金沢大学と理化学研究所の共同研究チームは、原子や分子の構造や性質を解析する量子化学計算と機械学習を併用して、有機合成において片方の鏡像異性体(エナンチオマー)を選択的に作り出す「不斉触媒」を設計することに成功した。実験データの収集が難しい反応系などで触媒の開発を効率化できる可能性がある。
金沢大学と理化学研究所の共同研究チームは、原子や分子の構造や性質を解析する量子化学計算と機械学習を併用して、有機合成において片方の鏡像異性体(エナンチオマー)を選択的に作り出す「不斉触媒」を設計することに成功した。実験データの収集が難しい反応系などで触媒の開発を効率化できる可能性がある。 医農薬品などの開発ではコスト削減や開発期間短縮を目的に、人工知能(AI)の活用が注目されている。金沢大学と理研の研究チームは、モデルとする不斉触媒反応において、量子化学計算で算出した訓練用データを用いて機械学習を実行し、重要構造情報を可視化。さらに、その情報を基に研究者が設計した分子を用いて、再び量子化学計算を実行することで訓練用データを追加するサイクルを繰り返し、目的とする触媒を設計した。 研究成果は2022年1月13日に、日本化学会欧文誌(Bulletin of the Chemical Society of Japan)に掲載された。(中條)