あなたのWordPressサイトの速度は平均以下? サーバの応答速度を計測してサイトの健康診断をしよう
2022年03月02日 10時00分更新
こんにちは。KUSANAGIの開発チームで取締役をしている相原です。
「KUSANAGI」はWordPressをはじめとするCMSを高速に動作させる仮想マシンです。わたしたちは「KUSANAGI」を開発して皆様にご利用いただくほか、お客様のWebサイトを「KUSANAGI」で運用しています。
この連載では、「KUSANAGI」の開発やお客様とのお話の中で感じた課題や実際の運用の中で得た知見などをお伝えしています。
わたしたちが重要と考えている速度の指標のひとつにTTFB(Time To First Byte)があります。
TTFB(Time To First Byte)とは
TTFB は、ブラウザがサーバから最初の1バイトを受け取るまでの時間です。TTFBにはネットワークの通信時間とサーバの応答時間が含まれます。
TTFB(Time To First Byte)の推奨値は200ミリ秒未満
GoogleはTTFBが200ミリ秒未満であることを推奨しています。
GoogleのPageSpeed InsightsではTTFBが600ミリ秒を超えると「遅い」と判断され、「パフォーマンスの問題を診断する」というエリアの「改善できる項目」に「最初のサーバの応答速度を速くしてください」と表示されます。
PageSpeed Insightsのパフォーマンスの測定はSlow 4G、アジアからのアクセスをシミュレートしているので、実際に日本で高速な環境からアクセスした場合とは少し結果が異なります。タイミングによって多少の差異はありますが概ね同じ条件で計測してくれるので比較改善の指標としてもよいですね。
あなたのWordPressサイトの速度は平均以下?
このグラフは、わたしたちが独自に調査した「日本の約30万件のWordPressサイトのTTFBの分布※」です。
Googleの推奨値である200ミリ秒未満のサイトは約1万3000件。200ミリ~600ミリ秒のサイトは約9万3000件。全体の約1/3にあたる10万6000件のサイトが合格、残りの2/3のサイトは「遅い」という評価です。
また1秒以下のサイトが約19万5000件と全体の約2/3をしめているので、1秒を超えると「他のサイトと比べてなんか遅いなぁ」という印象を受けるのではないかと思います。
あなたのサイトのTTFBはどのあたりに位置していましたか?
※日本のWordPressサイト:外部からWordPressであると判断できるサイト(URL)でドメインに「.jp」が含まれる、または「lang="ja"」の指定があるものをAIで抽出し、TTFBをPageSpeed InsightsのAPIで測定。
TTFBは重要視すべきか
TTFBは速度の指標のひとつです。TTFBのあとにページのレンダリングが行なわれますから、TTFBの速度がページの表示の体感速度にも影響することは想像できますね。
注目の「Core Web Vitals(コア ウェブバイタル)」の直接の指標には含まれていませんが、LCP(Largest Contentful Paint)の改善方法としてあげられるなど関連性も深いことからも、重要な指標のひとつといえます。
TTFBはサイトの健康状態をあらわす
実はわたしたちがTTFBに注目するのは、Google の評価やユーザーエクスペリエンスといった外部からの評価だけのためではありません。
WordPressのような動的CMSはユーザーのリクエストを受けて動的にコンテンツを生成するため、「Webサーバがコンテンツを生成して送信する」ステップで特に時間がかかる傾向があります。
TTFBが遅いサイトではテーマやプラグインの動作が遅かったり、データベースが肥大化していたりといった課題を抱えている可能性があります。
経験則ではありますが、TTFBが2秒を超えるようなサイトでは、アクセスが集中したときの表示遅延や何らかの障害が起きる可能性が高い傾向にあります。
お客様からアクセス集中で落ちる、表示が遅延する、というご相談をいただくサイトもTTFBが遅いことが多いです。
キャッシュを効かせない状態でのTTFBにも注目
「TTFBを計測してみたら爆速だった! 安心だ」と思われた方、管理画面やキャッシュの効いていないページではどうでしょうか。
WordPressであれば検索結果のページで測定してみるのもひとつの方法です。
キャッシュがない状態でのTTFBにはWebサーバでコンテンツを生成する速度が大きく影響します。キャッシュがない状態でTTFBが遅かったら、アプリケーションに潜在的なリスクを抱えているかもしれません。
「TTFBはサイトの健康状態をあらわす」
TTFB 2秒以内をひとつの目安としてアプリケーションの健康診断をしてみてはいかがでしょうか。
TTFBの改善については次回以降でお話したいと思います。