オヤジホビー-ワタシが好きな物はみんなも好き、かもしれない- 第323回
事件現場の証拠品収集キット、最後は「DNA検査のための口腔内細胞採取キット」をチェック
2022年03月20日 17時00分更新
容疑者のDNAを検査するためのキットです
証拠品収集キット「Evidence Packaging Kit」の内容物チェックもいよいよ大詰め(第320回「事件現場の証拠収集キットはちょっと物騒でした」)。11種あったアイテムリストも残りわずか1品となりました。
・1-Buccal Swab Collection Kit
・口腔内粘膜細胞採取キット 1セット
最後のひとつはBuccal Swab Collection Kit。buccalは「頬の」とか「口内の」という意味で、swabは綿棒、collectionは採取。頬の内側を綿棒でスリスリとこすって粘膜細胞を採取するためのもので、日本語では口腔内粘膜細胞採取などと呼ばれます。キットは郵送用の封筒の中に入れられていました。この封筒もキットの一部です。
一般的な口腔内粘膜細胞採取では、採取した細胞はDNAによる親子鑑定や病理検査などのために使用されますが、このEvidence Pacaging Kitは事件に関する証拠収集のための物。細胞採取の目的は容疑者のDNA検査です。
キットが入っている袋にも「SUSPECT」(容疑者)と「For DNA Testing」と書かれていて、容疑者のDNA検査用であることがわかります。
袋には証拠能力を失わないための記入欄が
袋には証拠品の情報記入欄がプリントされています。
一番上の「FROM」は採取者の名前や所属、事件番号などを書き入れる欄。これまでのアイテムと同じです。
その下の「CHAIN OF POSSESSION」は、採取品をいつ誰から受け取ったという記録です。これも他のアイテムにもあった記載欄ですが、このキットには「DELIVER SEALED KIT TO CRIME LABORATORY AS SOON AS POSSIBLE」(封印されたキットをできるだけ早急に犯罪研究所に届ける)という注意書きが追記されています。
適正な管理をしていれば細胞がすぐにダメになることはないみたいですが、早いに越したことはないですよね。
一番下の「FOR FORENSIC LABORATORY PERSONNEL ONLY」は法医学研究所の担当者の使用欄。法医学研究所には各所から検体が送られてくるので、研究所独自の事件番号を付けるのだと思います。
なお、これらの記入欄は必ずしも使われるわけではなく、例えばモンタナ州ではこの袋は捨てるだけなので記入不要となっています。
キットは使用時まで開封厳禁
キットは「Tamper Resistant」と書かれたテープで封がされていました。改ざん防止という意味です。その下には「DO NOT USE THIS KIT IF SEAL HAS BEEN TAMPERED WITH OR IS MISSING」(シールが改ざんされているか紛失している場合はこのキットは使用禁止)という注意書きが書かれていて、使用する直前に開封するようになっています。
綿棒に他人の細胞が付着していたり、細胞を分解するような薬液が塗られたりしていたら、正確な検査ができなくなってしまいます。非医療関係者である捜査員がそういったことに特段の注意を払わなくても採取ができるように、「開けたらすぐ使う」が徹底されているようです。
キットは9個のアイテムで構成されています
このキットを使うことなんて100%ないので開けちゃってもいいんですけど、なんかもったいないので、中身はメーカーのサイトでチェックします。これもTRITECH FORENSICSの製品です。
キットの中身は以下のようになっていました。
・1 ea. Tamper-evident, pre-sealed Kit Envelope, 6" x 9"
・1 ea. Kit Instruction Sheet/FDA Insert
・1 ea. Pair of Nitrile Barrier Gloves
・1 ea. Sterile, cotton-tipped Swabs (2/pkg)
・1 ea. Buccal Swab Information Card containing a swab envelope
・2 ea. Tamper-evident Police Evidence Seals
・1 ea. Ziplock Bag containing a desiccant packet
・1 ea. Kit Mailing Envelope, 7.5" x 10.5"
・1 ea. Kit Shipping Seal
・不正開封防止、事前に封印されたキット袋、6 "x 9" 1枚
・キット取扱説明書/FDAインサート 1枚
・ニトリルバリアグローブ 1ペア
・滅菌済みの綿棒(2本入り) 1セット
・綿棒保存袋1枚付き頬スワブ情報カード 1枚
・不正開封防止の証拠シール 2枚
・乾燥剤パケット1個入りのジップロックバッグ 1枚
・キット郵送用封筒、7.5 "x 10.5" 1枚
・キット発送シール 1枚
採取をしたら乾燥させます
リストの1番目の袋はキットが入っている袋のこと。改ざん防止のためテープで密封されています。
