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匿名なら大丈夫ではない SNSの発言には責任が伴う

2021年12月10日 09時00分更新

文● せきゅラボ編集部

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情報を投稿したのは誰か、その情報は信頼できるか判断しよう

 SNSを利用することが当たり前になった時代。ここ1、2年は在宅での生活が長かったため、SNSを使う機会は以前よりも増えたかもしれない。ただ、その中で目にするものには、真偽が不確かな情報もある。さまざまなニュースや、「誰々からこんなことを聞いた」という話などが飛び交っているが、それらが正確なものなのか確かめているだろうか。

 当然、その中には、真偽が不確かな情報や、危険を煽るような言葉もある。これらをうっかり拡散してしまうと、適切な情報が伝わるのを妨げてしまい、状況を悪化させることに繋がりかねない。善意で情報を拡散したつもりが、誤った内容を伝えてしまい、信用を失うことにもなる。

 デマの拡散だけでなく、誹謗中傷にも注意したい。積極的に相手をおとしめようとしていなくとも、ある有名人の良からぬ噂をSNSで発見し、「これは許せない」と拡散したり、私見を投稿したりしたとしよう。もし、その噂が間違いだった場合、一度ネットに書き込まれた書き込みは、完全に削除するのはほとんど不可能だ。炎上している人間に言及したつもりが、自分自身が炎上するきっかけになる、ということもありえる。

 今では、SNS運営者にIPアドレスの開示、インターネットプロバイダーに個人情報を請求すれば、加害者個人を特定することが可能だ。以前はこれらに時間がかかっていたものの、最近ではスムーズな対応がなされるようになってきている。匿名だから間違っていても大丈夫、とはならない。自分の発言にSNS上の発言に責任を持つ必要がある。

 情報を投稿したのは誰か、その情報は信頼できるか。その正誤について、しっかりと判断する意識が、昨今のSNSを利用するうえで求められている。

SNSの利用はメディアリテラシーが重要になる

 また、SNSの利用にあたっては、自分自身や、家族、友人などの個人情報の取り扱いに関しても注意が必要。生年月日、住所、仕事、本名などをみだりに公開しすぎないこと。プライバシーや個人情報に関わる内容を含んだ投稿が拡散されると、本人以外にとっても削除することは困難になる。

 自身のアカウントを、プライベートアカウント、非公開にするという手段もある。しかし、自分の投稿が、スクリーンショットなどで外部に流出するリスクも考えられる。よって、見知らぬ人からの友達リクエストにも用心する必要がある。悪意を持った人間である可能性があるからだ。

 なお、SNS上のトラブルは、相談できる場所も増えてきた。たとえば総務省のサイト(https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/special/sns/)では、被害者が「アドバイスを受けたい」「賠償を求めたい」など、悩みに応じて相談先を探せるようになっている。

 ネットやSNSで知ったことに対しては、信頼に足る情報なのかそうでないかを見分けるメディアリテラシーが重要になってくる。誰かに対する誤った情報が拡散することによる被害は、拡散された側と拡散した側の双方にとって、大きなものとなることを頭に入れてほしい。

 今回は、McAfee Blogの「『匿名なら大丈夫』ではない」を紹介しよう。(せきゅラボ)

※以下はMcAfee Blogからの転載となります。

『匿名なら大丈夫』ではない:McAfee Blog

 子どもから高齢者まで、世代を問わず、SNSの利用はほとんど当たり前のような時代になってきました。しかしコミュニケーションツールとしての利点の一方で、これまでにない脅威を招いているのも確かです。近年はSNSで拡散されるフェイクニュースが社会不安を拡大してきました。コロナ禍では、ウイルスやワクチンに関係するデマが現在進行形で混乱をもたらしています。

 そして今回取り上げたい問題は、SNS上の誹謗中傷によるトラブルです。何も落ち度がない人でも、炎上に巻き込まれて誹謗中傷の的になる例が留まることを知りません。一度拡散された書き込みは削除することが困難で、被害者にとっては一生残る「デジタルタトゥ」になり、最悪の場合は、被害者が命を絶ってしまう痛ましい事件を招いています。

 デマの拡散や誹謗中傷に加担する人は、もしかすると「ネットなら足が付かない」「匿名なら何をしても大丈夫」と思っているかもしれません。しかしネット上の行動は、基本的にログ(記録)が残され、個人を識別することが可能です。炎上に参加する行為は、あなたの人生を人としても法的にも大きく変えてしまうかもしれないのです。

 SNS全盛の今だからこそ、自分の付き合い方を改めて振り返り、より良い活用法について考えてみてはいかがでしょうか。

一生残る「デジタルタトゥ」

 知人から有名人まで幅広く交流でき、最新情報に触れるきっかけにもなるSNS。その楽しさがある一方で、ネットやSNS上のバッシングの問題が、以前にも増して目立ってきました。著名人やインフルエンサーが、一方的に誹謗中傷を受け“サンドバッグ”状態になる。また誹謗中傷を受けた被害者が、裁判などを通して、被害からの救済を訴えることも珍しくなくなっています。海外では以前から社会問題になっていましたが、日本でもこの数年で広く認知されてきたのではないでしょうか。

