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MSIのフラグシップにふさわしい冷却性能と静かさ、そしてデザイン

組み立て済みでメンテナンスフリー、オールインワン型水冷CPUクーラーのトップグレード製品が登場、MSI「MEG CORELIQUID S360」

文●石川ひさよし 編集●ASCII

提供: エムエスアイコンピュータージャパン

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優れた冷却性能と静音性を両立

 今回は「MEG CORELIQUID S360」の製品紹介を写真中心に行なってきたが、最後にかんたんな性能検証も行なった。検証環境はAMD X570マザーボード「MAG X570S TORPEDO MAX」にRyzen 7 3800Xを組み合わせている。旧世代CPUとの組み合わせなのであくまで参考値としていただきたい。Ryzen 7 3800XのTDPは95W、現行世代のRyzen 7 5800Xよりも10Wほど低い値だが、8コアなのでまずまずの負荷はかかっているだろう。

 まず最初に行なったのはCINEBENCH R23のMulti CPUテストで、10分間連続稼働させてみた。また、ベンチマーク終了後(十分な熱を加えた後)に10分ほど放置しアイドル時の温度も計測した。

CINEBENCH R23 Multi CPUテスト
動作音 CPU温度 VRM温度
アイドル時 33.0dB 36.5℃ 38℃
高負荷時(最大値) 44.0dB 73.6℃ 40℃

 上記の値のうち動作音はファンの正面20cmの距離で計測したものだ。実際にケースに装着する際はケースのレイアウト次第で装着箇所が異なるので異なる値になるだろう。なお、たとえばラジエータから斜め上方20cmの位置に騒音計を置けばアイドル時で32.2dB、高負荷時で42.2dBといったように数値が低くなる。

 CPU温度に関しては、最大でも73.6℃だった。数値だけ見るとやや高いように見えるがCPU温度としては問題なく、これを44dBという静かさで実現しているところがポイントだ。実際、動作音はこのクラスの製品としては静かに感じられる。CINEBENCH R23のMulti CPUテストであれば50dB台に乗ってもおかしくないからだ。

 また、すべてのCPUクーラーに言えることだが、ポンプやファンの回転数はマザーボードのユーティリティによって管理されている。当然そのCPUクーラーの冷却性能内であるが、冷却性能に振る、あるいは静音性に振るといったことが可能だ。今回も同社ユーティリティのMSI Centerに任せ、Performanceに設定している。傾向を見るかぎり、MSI CenterではPerformance設定でもまだ冷却と静音性のバランスがとれているようだ。危険温度まで上昇しないかぎり冷やしすぎる必要はなく、ファンの回転数を必要最小限に抑えれば静かになる。

 そして水冷CPUクーラーは空冷CPUクーラーとは傾向がまったく異なる。たとえば空冷CPUクーラーは、CPU負荷に対してより敏感に温度が変化するのだが、水冷CPUクーラーは比較して変化がゆるやかだ。それを示してみよう。FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでの温度推移をサイズの風魔 弐と比べたものだが、ベンチマーク開始以降、風魔 弐は20℃の幅で激しく上下するのに対し、MEG CORELIQUID S360は10℃の幅で上下もややゆるやかだ。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでの温度推移

 最後にPCMark 10のStandardテスト実行時の温度推移を紹介しよう。普段一般的なPC利用時においてどのくらいの冷却が期待できるのかの目安になるだろう。先のFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク時と同様、おおむね50℃台で推移し、時折60℃台に入るといったグラフで、CPUの動作温度域としては冷やしすぎず高温になりすぎずといったところであることがよく分かる。終盤に70℃台(最大73.4℃)になるが、これはCPU負荷が高い瞬間であってそれでもこの程度で抑えられている。急激な負荷が生じても安心できるのは大きなラジエータ、十分な冷却液のおかげと言えるだろう。

PCMark 10での温度推移

MSIのフラグシップにふさわしい冷却性能と静かさ、そしてデザイン

 MSIの新型水冷CPUクーラー「MEG CORELIQUID S」シリーズ、その上位モデルである「MEG CORELIQUID S360」を試してみたが、ポイントとなるのは最新世代ポンプやラジエータの大きさからくる冷却性能と、高性能ファンによる静かさの両立だ。簡易水冷CPUクーラーはほぼAsetekのOEMであり、たとえばMEG CORELIQUID Sはその第7世代ポンプを採用しているが、MPG CORELIQUID Kも同様であるし、現行世代の他社ハイエンドモデルもおおむね同様に第7世代を採用している。そうなると性能面での差別化はファンとその制御になる。MEG SILENT GALE P12ファンの風量と静音性はたしかに高そうだ。

 また、デザイン、使いやすさも差別化のポイントになる。デザインと言っても簡易水冷CPUクーラーではポンプ部やファンくらいしか見た目の違いがないのだが、MEG SILENT GALE P12ファンの渦のようなブレード形状、そしてポンプ部にディスプレイを搭載しているもののファン自体は発光しないところがポイントになるだろう。たとえば同社マザーボードにはUNIFYシリーズというLED数を抑え、かぎりなくブラックに近いモデルがあるが、これと合わせた際、ケース内部がほぼ漆黒となり、唯一ディスプレイ部分が必要なステータス情報、あるいは個性的な画像を表示するといったイメージになる。もちろん、LED搭載マザーボードを組み合わせ、間接照明でラジエータを照らし出してもよいだろう。見た目にこだわる方、そして性能にも妥協したくないというならMEG CORELIQUID Sシリーズはよい選択になるだろう。

MEG CORELIQUID S360詳細ページ
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