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2011年夏、ケータイとパソコンが融合した製品に技術力と企画力を見た

2022年03月22日 11時00分更新

文● みやのプロ 編集●ASCII

提供: FCNT

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今から10年前、とんでもないケータイが登場
iモードとWindowsが1台で使えた!

 FCNT(旧富士通コネクテッドテクノロジーズ)の携帯事業が30周年ということで、事業がスタートした時の社名である富士通ケータイ時代のことをいろいろ思い出してみました。おじさんはなんだか最近はモバイルPCと、おカメラ担当のようになっていますが、クルマも食べ放題も大好きですし、もちろん月刊アスキー時代も週刊アスキー時代も、ケータイ電話もスマホも大好きで、さらにドコモ好きだったうえに特に変りモノが好きなので、FCNTのケータイもたくさん買ってきました。

ASCII.jp プロデューサー 宮野友彦(みやのプロ)

 movaのころから、iモード初号機、2つ折りなのに画面が横向きに回転するやつも持ってましたね。FOMAのころは、いかにほかと異なるデザインやコンセプトを出せるかを各社が争っていて、とても楽しい時代でした。

 2つ折りの次に流行ったのがスライド式で、やはり富士通は「尖りかた」が他社と一線を画していました。たとえば2010年の「F-04B」はスライドしてテンキーが出てくる上に、本体がそこから分離して、フルキーボードが登場するうえ、手書き入力までできて、カメラもいろんな機能があって、超触りがいがありました。白モデルを使っていた覚えがあります!

 その延長上に登場したのが、今回とりあげるLOOX「F-07C」で、なんとWindows 7が動くケータイです。もちろんPCオタクとしては、世界最小のWindows PCとして即買いして使いまくりました。LOOXは、当時の富士通の超小型PCブランドで、おじさんはもちろん使っていました。

LOOX「F-07C」筆者の私物である

 LOOX「F-07C」は、オモテの顔は完全に最新の3GケータイのiモードのFOMAなんですが、ボディー横のWindowsキーを押すと、画面が切り替わって、完全にWindows 7マシンになるという、はっちゃけたというか、ハイブリッドなケータイです。

このキーを押すとケータイモードとWindowsをすぐに切り替えられる

専用クレードルに置いて、PCライクに使える

USBポートは4つ、HDMI端子も1つあり、拡張性もよかった

 2011年6月11日号の週刊アスキーにレビュー記事がありましたが、CPUはAtom Z600でクロックは600MHz(CPUは1.20GHzの動作周波数のものが搭載されてるが、実際は50%の周波数で動作)。ディスプレーは4型で解像度は1024×600ドットという、ほぼ16対9な比率で、Windowsを使うのにはピッタリでした。メインメモリーは1GB、ストレージは32GBで、さらに最大32GBのmicroSDカードも使えるため、合計64GBでの利用ができます。

当時の週刊アスキーでも大きく取り扱った

別の号でもQWERTYキーボードケータイとして登場

 ディスプレーをスライドするとQWERTYキーボードが出現します。このボタンが良くできていて、プチプチ感がある押し心地がとてもいい作りです。ポインティングは画面タッチと、キーボード部にあるトラックボール(!)で、これがまた指の腹でグリグリするのが快感でした。

キーボードはスライド式。マウスのトラックボールや左クリックキーもある

 Windowsの利用スタイルとしては、両手で持って、親指でキーボードをプチプチと押すのが基本です。トラックボールと反対側にある左クリックボタンで普通にWindowsも操れますからね。右クリックはというと、トラックボールを押せばいいんです! なんとすばらしい発想でしょうか!

