東京理科大学の研究グループは、食用トウモロコシを用いて、簡単な手法により、均一サイズのナノ粒子を大量に作製することに成功した。ナノ粒子は、がんや炎症部位などへ薬物を効率的に送達するドラッグ・デリバリー・システムとして非常に有用であり、安価で安全性の高いがん治療薬などへの応用が期待できるという。
東京理科大学の研究グループは、食用トウモロコシを用いて、簡単な手法により、均一サイズのナノ粒子を大量に作製することに成功した。ナノ粒子は、がんや炎症部位などへ薬物を効率的に送達するドラッグ・デリバリー・システムとして非常に有用であり、安価で安全性の高いがん治療薬などへの応用が期待できるという。 ナノ粒子とは、リポソームや脂質エマルジョンなど脂質膜で囲まれた直径約100ナノメートルの粒子を指す。大きさや膜表面の特性を調節することで体内動態を容易に制御できることから、体内の目的の部位へ薬物を効率的に送達するのに使える。だが、合成には複雑な工程が必要で、コストがかかる問題があった。 東京理科大学の研究グループは、生産性の高いナノ粒子の作製方法として、食用植物由来ナノ粒子に着目。安価で大量生産が可能であるトウモロコシ(スーパースイート種)の可食部を粉砕して遠心分離/超遠心分離し、平均直径80ナノメートルでほぼ均一なサイズの粒子を大量に作製した。さらに、このナノ粒子が、がん細胞に優先的に取り込まれてがん細胞の増殖を抑制し、免疫細胞に作用して強い抗がん効果を発揮することを確認した。 本研究成果は、サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)誌にオンライン掲載された。(中條)