2021年には新型コロナウイルスの諸々が落ち着いてほしいと願っていたが、2022年になって半分落ち着きつつもまた新たな火種が発生している状況だ。本連載で取り上げているモバイル通信においても家篭もりするかどうかで通信量や求められるサービスも変わってくる。また、2021年は格安SIMが曲がり角に差しかかり、一方で3大キャリアは本業より関連サービスに注力していくと予想する。
政治主導の変化はもう無さそうで
ahamoのような新料金プランは早くも曲がり角にさしかかるか
まず、政府の要請で登場したahamoをはじめとする20GBで2000円台の新サービスは今のままでは今後は発展しないと思われる。
もともと、KDDIもソフトバンクもメインブランドにサブブランド(UQ mobile/Y!mobile)、さらに傘下のMVNOの格安SIM(BIGLOBEモバイル/LINEモバイル)と3段階の住み分けがあり、それぞれに料金とサービスのバランスが取れていた。そこに20GBで2000円台というサービスが割り込んできたことでバランスが崩れてしまった。
KDDIはpovoをさっさとまったく異なるpovo2.0にして、3段階の枠外に追いやり、ソフトバンクのLINEMOは2プラン化して、受付終了したLINEモバイルに近いものにして3段階を復活させるなど、すぐに元に戻してしまった格好になっている。
サブブランドを持たないドコモだからこそahamoは人気を集め成立しているが、UQ mobileやY!mobileがあるKDDIやソフトバンクにとっては新料金プランはあまり意味はなく、もともと不要だったのかもしれない。
UQ mobileやY!mobileは単純に料金だけを見ればpovoやLINEMOより割高ではあるが、電気サービスとのセット割や複数回線割引まで入れると新プランに匹敵するどころか、通信量が少ないケースではさらに安く利用することも可能だ。
ahamoはもちろん今後も提供され続けるだろうが、20GBで2000円台のワンプランでは厳しいと感じるユーザーは多いはず。今後も一般ユーザーの通信量は増えるだろうし、一方で20GBは多すぎるという人もいるだろう。ahamoに異なる通信量のプランが登場しなければユーザーの離脱が進む可能性もあり、そうなった場合にドコモがどう判断するかは注目と言える。
楽天モバイルは、もう少しサービス改善がほしい
月間の通信量が1GB未満ならば無料で利用できる新プランが話題になった楽天モバイル。最大の問題は変わらずエリアで、auのローミング接続が終了した地域では狭くなっている。もちろんエリア拡充は進んでおり、筆者の周りでも面としてのエリアの広がりとともに、弱くて使い物にならない場所でも改善されているなど、質の面でも充実しつつある。しかし、先行する3キャリアに匹敵するとは言い難く、建物の中など穴はまだまだある。
また現在、「20GBまでなら1980円(税抜)」というような広告も見られるが、auのローミングエリアでしか使っていないのなら、高速通信ができるのは5GBまで。3GBを超えた時点で2178円になるのに、5GBで大幅に速度低下(最大1Mbps)してしまうのは使い勝手がいいとは言えない。
また料金プランが1つしかないことで、油断してたくさん使っていると自動的に3278円になってしまうのも心理的なハードルがある。また、楽天経済圏との結びつきはメリットとは言え、楽天モバイル加入に伴う還元率アップは1%。Y!mobileとヤフー系サービスの連携と比べると弱く、この還元率では楽天市場のヘビーユーザーでなければ積極的に加入しようとはなりにくい。
たとえ月3278円払っても、楽天回線エリアなら無制限のデータ通信が可能だし、Rakuten Linkアプリを使った国内通話無料などメリットも大きいが、一般ユーザーが普通に使うにはまだまだ課題があると言わざるをえない。
最近では昨年10月にドコモが起こした大規模通信障害もあって、無料のサブ回線として勧められることが増えており、筆者も周囲に同じように勧めている。しかし、そういうユーザーばかりでは楽天モバイルにはお金が落ちにくく、エリア拡充やサービスの継続性という面で不安になる。楽天モバイルはなんらかの対策をしてくるとは思うが、その中身については今後に注目だ。
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