端末販売も大きく変わる可能性 抜け道的な端末安売りも
格安SIMとは直接関係がないところだが、最新スマートフォンの入手方法は重要なため、触れておきたい。2019年秋から契約時の端末値引き上限が通常2万円という規制が導入されているが、昨年末頃から抜け道的な販売方法が話題になっている。
これは3大キャリアのiPhone 12 miniやiPhone 13 miniの販売で見られるもので、MNPでの契約時に「いつでもカエドキプログラム」のような残価設定型分割払いを組み合わせることで、最初の2年間の支払額が、たとえば1円×23回などになるというもの。2年間の利用後には、残価として3~5万円程度が残り、その分を一括払いか分割払いかで支払う必要があるが、その時点で端末を返却すれば残価の支払いは免除となるため、2年間の利用で端末にかかる費用はわずかで済んでしまう。
2年間、ガラスを割らずに故障もさせないなど、良好な状態で返却しないと修理費相当の費用がかかるが、それ自体は普通に購入しても同じ。そもそも残価の3~5万円で買い取ったとしてもオトクであるのに変わりはない。そして重要なのは、今は回線維持を条件とした端末割引はできないので、購入時に加入した回線を必ずしも使い続ける必要がない。店舗によっては回線加入直後にahamoなどに移行するケースの案内までしているところもある。
こうした販売方法は体力のある3大キャリアしかできないことだが、前述のような販売店の案内からも、格安SIM→3大キャリア→格安SIMというように短い期間で乗り換えれば、格安SIMユーザーでも最新スマートフォンを安く使うことができるかもしれない。ただし、そのようにすぐに格安SIMに移行する人ばかりになるようなら、キャリアにとってメリットはなく、販売方法が変わるかもしれない。
また、端末割引の規制があるなかで、さらなる新しい販売方法が生まれてくる可能性もある。抜け道があるがゆえに、なし崩し的になっていくことも考えられ、端末を安く買いたいと思っているのなら、最新の情報を得て、メリット・デメリットを冷静に見分ける力をつけておきたい。
キャリア連携のサービスはさらに拡大が進むだろう
通信料金を直接的に割引しなくても、連携したサービスに特典を付ける傾向は今後も強まっていくと予想する。ソフトバンク/Y!mobileのヤフー系サービスとの連携は非常に強く、最強クラスの特典の大きさは当面は変わらないだろう。
UQ mobileもauでんきとの組み合わせで料金が大きく下がり、povo2.0でau Payの支払いなどで“ギガ”がもらえる「ギガ活」を展開するなど、auの冠の付く金融サービスとの連携特典は充実が進んでいる。ドコモではdカードやdポイントとの連携のほか、今春開始予定のドコモでんきも、ドコモ回線を持っていれば最大10%のdポイントが付く。特にドコモは、クレジットカード「dカードGOLD」の還元率を高めて加入者を増やそうとしている。
MVNOの格安SIM自体は曲がり角で体力勝負が強まる
本連載で本来メインとなるべきMVNOの格安SIMだが、昨年はIIJmioが大きく料金を下げたギガプランを投入するなど、1000円以下で3GB前後の容量を持つ音声SIMが増えている。しかし、以前ならIIJmioに合わせて各社が値下げを発表していたが、IIJmioの水準に近い料金のものは一部に限られている。
これは値下げ競争についてこれない事業者が多くあるということを意味する。通信サービス自体がそれほど儲かるものでもないということで、MVNOが今後維持していくためには関連サービスを充実させるしかないのかもしれない。
2022年はさらに体力勝負の様相が強まってくる。3大キャリアが格安と呼ばれる領域まで本気を出して取り組むようになってきてること、連携サービスにさらに注力していることなどから、MVNOの格安SIMでは本格的な淘汰が始まろうとしているのかもしない。
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