両手持ちが基本

 Windows 7 Home Premium(32bit)はブラウザーもフルに使えるうえ、Officeもプリインされていて、WordとExcelとOutlookも使えますし、もちろんそのほかのアプリやゲームも普通にインストールして動きます。クレードルはオプションでしたが、USB端子2つにHDMI出力もあり、ディスプレーとマウスとキーボードを接続して本格的にPCのようにも利用できます。

中身はまるっきりWindows 7

まさに持ち歩けるコンピューターだった

 カメラは裏側に510万画素のものが付いていましたが、Windowsで使えるのは32万画素のインカメラのみで、おカメラ好きとしてはちょっと残念でしたね。

 もちろん、メインケータイとして持ち歩いて、必要な時にはWindows PCとして使っていましたが、残念ながらAtomの速度がちょっと足りずにワンテンポ待たされるのと、バッテリーは1400mAhと、通常型ケータイと同程度しか積んでいなかったので、Windowsを起動すると1時間程度で充電が必要となるというので、ちょっと苦労もしました。

バッテリー容量が少ないので、Windowsモードで使う場合はクレードルで。撮影で久々に起動したが、最新のマウスもキーボードもしっかり認識して使えた

 とはいえ、明らかに世界最小のPC=Windowsマシンですから、これ1台でいざというときにも大丈夫という、とても便利なケータイでした。

 2011年のドコモ夏モデルは新機種が18種類もあり、うち4機種が富士通(当時は富士通東芝)でした。18機種中8機種がAndroidで、WindowsとBlackBerry各1機種に、ケータイも7機種発表されるなど、モバイル系の勢いがすごかった時代です。PCはCore i7-2000系と、GeForce GTX 500系で、ケータイのCPUはインテルとNVIDIAとクアルコムが競争中で、無線LANは300Mbps、AKB48は「ヘビーローテーション」で乃木坂46がデビュー、あと初音ミクが初めて海外公演した年でもありました。10年前とはいえ、最近は時代の流れが早いのでだいぶ懐かしく感じますね。

 そんな中、2011年の新機種は、このLOOX「F-07C」に、2つ折りケータイの「F-10C」「F-11C」、液晶がスライドしてからさらに横に90度回転する「F-09C」、そしてガラケー時代に培ってきた技術を注ぎ込んだ同社初のAndroidスマホ「F-12C」 という多機種展開でした。このあと、ご存じのようにAndroidに集約していくのですが、世界が驚いたLOOX「F-07C」を製品化して発売する技術力と決断力はスゴイと思いましたね。

 その後発売となったスマホも、国内初となるシニア向けスマホを開発したり、女性向けブランドとコラボしたり、世界初の虹彩認証を搭載したり、いち早く5Gのミリ波に対応したり、ご時世に合わせて洗える・除菌・抗菌対応を追加したりと、技術力や決断力は脈々と引き継がれ、10周年を迎えた「堅牢性」「安全性」「利便性」を備えた「arrowsシリーズ」、そして20周年を迎えたド定番「らくらくシリーズ」といった、特徴ある挑戦的な製品を自信をもってリリースする力になっています。

マルチキャリア展開の「arrows We」。arrowsシリーズはコロナ禍になる前から「洗える」「堅牢性」といった特長があり、さらに除菌や抗菌対応になったことでかなり売れている1台。これも以前からの研究開発が実を結んだ結果といえる

ドコモから発売中の「らくらくスマートフォン F-52B」。シニア向けモデルもついに5G対応。筆者もシニアだが、シニアだって5Gを使いたいのである。20年かけてユーザーの意見を取り入れつつ進化してきたらくらくシリーズの結晶だ

 富士通携帯事業がスタートしてから30年。富士通自体は携帯事業を切り離して、今はFCNTがスマホとケータイを作っています。そのFCNTは、スマホの開発製造から発展させたサービス事業・ソリューション事業を開始するなど新しいチャレンジを始めました。30年前には誰も予想できなかったことですが、時代に合わせて変化していくことは企業として当然ですね。我々アスキーも40年前からだいぶ変わりましたし。ただ、FCNTから発売されているラインナップを見ると「日本のものづくり」の精神はブレていないことがわかります。

 これからの30年がどんな時代になっていくのかわかりませんが、PCがそうであったように、「なんでもできる」ものをみんなが同じに使うのではなく、スマホもケータイも多様化していくはずです。FCNTには高い技術力と、「とことん突き詰める力」と「尖った企画も通してしまう決断力」がありますから、あっと驚く新製品はもちろん「この機能が欲しかった」「こんなことができるんだ」といった、仕事や生活に密着した、多彩なモデルが出てくるはず。30年とは言わず100年先もFCNTに期待しています!

●提供:FCNT

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