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クラウドオフィススイート、ビジネスチャット、名刺管理を統合して1ユーザー550円/月から

ワウテック、中小企業向け統合SaaS「Wonder Cloud Works」発表

2021年12月10日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 キングソフトグループのワウテックは2021年12月9日、新たな法人向けクラウドサービス(SaaS)の「Wonder Cloud Works」を発表した。法人向けのクラウドオフィススイートとビジネスチャット、名刺管理アプリを統合して提供するもので、「月額500円から」という価格設定を武器に中小企業市場を狙う。リリースは12月15日。

ワウテックが法人向けSaaS「Wonder Cloud Works」を発表。キングソフトの法人向けクラウドオフィススイート「WPS Cloud Pro」も含まれる

キングソフト 代表取締役副社長/ワウテック 代表取締役社長の瀬沼 悠氏、ワウテック 取締役の大畠茂信氏

1万社の導入実績を持つ「WowTalk」を主軸とした統合SaaS

 ワウテックは、キングソフトグループで法人向けSaaSの開発/販売事業を手がける企業。グループ内では主に日本国内における法人窓口としての役割を果たしており、国内法人約1万3000社の導入実績を持つ。

 今回発表した「Wonder Cloud Works」は、ワウテックが提供するビジネスチャット「WowTalk」と名刺管理アプリ「CAMCARD BUSINESS」、さらにキングソフトのクラウドオフィススイート「WPS Cloud Pro」を統合した企業向けクラウドサービス。

Wonder Cloud Worksは3つのアプリを基本機能として統合している

 このうちWPS Cloud Proは、9月に発表した個人向けのクラウドオフィススイート「WPS Cloud」の法人向けサービスとして、この日新たに発表されたもの。

 文書作成、表計算、スライド資料作成の各アプリケーションを提供し、マルチデバイス対応、「Microsoft Office」との互換性、高い操作性、PDFファイルの編集/管理機能といった個人向けサービス同様の特徴に加えて、法人向け機能としてリアルタイムのオンライン共同編集、ファイル履歴の管理や復元機能なども備える。ストレージは1ユーザーあたり100GBとなり、企業全体で文書資産を管理できるコンソールも追加された。

クラウドオフィススイートに法人向けの管理機能などを追加した「WPS Cloud Pro」

ビジネスチャットを“ハブ”としたプラットフォーム戦略

 Wonder Cloud Worksを開発した背景には「働き方の変化」があるという。新型コロナ対策として日本でも一気に普及したリモートワークがその変化を加速させており、一般業務におけるクラウドサービスの利用ニーズが高まっている。Wonder Cloud Worksは利用する場所や端末を選ばないクラウドサービスであることに加え、WowTalkをコラボレーションやコミュニケーションのハブとして業務効率化も促進する。

 同サービスを紹介したワクテック取締役の大畠茂信氏は、サービス名に含まれる“Wonder”について「ビジネスユーザーにいい意味での“驚き”を与えられるようなサービスになっていこうという思いを込めた」と説明する。

 またWonder Cloud Worksの特徴については、「シームレスに使える」「ユーザーアカウントの管理」「利用頻度の高いコミュニケーションサービスを入口とした連携」「低コスト」などを挙げる。

 同サービスは、1つのIDでログインすれば各アプリケーションを利用可能で、それぞれのデータもリアルタイムに一元管理できる。

 たとえばWowTalkとCAMCARD BUSINESSを連携させて、WowTalkが備える「社内連絡帳」に「外部連絡先管理」機能を加えることで、CAMCARD BUSINESSにある連絡先をWowTalkのチャット経由で調べ、共有するといったことが可能になるという。さらに今後は、外部連絡先ともWowTalkで直接コミュニケーションできる機能も実装予定だ。また、WowTalkとWPS Cloud Proの連携により、チャットルーム内から1クリックで文書ファイルを展開したり、共同作業をしたりすることができるという。

Wonder Cloud Worksのアプリ間連携ユースケース

 このように、Wonder Cloud WorksはWowTalkを「ビジネスのハブ」に据えたコミュニケーションプラットフォームサービスと位置づけられており、顧客は必要なサービス(アプリ)を選ぶ形式となる。将来的にはこのプラットフォームに、勤怠管理、カレンダー、経費精算など、連携させることで利便性が高まるサービスを追加していく戦略。顧客ニーズに応じて追加開発をするだけでなく、他社クラウドサービスとの連携も進めていく予定だとした。

Wonder Cloud Worksをコミュニケーションプラットフォームサービス(“CPaaS”)と位置づけ、将来的にさまざまな機能を選択可能にしていく戦略

 ワウテック代表取締役社長でキングソフト代表取締役副社長も務める瀬沼悠氏によると、オンプレミスの「WPS Office」は4000社、WowTalkは現在1万社が利用しており、IDは50万件、CAMCARD BUSINESSは3000社、その他の企業向けサービスを入れると合計で2万社弱の導入実績があるという。

 ターゲットは各製品/サービスをすでに導入している顧客と、まだクラウドサービスの導入が進んでいないSMB(中小企業)層だ。大畠氏は「企業規模が小さくなるほど導入されていない」と指摘し、その要因として「サービスの種類が多くて選定が難しい」「複数サービスを選ぶと結局高額になる」「ITリテラシーなどの問題でなかなか定着しない」などを挙げる。必要なアプリだけを選択できるWonder Cloud Worksは、こうした課題を抱える企業に適するというわけだ。

必要な機能(アプリ)だけを選択し、低コストで導入できる点を強みと説明した

 単体サービスのWPS Cloud Proは12月9日に提供を開始。その後、12月15日からWonder Cloud Worksを提供する。税込価格は、WPS Cloud Proが月額330円(3ID~、ライトプラン)。Wonder Cloud Worksは、2製品の場合1ユーザー月額550円、3製品の場合は1ユーザー月額770円(いずれも年間契約時の月額、最低契約数は10 ID)。

仮面ライダーで知られる藤岡弘、さんと、長女の天翔愛さん、次女の天翔天音さん、三女の藤岡舞衣さんが登場。実業家でもありデジタルを使いこなせるよう奮闘している藤岡氏は、キングソフトから「新しい働き方デジタル改革大臣」に任命され、瀬沼氏、大畠氏と共に神田神社で祈祷を受けた

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