バイクはカッコ良くあるべし!
3月25~26日に東京ビックサイトで日本最大級のバイクイベント「東京モーターサイクルショー」が開催された。49回を数えるこのイベントは、バイクメーカーからパーツ、用品メーカーまで参加するまさにバイクの祭典だ。新型コロナウィルスの影響で3年ぶりの開催となったが、出展社は150を超えた。そんな中から個人的に気になったバイクを紹介しようと思う。
一番気になったヤマハのバイク「MT-10」
今回、一番気になったのがヤマハだ。すでに発表されている「XSR700」に、懐かしのカラーリングが登場した。このカラーリングは、RZが発売された当時のカラーリング。このカラーリングは、池沢さとし氏の描いたマンガ「街道レーサーGO」で主人公が乗っていた「RZ350」のカラーリングで、当時を知る人間には懐かしく思えるものだ。さらに同じXSRの兄貴分900ccモデルには、これまた80年代のゴロワーズカラーを彷彿させるブルーがラインアップされている。Y's GEARのMT-09特別仕様車とR7も、かなりクールにドレスアップされていた。
この秋から日本導入予定の新型「MT-10」も注目の存在だ。King of MTと位置づけられたこのバイク、圧倒的な存在感とデザイン性、もちろん走行性能の面でも抜きん出ていたように思える。MTシリーズ唯一の4気筒エンジンであったり、トランスフォーマーを彷彿させるフロントマスクなど、魅力的なマシンに映った。こういう個性的なバイクが増えてくると、国産モーターサイクルも活性化してくるように思える。
名馬「刀」と「隼」を擁するスズキ
スズキと言えば、何と言っても「刀」と「隼」の2枚看板だろう。フラッグシップマシンである隼の存在感は、言うまでもない。その所以は何と言ってもその出力性能だ。1300ccを超える排気量で、188psを絞り出す。そして最高速は300km/hを超えると言われている。名車と呼ばれるには、驚きのあるギミックに加えストーリーが必要となる。隼はその性能に加え、まつわる逸話にも事欠かない。フラッグシップと呼ばれるにふさわしいマシンと言える。
神話という意味ではもう一枚の看板、刀にも十分なストーリーがある。それは元祖刀が誕生した瞬間から、現在に至るまで語り継がれているデザインの話だ。その先代の刀の名を受け継いでいるのが現行の刀だ。80年代のデザインを踏襲したカウルからタンクにかけてのラインは、刀の名を冠するためには欠かせないラインと言える。そして肝心の走行性能だが、こちらも電子スロットルやパワーシフトなどブラッシュアップされた。
そして刀の兄弟車として発表された「GSX-S1000GT」。フレームやエンジンは刀のそれを流用しているが、見事に上質なツアラーに変貌させている。刀や隼とは違い、このGTはツーリングを楽しむ事に特化したバイクと言える。この辺のラインアップは、スズキの屋台骨を支えるバイクたちだ。
懐かしさのあるカワサキの「KB4」
カワサキで言えば、やはり「KB4」(ビモータ)だろう。このKB4は、2021年にビモータの日本総輸入元とした契約したカワサキ。イタリアのカロッツェリアであるビモータと契約後、カワサキのフラッグシップとも言えるH2をベースにした「テージH2」を発表。「ニンジャ 1000SX」をベースにした、KB4は2作目にあたる。さすがにイタリア屈指のカスタムビルダーのマシンは、細部まで美しく量産ベースの市販車とは一線を画していた。
ホンダのダックスは期待を上回るデキ映え
ホンダの戦略はズバリ、Back To 70sと言ったところか。目玉となったのは「Hawk11」と「ダックス」だ。まずはダックスだが、1969年に発売されたDAXを当時のスタイリングのまま、現代に復活させたイメージだ。ダックスフンドを模した愛くるしいスタイリングは、モンキーやゴリラと並ぶホンダが得意とする分野。発表前から話題になっていたモデルだが、期待を上回るデキ映えになっていそうだ。
もう一台の70sイメージである、Hawk11は70年代後半に発売された、ホークシリーズの名を冠したモデルのようだ。当時のホークシリーズは、CB400Tという名で400cc、2気筒と中型モデルの名商品だった。同じホークの名を冠しているとは言え、今回発表されたモデルは全く血がモデルと言っていいだろう。ホーク11はロケットカウルを装備したカフェレーサースタイルだ。このスタイルは、50代のライダーに訴えるには最高のデザインといえる。ダックスとホークを看板としたホンダのターゲットは、60代のリターンライダーに絞ってきたようにも思える。
海外メーカーのバイクも秀逸なデザイン多し
日本メーカー以外のバイクで気になったと言えば、トライアンフの「ロケット3」だ。スピードトリプル(SPEED TRIPLE)なので、同社の代名詞となっている3気筒エンジンを搭載。だがこのロケット3は、なんと縦置きの3気筒なのだ。とても気になる一台で、機会があればぜひとも乗ってみたいバイクである。
デザイン的に一番気になったのは、MV AGUSTA「BRUTALE 1000 NURBURGRING」だろう。Motorcycle Artを掲げているだけにフォルムの美しさは秀逸だ。もちろん走行性能も最高峰と言って差し支えない。個人的にも一番美しいバイクを作るメーカーのひとつだと考えている。
ほかにも紹介したいバイクがたくさんあった。3年ぶりに開催された東京モーターサイクルショー。多くのメーカーが、沢山のモデルを発表しており、見応えのあるイベントだった。これからも魅力的なバイクを作り続けて我々を楽しませてほしい。
■筆者紹介───折原弘之
1963年1月1日生まれ。埼玉県出身。東京写真学校入学後、オートバイ雑誌「プレイライダー」にアルバイトとして勤務。全日本モトクロス、ロードレースを中心に活動。1983年に「グランプリイラストレイテッド」誌にスタッフフォトグラファーとして参加。同誌の創設者である坪内氏に師事。89年に独立。フリーランスとして、MotoGP、F1GPを撮影。2012年より日本でレース撮影を開始する。
■写真集
3444 片山右京写真集
快速のクロニクル
7人のF1フォトグラファー
■写真展
The Eddge (F1、MotoGP写真展)Canonサロン
Winter Heat (W杯スキー写真展)エスパスタグホイヤー
Emotions(F1写真展)Canonサロン