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アルツハイマー病因分子に影響与える微生物由来の代謝物=京大ら発見

2022年03月04日 15時24分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学などの研究グループは、土壌微生物叢(マイクロバイオーム)の代謝物から、アミロイドβの産生に影響を与える代謝物を2種類確認した。アミロイドβは、アルツハイマー病の代表的な病因分子の1つ。

京都大学などの研究グループは、土壌微生物叢(マイクロバイオーム)の代謝物から、アミロイドβの産生に影響を与える代謝物を2種類確認した。アミロイドβは、アルツハイマー病の代表的な病因分子の1つ。 研究では、放線菌類を中心とする細菌65種と、多様な真菌33種から抽出した98種の二次代謝物からなるライブラリーを用意。代謝物を、家族歴がない孤発性アルツハイマー病患者由来のiPS細胞から分化した大脳皮質神経細胞に添加して、アミロイドβの産生動向を確認した。その結果、「ベルカリンA」と「Mer-A2026A」が、濃度の変化に応じてアミロイドβの産生動態を変化させることが分かった。ベルカリンAは、土壌のミロテキウム属が生産する化合物で、低濃度では神経細胞に損傷を与えることなく、アミロイドβの産生量を大きく減少させた。Mer-A2026Aは、土壌由来のストレプトマイセス属細菌ストレプトマイセス・パクトムの培養液から分離された化合物で、今回の研究では危険なアミロイドβを増加させる場合と、アミロイドβ全体の産生量を減少させる場合の2つの性質を確認できた。 研究グループは、ベルカリンAがアミロイドβ産生量を減少させる治療薬につながる可能性があるとしている。研究成果は3月2日、「サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)」誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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