 最近でも東京五輪では、選手たちのアカウントに対して、プレーへの不満や発言の揚げ足を取るなどして誹謗中傷が殺到していたことを記憶している方も多いでしょう。一般市民でも、誘拐事件の被害者家族に対するバッシングや、若者の浅はかな「バイトテロ」に対して住所氏名まで拡散されるなど、過剰な炎上に巻き込まれるケースは少なくありません。

 炎上に参加する多くの人は、軽い気持ちで溜飲を下げているだけなのかもしれませんが、被害者にとっては一生の問題になりえます。心身への傷はもちろん、一度ネットに書き込まれた書き込みは、拡散・保存され、完全に削除するのはほとんど不可能です。名前で検索すると、事実でなくても、炎上した話題がいつまでも残ってしまうのです。

 自分の安易な書き込みが誰かの人生を変えてしまうとして、それでも、その投稿をしたいでしょうか。そして加害者として自分が特定されれば、そうした「デジタルタトゥ」は自らの身に返ってくる可能性もあるでしょう。

匿名でも、加害者は「足が付く」

 知っておきたいのは、加害者も決して安全圏にはいないということです。コンピュータは、使用状況やデータ通信などの履歴を記録しています。あなたが何年・何月・何日・何時・何分・何秒にどんな操作を行ったのか、そして送受信されたデータの中身などが、端末やサーバーに保存されているのです。

 SNSやウェブサイトへの投稿は、偽名や匿名で行っているように見えていても、実態としては「足がつく」ことになります。被害を受けた人は、一定の手続きをとることで、そうした加害者の行動履歴を取得することができます。

 例えばSNS運営者にIPアドレスの開示、インターネットプロバイダに個人情報を請求すれば、加害者個人を特定することが可能です。こうした手続きは、以前は時間がかかる、大変な作業であったのは確かです。しかし痛ましい事件やトラブルが繰り返される中で、事業者側も、政府も、被害者をスムーズに救済できる方向で動いており、スムーズに対応できるようになってきています。

 自治体や専門団体など、相談できる場所も増えてきました。総務省のサイト(https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/special/sns/)では、被害者が「アドバイスを受けたい」「賠償を求めたい」「まずは誰かに相談したい」など悩みに応じて相談先を探せるので、参考にしてみるのも良いでしょう。

 ネット上の誹謗中傷には対策を求める声が強く、今後もより被害者を保護し、加害者に厳しい方向に進んでいくでしょう。今年4月には、発信者特定の手続きがよりスムーズに行えるようになる改正プロバイダ責任制限法が成立しました(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210421/k10012987511000.html)。9月16日に法務大臣が諮問した刑法改正では、侮辱罪の罰則強化が盛り込まれています(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210914/k10013258501000.html)。

画面の向こうに、人の存在を感じて

 SNSは本来優れたコミュニケーションツールであるだけに、同じ趣向を持つ人同士がつながりやすく、顔を合わせては言えないような意見を交換しながら極端に走りやすい傾向があります。また何かに賛同する意見よりも、反対意見のほうが書き込まれやすいといわれています。たとえSNS上で批判的な声が目立っていても、みんなが批判しているわけではないことを知っておきましょう。

 自分が投稿する前には、世界中から見られ、削除できなくなる可能性があることを思い出し、それでも書き込むのか一度考える時間を持つことが大切です。非公開アカウントであっても、“問題”となるような投稿が、スクリーンショットなどで友達から流出することは多くあります。

 特に加害者にならないためには、相手の発言が間違っていると思っても、落ち着いて対話を。感情的になりそうなときは、すこし時間をおいて、いつもの自分を取り戻す心がけが大切です。もしも自分の投稿が、SNSの運営側に警告されたり、削除されたりする場合には、第3者が見て不適切な行為を行っている可能性があります。それは、引き返す最後のチャンスになるかもしれません。

 結局のところ、SNS上でも、人と人のコミュニケーションであるのは変わりません。たとえ有名人であっても犯罪者であっても、相手はネット上のコンテンツではなく1人の人間。人格批判や根も葉もないデマは禁物です。

 SNSユーザーがますます増えるなか、発言には責任が伴うこと、人として、社会のルールやマナーに沿って行動するという意識を見直し、相手を尊重することが、より楽しいSNSライフにつながるのではないでしょうか。

著者:マカフィー株式会社 コンシューママーケティング本部 執行役員 本部長 青木 大知

※本記事はアスキーとマカフィーのコラボレーションサイト「せきゅラボ」への掲載用に過去のMcAfee Blogの人気エントリーを編集して紹介する記事です。

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