他製品と差をつけるパシフィックブルーの落ち着いた個性的なカラーリング
余裕のあるVRM回路、冷却重視のヒートシンク、安心感も高いZ690搭載ゲーミングマザーボードMSI「MAG Z690 TORPEDO」
ベンチマークで見るヒートシンクの効果
では、MAG Z690 TORPEDOにCore i7-12700Kを組み込み、ベンチマークを実行して各部の温度を見てみよう。とくに注目は大型ヒートシンクの冷却性能を見るVRM温度だ。
検証はバラック状態+空冷CPUクーラーで行なっている。室温はおよそ25℃だ。CPU負荷に特化しているCINEBENCH R23のVRM温度はスタート時32℃で10分後に49℃に上昇した。50℃にも到達しなかった点、また終盤の上昇速度が低下傾向にある点で、大型ヒートシンクによる効果が感じられる。
3DMark時のVRM温度は34℃〜37℃でほとんど変化がなかった。GraphicsテストパートはCPU負荷が大きくないため35℃前後で推移し、後半のCPUテスト時でわずかに山ができるグラフだ。途中、CPU負荷が下がるとともにVRM温度も低下しており、ここでも冷却がうまくいっていることが分かる。
PCMark 10はVRM温度がやや高い状態から開始してしまったが、CPU負荷もほどほどのため、テスト進行とともにむしろ下がっていくグラフになった。スタート時43℃、ベンチマーク実行中では最低38.5℃、ベンチマーク完了後の1200秒経過時点で37℃だった。
これら3つのベンチマークを見るかぎり、Processor Base Powerが125W(PL1&2は4095W設定)のCPUを用いても余裕のVRM回路、十分に冷却できるVRMヒートシンクを備えているといえるだろう。
そのほかベンチマークスコアも掲載しておこう。ビデオカードが手持ちのMSI Radeon RX 560 AERO ITX 4G OC(Radeon RX 560)なので、とくに3D系のスコアが低いが、CPU系については問題ないので何かの参考になればさいわいだ。
パシフィックブルーで統一したPCもいい感じ
パシフィックブルーの「TORPEDO」マザーボードに合わせ、MSIでは同色のATXミドルタワーケース「MAG VAMPIRIC 300R PACIFIC BLUE」も用意している。「MAG VAMPIRIC 300R」(ブラック)のパシフィックブルー版という位置づけだ。VAMPIRICはバンパイアの意味なのだが、MSIのMAGシリーズはミリタリー用語を採用しているので、これも何らかの意味があるのだろう。
今回、MAG VAMPIRIC 300R PACIFIC BLUEもお借りできたので、MAG Z690 TORPEDOを収めてみた。
フロントパネルには部分的にメッシュを用い、直後にアドレサブルRGB LEDを搭載。ケースリアファンとして12cm角のアドレサブルRGB LEDも搭載している。どちらのLEDも同社Mystic Lightによる制御に対応している。左側面は強化ガラス製。後部をヒンジ軸として開くところがユニークだ。トップとフロント双方、36cmクラスのラジエータを搭載可能。ビデオカード用サポートブラケットや、電源カバーを装備するほか、フロントUSB Type-Cは、USB 3.2 Gen2x2 Type-Cサポートと、現時点で最速のUSB規格に対応している。
パーツ構成で判断したい良コスパ
MSI MAG Z690 TORPEDOは、こうした個性的なカラーリングを楽しめるほか、余裕のあるVRM回路、冷却重視のヒートシンクなど、安心感も高いゲーミングマザーボードだ。TOMAHAWKとの違いは本文でも述べたとおり、Wi-Fiの有無は中央M.2ヒートシンクの有無など。そして価格については、執筆時点で3万4000円前後。Intel Z690搭載スタンダードマザーボードと比べれば1万円程度の価格差があるが、それは十分なマージン、十分な冷却、十分な拡張性といった点にある。さらにゲーミングマザーボードという括りを加えれば、3万2000円前後が最廉価帯になるので、そこからそう高くはない。むしろ2000円の価格差で個性的なカラー、強化されたVRM電源回路が手に入ると思えばコスパ抜群と言えるのではないだろうか。
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