がありつつフレッシュな豚骨スープに

 今回の出店では、熊本の店にはない九州の食材をトッピングに使用した。ひとつは福岡の「糸島メンマ」。国産メンマは国内需要の1%しか供給されてない、希少なものだ。そして、熊本から有明海を挟んだ対岸の佐賀の「一番摘み干し海苔」。限定には、熊本のブランド豚「肥後あそび豚」を使った塩角煮チャーシューを熊本から仕込んできた。

「肥後あそび豚の塩角煮ラーメン」。熊本のブランド豚「肥後あそび豚」を使って、本店にはない特別な一杯を提供

 今回の出店は、熊本地震から6年のタイミングでの熊本ラーメン特集に、東京の豚骨醤油ラーメン店でラーメンWalkerキッチンのスーパーバイザーでもある『百麺』宮田朋幸店主とラーメンWalkerの松本さん(熊本出身)から出店を促され「少しでもラーメンで盛り上げられたらと思って出店を決めました」と小田さん。

 麺はせたが屋の自社製麺所『コナノチカラ製麺所』に依頼。「熊本の店で使っている麺と同じ麺にするために、昔ながらの丸刃(麺を切る切刃)をせたが屋代表の前島さんに預けてます。小麦粉も何度も配分を調整しながらやり取りをして、パツパツ感もあるけどかたすぎず、ゆるすぎず、伸びにくい中細麺に仕上げていただきました」。

助け合う想いも熊本ラーメンにのせて、全国に届け!

 出店中は、熊本の本店を休業し、駅前店の店長であり小田さんの弟・小田健史さんがスタッフとして参加。『黒亭』からも店長の舟倉瑛喜さんが前乗りで『天外天』を手助けする。

「イベントとなるとスタッフを5、6人は連れて行かないといけないので、自分の店だけでは無理なんですよね。だったら2店舗で出し合えば、こうやってイベントにも参加できるだろうと。21日からは黒亭の方がメインになって、うちの弟が残ってサブにつく感じです」

 『天外天』と『黒亭』、2店の「うちが出る時は来てよ!」といった互助関係は、義理堅い熊本県民ならでは。

『天外天』小田圭太郎店主(中央)と駅前店店長小田健史さん(右)、『黒亭』店長舟倉瑛喜さん(左)と、精鋭メンバーが本場熊本以上の味をお届け

 熊本では、ラーメンは食事というより、さくっと食べられるおやつ感覚。夜営業の本店でも、飲んだ〆の一杯として熊本県民に愛されてきた。

「だから、地元のほうがスープもあっさりしてます。関東は、二郎系にしても、家系にしても、味が濃く脂っこいラーメンが人気ですよね。その強い文化圏の人たちに食べてもらうには、熊本以上のものを出さないと納得してもらえないと思って。基本は変えてないんですけど、より豚骨臭さを出すようにしています」

 さらに、2時間煎って仕上げたニンニクパウダーと、にんにくの醤油漬けが強烈なアクセントとして豚骨スープの旨さを引き上げる。「ラーメンを食べたときは、やっちまった感がほしいんですよ。食っちまったーって背徳感が。それは脳裏に残りますから」と、小田さん。また、食べたいと思わずにはいれられないラーメンの記憶を、東所沢の地にしっかり刻んでくれた。

 4月21日からは『天外天』から『黒亭』にバトンタッチ。後編は『熊本ラーメン黒亭』平林店主のインタビューをお届けします。

ラーメン天外天
熊本県熊本市中央区安政町2-15
月~木18時~23時
金~土18時~24時 ※売切れ終了
日曜休

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。臨時休業など、詳しくはお店の公式ツイッターをご確認ください。

ラーメンWalkerキッチン
埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3-205
04-2968-7786
JR武蔵野線「東所沢」駅徒歩10分
https://ramen.walkerplus.com/kitchen/

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