2番目の「Kit Instruction Sheet」は使い方の説明書です。FDA Insertははっきりとはわかりませんが、FDAはFood and Drug Administration——アメリカ食品医薬品局のことかなと思います。説明書の中に、何かFDAからの注意事項のような文章が入れられているのかもしれません。
3番目は青い手袋。新型コロナの影響で見かけることが多くなったニトリルゴム製の使い捨て手袋です。採取をする時は、まず最初にこの手袋を装着します。
4番目は採取に使う綿棒。密封された袋に滅菌済みの綿棒が2本入っています。1本は予備というわけではなく、採取には2本とも使います。1本ずつもしくは2本まとめて持って頬の内側を10秒間こすり、細胞を採取。あまりゴシゴシやる必要はなくて、歯磨きと同じぐらいの圧力でいいそうです。
採取が終わったら綿棒を5〜10分放置して乾燥させます。この時、どこかに置くと汚染される可能性があるので軸部分を何かに刺して立てておくといいらしいんですけど、それなら立てる台を同梱して欲しいですよね。紙製のちょっとした物でいいから。綿棒の近くで話したりしないようにという注意もそう。飛沫除けのカバーを入れておいてくれたらいいのに。
指紋押捺用インクと証人が必要です
5番目は採取した細胞の情報を記入するための情報カードです。2つ折りになっていて、開くと綿棒を入れる袋が取り付けられています。
カードの表側には容疑者の氏名や社会保障ナンバー、生年月日、性別、人種、日付、容疑内容、採取者の氏名やバッジナンバーなどを記します。
裏面は正しく採取されたことを証明する欄と、容疑者の親指の指紋押捺欄。このキットを使用する際は、正しい採取を証明する証人が必要で、採取者は氏名と日付、サインを記入し、証人は採取を担当した捜査官の身分証明書を目視で確認して同じく氏名と日付、サインを記入します。
6番目は「EVIDENCE」と書かれた封印用のシール。情報カードに記入が終わったら乾燥させた綿棒をカードの内側にある袋に入れ、このシールで封をします。
7番目はジップ付きのビニール袋。細胞が湿った状態になっているとDNA分解酵素によってDNAが分解されてしまうそうで、それを防止するために乾燥剤が入れられています。中に入れたらジップを閉じて手袋は廃棄します。
二重に封印して封筒へ
キットが入っていた袋の記入欄を使用する場合は、各項目を記入。採取した細胞が入ったビニール袋を入れたら、この袋も封印用シールで密封します。
8番目はオレンジ色の郵送用封筒。差出人と宛先を書いたら密封したキット袋を入れ、9番目のKIT SHIPPING SEALを貼って封をします。封筒自体は切手を貼って送る普通の封筒ですけど、左下にバイオハザードマークがあったり、「This envelope contains dried Biological Specimens」(この封筒には乾燥した生物学的標本が入っています)という表示がものものしさをかもし出しています。
紙製小箱が追加されていました
アイテムリストに載っていた物はこれで全部です。が、バッグにはもう一品、紙製の小箱が10個入っていました。100枚入っているEVIDENCEシールと同じシールが10枚添付されています。
サイズは内寸がおよそ7.7×5.3×2.6cm。フタ付きで、中には綿が敷き詰められています。説明が何も書かれていないので使い道がわからないんですけど、米Amazonで紙箱を検索してみたら、そっくりな形をしたジュエリーボックスが引っかかってきました。確かに指輪やネックレスを入れるにはちょうどいいサイズです。
元のセットには入っていませんでしたが、小さい装飾品を入れる箱として追加になったのかもしれません。
Evidence Packaging Kitに入っていたアイテムは以上です。全12種のうち紙袋やビニール袋、マーカーなど、いくつか普段使いができそうな物がありました。半分は特に使い道がありませんけど、まあ、もともとパトカーの飾りとして買った物ですからね。専用バッグに入れてトランクに積んでおこうと思います。
この連載の記事
-
最終回
デジタル
本物の元素を1cm角キューブにした”標本セット”を買いました -
第352回
デジタル
全9種類! ミリタリー風「蚊取り線香」ホルダーでどんな線香が使えるのか試してみました -
第351回
デジタル
ミリタリーテイスト満点の「蚊取り線香」ホルダー、こんなモノまでタクティカル! -
第350回
デジタル
「スキンヘッド専用シェーバー」は今年買ってよかったもの大賞、金賞候補です -
第349回
デジタル
スキンヘッド専用シェーバーで頭ツルツル -
第348回
デジタル
靴底補修剤でカカトに空いた穴を直してみました -
第347回
デジタル
ダイヤルを回すだけでフィットするシューズ「DICTATOR」を衝動買い! -
第346回
デジタル
ハンヴィーのシート交換で若干のトラブルが! -
第345回
デジタル
未使用新品&中古美品のハンヴィー用シートをまとめ買い! -
第344回
デジタル
Beatsのヘッドホンが手放せなくなりました -
第343回
デジタル
そっぽを向いていたハンヴィーのタイヤが直りました! - この連載の一覧へ