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“つなぐだけで使える”ギガビット「M4250」や10ギガ「M4300」をソリューション展示

ネットギアが「Inter BEE」初出展、Pro AV向けスイッチをアピール

2021年11月18日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 幕張メッセとオンラインを会場として2021年11月17日~19日の日程で開催されている業務用映像/音響/メディア業界向け展示会「Inter BEE 2021」(主催/JEITA:電子情報技術産業協会)に、ネットギア ジャパンがブース出展している。ネットギアがInter BEEに出展するのは初めてのこと。

 ネットギアブースでは、AV over IPマルチキャスト設定がプリセットされた1ギガスイッチ「M4250シリーズ」やSDVoE対応の10ギガスイッチ「M4300シリーズ」を中心に、「NewTek TriCaster Mini 4K」といったパートナー製品を組み合わせたソリューションのデモ展示が行われており、AV over IPの動向や導入に関心を持つ来場者でにぎわっていた。

「Inter BEE 2021」のNETGEARブース(ホール7:7610)

ブースでは2種類のデモ展示を行っている

Pro AV用プリセットで“つなげばすぐ使える”スイッチ「M4250」

 ネットギアが“AV Line”スイッチとして展開するM4250では、NDI(Network Device Interface)規格の映像伝送に対応したキヤノン、パナソニックのPTZカメラをM4250に接続し、M4250を介してカメラのリアルタイム映像をTriCasterに取り込み、素材映像に合成して画面表示するデモを展示している。

Pro AV(業務用映像音響)用フルマネージスイッチ「M4250-10G2XF-PoE+」

 M4250は、映像/音声伝送向けにあらかじめマルチキャスト設定がなされており、現場で「つなげばすぐ使える」製品。さらに、AV over IPの主要なプロファイル(映像:NVX、SVSI、Q-SYS、NDI、Dante/音声:Dante、Q-SYS、AES67、AVB)に対応するテンプレートをプリセットしており、ユーザーはWeb GUI上で各ポート用のプロファイルを選択するだけで、簡単に最適な設定ができる。

 「たとえばこのポートにはNDIのネットワークカメラ、このポートにはDanteのスピーカー――などと、デバイスの接続方式をGUI上で選択していくだけで簡単に設定できる。ネットギアではPro AV業界の幅広い映像/音響機器メーカーとパートナーシップを組み、接続検証を行ったものがプリセットされているので安心して使える」(ネットギア)

M4250のプロファイル設定画面。画面上でポートをクリックし、画面下の映像/音声プロファイル(テンプレート)を指定するだけで設定ができる

 また放送スタジオなどの設置環境を考えて、電源ケーブルとLANケーブルがすべて本体背面に接続される設計、無音化のため空冷ファンをオフにできる仕様なども、通常のネットワークスイッチにはないM4250の特徴だ。4Kネットワークカメラやアクティブスピーカーの電源供給用にPoE+/PoE++モデルも多数ラインアップしている。

SDVoEの映像も、Danteの音声もスイッチ1台で伝送「M4300」

 4月の「Interop Tokyo 2021」でも紹介されていた、M4300を中心としたSDVoEアライアンス製品によるビデオウォールソリューションも展示している。

 今回はBlackmagic Design製の8KビデオプレーヤーからSDI出力した8K映像をエンコーダでSDVoEに変換し、M4300スイッチを介してIDKのデコーダで4K×4面のディスプレイに表示する仕組みだ。また音声は別途、ビデオプレーヤーからアナログ出力したものをKramer Electronics製Danteインタフェース「FC-404Net」でエンコードし、M4300を介してFostex製のDante対応アクティブスピーカーで再生している。

SDVoEを使って8Kソース映像を4K×4面ビデオウォールに、また音声はDanteで再生。いずれもM4300スイッチを経由して伝送されている

 なお、今回のInter BEEではSemtechブース(ホール6 6104)でもSDVoEアライアンス製品で構成されたビデオウォールがデモ展示されており、ネットギアのM4300スイッチが使われている。

* * *

 NewTek TriCaster製品の国内販売元であるアスク・エムイー(アスク メディア&エンタープライズ事業部)、Kramer Electronics製品の日本総代理店であるコイケにも、それぞれ話を聞くことができた。

 両社の話に共通していたのが、業務用映像や音響のプロフェッショナルであっても、IPネットワークについての知識がないためにAV over IP導入に向けた最初の一歩が踏み出せない(あるいは忌避感を持ってしまう)ユーザーが多い、ということだ。これまで、まさに「つなぐだけ」で済んでいた映像/音響の世界で、つないだ後に細かな設定作業が必要となればそのハードルは高いだろう。

 そうした意味で、M4250やM4300といったPro AV向け設定がプリセットされているスイッチは「つなぐだけ」を実現するものとしての期待が高い。スイッチ単体、あるいはAV over IP対応の映像/音響機器単体ではなく、ソリューション展示として紹介することで、そのメリットもより実感しやすくなるものと感じられた。

 なおInter BEE 2021は、幕張メッセ会場では11月19日まで、オンライン会場では12月17日まで開催されている。

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