古いインターフェースは月に1回でも使う機会があるなら残す
ディスプレイ出力のアナログRGBや有線LANなど、他社ではすでに搭載されなくなったいわゆるレガシーインターフェースを今でも搭載しているのがレッツノートの面白いところ。正直、もういらないのではないかとも思うのだが、意外と今でも利用しているユーザーがいるという結果がでているという。
「自社内では全く使わなくなっていても、技術プレゼンの場や研究会などに出席した際、プロジェクターとの接続で急遽使うことになった、といったことが意外とあります。完全に使われなくなれば我々も廃止を考えますが、アナログRGBの使用回数を調査したところ、今でもないと困る程度の割合で使われていました。月に1回とか、そういった頻度で利用される機会があるなら、残していく方針です」(白神氏)
もちろんアナログRGBがなくても、別のアダプターやケーブルで代用できる場合も多いだろう。しかし、アダプターやケーブルを持ち出し忘れることもある。また、カバンの中から探している間や、接続、設定の手間などでも時間は過ぎてしまう。
レッツノートが目指しているのは、こういった仕事や作業の中断を極力なくし、続行できるようにすること。アナログRGBを搭載することで中断されなくなるというのであれば、搭載する意味がある。
実はこのコンセプトはインターフェースに限らない。モバイルPCを謳う機種に、未だ光学式ドライブを搭載しているのも同様の理由であるし、例えば、落下などで故障してしまえば、修理している間は仕事が止まってしまうことになる。これを防ぐために、頑丈性が高められているわけだ。
さらに言えば、これもレッツノートの特徴のひとつである、交換式のバッテリーを採用し、ユーザーによるバッテリー交換が可能だというのも、同じ理由による。
「バッテリーが劣化し、寿命がきたからとメーカー修理に出してしまえば、最短でも数日は使えない期間ができてしまいます。しかし、ユーザーがバッテリーを交換できるのであれば、修理期間は必要ありません。新しいバッテリーを手配し、付け替えるだけで済むわけです」(田中氏)
この視点から改めてレッツノートを見てみると、専用のACアダプターだけでなく、USB PDでの充電に対応していることも、このコンセプトによるものだと分かる。
長期利用を前提に、最新技術も積極的に採用
レガシーインターフェースが採用され続ける一方で、実はレッツノートは、Thunderboltのような新しいインターフェースや最新のCPUを積極的に採用しているという面も持ち合わせている。ビジネス向けであれば最新を追わず、安定した動作と潤沢な交換部品が用意できる手堅い構成にしたほうがいいのでは……、と考えてしまうのだが、これは、「少しでも長く使ってもらいたいから」なのだという。
「新しくPCを購入すれば、短くても3~4年、長ければ7~8年ほど使うことになります。最新のインターフェースを搭載していない場合、それを理由に将来使えなくなる時期が早まってしまうかもしれません。そういったことがないよう、今スグには必要ないかもしれない技術も積極的に採用しています」(白神氏)
ただし、インターフェースを搭載できるスペースは有限だ。ただでさえ小型化や軽量化を行っているため余裕は少なく、何を採用するか、どこに載せるのかといった問題には、毎回頭を悩ませるという。FVシリーズではインターフェースを減らさず、Thunderbolt™ 4を2つに増やすということを行っているが、これもかなり苦労があったそうだ。
「レイアウトを決めるときには、実装や機構デザインのメンバーと、毎日ケンカのような状態で仕様を詰めていっていました」(田中氏)
「できないといって諦めるのは簡単ですが、求める機能を実現してこそのレッツノートです。そこを何とかするというのが、開発陣のこだわりですね」(白神氏)
CPUに関しても妥協はなく、インテルとプラットフォーム開発で協力。最新CPUをいち早く搭載できるよう、開発体制が整っている。
ただし、開発リソースが無限にあるわけではないため、全ラインアップすべて同時に最新CPUを搭載するのは難しい。そのためニーズの高いモデルから順に更新していっているそうだ。2022年春モデル※では、最大5GHzで動作するインテル® Core™ i7-1195G7を、12.1型のSV2シリーズで投入している。
もちろんしっかりとパフォーマンスが発揮できるよう、冷却ファンユニットの改良も怠りない。さらに、通常よりも長時間高クロック動作を維持できる独自のテクノロジー「Maxperformer」に対応することで、同じCPUを搭載した他社モデルと比べ、高い性能を出しやすくなっているというのも見逃せないポイントだろう。
※店頭及びWeb直販「パナソニック ストア プラス」で販売。