2022年1月から「ふるさと納税」の確定申告手続きが簡単になる
全国の都道府県や市区町村など、自分が応援したい地域の自治体に寄附できる「ふるさと納税」。1月~12月の1年間に行った寄附額のうち、自己負担額の2000円を除いた額が、所得税と住民税から控除されます。しかも寄附した自治体からはその地域の特産物などの返礼品がもらえるという魅力的な制度です。
「ふるさと納税」の寄附額は、寄附した自治体から届く「寄付金受領証明書」を添付して確定申告することで、寄附額が控除されます。この確定申告の方法が2021年分、2022年の確定申告から簡素化されることになりました。これまでは寄附した回数分の「寄付金受領証明書」の添付が必要でしたが、2022年の確定申告からはそれらの書類に代わって、特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄付金控除に関する証明書」を利用できるようになります。
特定事業者とは国税庁長官が指定した、「ふるなび」「さとふる」「ふるさとチョイス」など、主に「ふるさと納税サイト」を運営する事業者で、2021年11月12日時点の特定事業者は下記の計14社です。
「ふるさと納税」の寄附先が2~3件であればともかく、10数件と多い場合は、「寄付金受領証明書」の提出が10数枚に及んでしまいます。それが今回の申告手続きの簡素化によって、特定事業者が発行する証明書1枚で良くなるので簡単になります。
「寄附金控除に関する証明書」には、次の事項を記載します。ただ自分で記載する必要はなく、特定事業者のマイページなどから、全て記載された証明書の電子データをダウンロードできるのでラクです。
「寄附金控除に関する証明書」に記載する内容
・寄附者の氏名、住所
・その年中に仲介した寄附者の寄附総額(年間寄附額)
・特定事業者が寄附を管理している番号(寄附番号)
・寄附年月日
・寄附先の名称及び法人番号
・その他参考となるべき事項
「寄附金控除に関する証明書」の記入例は次のようになります。
2021年の「ふるさと納税」を国税庁長官が指定した特定事業者のサイトから寄附している場合は、確定申告の手続きを簡易化できます。複数の「ふるさと納税サイト」から行っている場合は、2022年ではどれか1つの事業者に絞った方が、その翌年の確定申告がラクにできます。なお、寄附した自治体から送られてくる「寄付金受領証明書」は、「寄附金控除に関する証明書」があれば不要ですが、念のために保存しておくことをおすすめします。
会社員などの給与所得者なら、寄附先が5自治体以内で、勤務する会社が税金の申告を行ってくれている場合、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が適用し、各自の確定申告が不要になります。ただ「ワンストップ特例申請書」を寄附先の自治体に提出する必要があり、その送付期限は寄附した翌年の1月10日まで。この期限に遅れた人は確定申告が必要になります。
2022年の「ふるさと納税」のスケジュールを把握しよう
2022年の「ふるさと納税」に関するスケジュールを説明します。
2022年「ふるさと納税」スケジュール
1月1日…2022年分の「ふるさと納税」スタート
1月10日…2021年分の「ワンストップ特例申請書」の送付期限
2月16日~3月15日…2021年分の確定申告期間
確定申告後…所得税の還付
住民税の減額(「ワンストップ特例」の場合は全て住民税の減額)
12月31日…2022年分の「ふるさと納税」終了
「ふるさと納税」は1年間の年収が明らかになる年末に行う印象がありますが、むしろ年初に行った方がいいケースがあります。それはすぐに限定数に達してしまう人気の返礼品を獲得できるからです。
例えば、山梨県のシャインマスカット、福岡県のあまおう、宮崎県のマンゴーなど、人気のフルーツは申し込みが始まると、あっという間に品切れになってしまいます。そういった人気の返礼品も、年初なら狙いやすくなるというわけです。