「ラタトゥイユカレー」
松屋
580円
3月1日発売
https://www.matsuyafoods.co.jp/matsuya/news_lp/220301.html
名作「トマトカレー」の後継となるか
アスキーグルメの担当である筆者。最近でも、感染症対策をしっかりしつつ、業務や用事で出かけた際に外食することもあります。もちろん、誰かと会食するなどということはなく、一人で店内に入り、文字通り黙々と食べて、長居はせずにサッと去るのですが。
そうなってくると、料理がすぐ出てきて、サクッと食べられるお店に行こうか……となりがちです。そこでラタトゥイユです。ラタトゥイユ(ratatouille)の語源は「rata」(ごった煮、軍隊で使われていた用語)+「touiller」(かき混ぜる)なのだそうな。かつては(といっても、相当に昔でしょうが)軍隊や刑務所で出されていた料理……というイメージもあったそうです。
松屋は「ラタトゥイユカレー」(580円)を3月1日から販売しています。その名の通り、フランス料理のラタトゥイユをイメージしたカレー。
松屋でトマトを使用したカレーというと「ごろごろチキンのトマトカレー」などの印象が強い人も多いもしれませんが、今回はごろごろチキンシリーズのように別添えではなくワンプレート。
赤・黄色のパプリカ、ズッキーニなど、色とりどりの野菜を使用し、1日の摂取必要量の1/2の野菜が摂れるとうたう(※厚生労働省が推奨している一日の摂取量350gを基準)、ヘルシーな“トマト煮込みカレー”だそう。
ニンニクとオリーブオイルで炒め、トマトで煮込んだ自然な味わいが特徴的だとか。旨味を詰め込んだトマト煮込みに、カレースパイスが加わった新感覚カレーとのこと。
なお、発売2週目の3月8日からは、半熟玉子とチーズをトッピングした「半熟玉子とチーズのラタトゥイユカレー」(650円)が登場。まろやかな玉子と、ほどよいコクと塩味が絶妙なグラナパウダーで、ラタトゥイユカレーがさらに風味豊かに楽しめるそうです。
発売を記念して、ラタトゥイユカレー、半熟玉子とチーズのラタトゥイユカレーは3月22日までライス大盛無料サービスの対象です。ちなみにライスとみそ汁がつかない「単品」もあります(ラタトゥイユカレー単品は460円、半熟玉子とチーズのラタトゥイユカレー単品は530円)。
いずれも持ち帰り可能。ただし、持ち帰りにはみそ汁がつきません(別売60円)。
「カレー」としての完成度が高い
というわけで、ラタトゥイユカレーを注文しました。色合いも、香りも、ラタトゥイユとカレーの中間というような感じです。名前からしてその通りですし。むしろ、「思ったより赤くないなあ」と感じたほど。なんだか間抜けな感想ですが、広報画像だともっと赤かったから……。
ポイントは「カレーであること」だと思います。「何を当たり前のことを……」と言われそうですが、単純にごはんにラタトゥイユをかけました、というわけではなくて、カレースパイスをうまく活かし、トマトカレーとしての味がしっかりしているのですよね。塩味が強すぎず、野菜の甘味を活かしているというか。「カレーとしておいしい」というのがなによりの長所。
ちゃんとごはんに合うというだけではなくて、塩辛すぎない、というのがいいと思います。お酒のあてにつまむラタトゥイユって、やっぱり味が濃いじゃないですか。このカレーはそうではない。ガツンと濃いのではなく、味わいに丸みがある、野菜を活かした「カレー」になっている。
松屋のトマトカレーというと、ちょっと味に角があるというか、それはそれでワイルドでよかったものの、すこし強めの味付けだった……という印象がありました。しかし、このラタトゥイユカレーは、トマトが主役、野菜の甘さが出ていることもあり、白米との相性がよいうえにトゲトゲしない、よい塩梅となっています。
また、それほど辛口ではないので、辛いものはどうも……という人でもいけるのではないでしょうか。ただ、松屋のメニューらしく、ニンニクは強めなので、苦手な人は考慮したほうがよいと思いました。
惜しむらくは、ここに肉が入っていれば……と思ってしまうことです。「ラタトゥイユをカレーにしたのだから、肉がないのはしょうがあるまい」と言われればそれまでとはいえ、ここに、たとえばトマトと相性がよいチキンが入ったら、もっとよかったのに……と感じてしまいました。
まあ、普通に考えれば、「野菜が多めのトマトカレー」とみなすべきでしょうし、そうとらえたときの完成度は高いはずです。ちなみに、松屋で毎回感じていることですが、みそ汁との相性はとくに考えないほうがよいです。「実存は本質に先立つ」という言葉は、松屋のみそ汁を指していたのかもしれません。
もう一つ何かがあれば天下を取れるのではないかと思うぐらい、まとまった仕上がりになっています。天下ってなんだよ……と言われると困りますが、それほど、高いポテンシャルを感じました。3月8日に登場する「半熟玉子とチーズのラタトゥイユカレー」は、もしかするとそれに近いものになっているかもしれません。
筆者としては鶏肉あたりが入れば“完成”したのにな、ただそれだとそもそもラタトゥイユじゃないしな、580円という価格も考えればぜいたく言ってもな……と、それ以上の進化を考えたくなるカレーでした。それも、完成度の高さがあってこそ。気になるようなら迷わず試してほしい一品です。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。
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