京都大学 基礎物理学研究所の研究チームは、電荷が反対の粒子間に斥力が働く状況を、数値シミュレーションで実現することに成功した。量子アルゴリズムによる手法を用いることで、通常の方法では解析が困難だった現象を直接調べられるようにした。今後は、通常の方法では解析が難しい初期宇宙の問題の解明への貢献が期待されるという。
京都大学 基礎物理学研究所の研究チームは、電荷が反対の粒子間に斥力が働く状況を、数値シミュレーションで実現することに成功した。量子アルゴリズムによる手法を用いることで、通常の方法では解析が困難だった現象を直接調べられるようにした。今後は、通常の方法では解析が難しい初期宇宙の問題の解明への貢献が期待されるという。 通常電荷の正負が同じ粒子の間には斥力(反発し合う力)、正負が反対の粒子の間には引力(引っぱり合う力)が働くことが知られている。ところが最近、このような常識が、特殊な状況下では必ずしも成り立たないということが指摘されていた。 研究チームは、シュウィンガー模型と呼ばれる1次元量子系において、量子コンピューターを使用する際に使われるアルゴリズム(量子アルゴリズム)を適用。電荷の間に斥力が働くと指摘されている状況を数値シミュレーションで直接調べられるようにした。IBMの量子コンピューター用の古典シミュレーターを用いて電荷間の力を計算したところ、あるパラメーター領域においては実際に斥力が働くことが分かった。 研究成果は、2022年1月14日に、日本物理学会欧文誌(Progress of Theoretical and Experimental Physics)にオンライン掲載された。(中條)