Samsung SSD 『BOOST CREATIVITY SESSION』 第二弾
オリンピアンがモーションキャプチャーでVTuberデビュー? 制作の裏側を密着取材
“自然に見せる”ための秘訣とは
――そもそも、モーションはどのようなソフトウェアで記録するのでしょうか。
山田「いくつか代表的なソフトウェアがありますが、私たちはOptiTrackのMotiveというソフトウェアで記録して、そのデータを、MotionBuilder等で処理するという工程が多いですね」
――そうやって、コンテンツ内の人の動きが出来上がっていくわけですね。個人的に興味があるのですが、ゲーム内で長い階段をずっと登っていくようなシーンってありますよね。あれって、モーションキャプチャーが使われる代表的なシーンかと思うのですが。
山田「はい」
――ダンジョンによっては、何十段も階段があるわけじゃないですか。なのに、コピーアンドペーストっぽくなくて、すごく動きが自然なんですよね。あれってどうやってるんだろうと不思議に思っていて。
山田「いくつか方法がありますが、階段の場合は、数段……例えば5段くらいの階段を用意するんです」
――はい。
山田「5段分の登り降りを何パターンか記録して、それをつなぎ合わせていくと、自然な動作で階段を登り降りしているように見えます」
――なるほど! 1、2、3、4、5と収録して、1、2、3、2、3、4、5といったようにランダムにつなげると、より自然に見えそうですね。
山田「(その手法も)よくやります。あとは、CG上で不自然に見える部分があれば、自然に見えるように手直ししたりですね。けっこう、ナチュラルに見せるための作業に時間をかけます」
SSDの品質が作業効率にダイレクトにつながる!
――PCのスペックも、それなりに要求されますよね?
山田「Motiveの動作要件は実はそれほど高くなく、今回のセッティングではCore i7(3GHz以上)、メモリーは8GB以上ですね。ビデオカードはMotiveを使っている分にはハイエンドなものは必要なく、MotionBuilder等を動かすときに必要になります。あとは、ただコア数が多いよりも、1コアあたりのクロック周波数が高いCPUの方が、今回のモーションキャプチャーの収録に適しています。今回はAMDのCPUとGPUで組んでいただきましたが、かなりハイエンドなスペックだったので、安定してスムーズに作業ができました。相性の部分も問題なく、サクサク動いてくれましたね」
収録で使用したツクモ製BTOパソコンのスペックはこれだ!
OS:Windows 10 Pro(64bit)
CPU:AMD Ryzen 9 5900X(12コア/24スレッド、定格3.7GHz/最大4.8GHz)
GPU:AMD Radeon RX 6700 XT(12GB)
メモリー:16GB(DDR4-3200/8GB×2枚)
SSD:Samsung 980 PRO 1TB(読込最大7000MB/s、書込最大5000MB/s、NVMe、M.2 Gen4接続)
クーラー:Cooler Master製ヒートパイプ式CPUクーラーRR-212X-20PM-J1
マザーボード:ASRock X570 Steel Legend
ネットワークアダプター:ASUS XG-C100C
ケース:EX-623T-A4
電源:CWT製GPS750S-T(80PLUS GOLD認証/定格750W)
――最近はタブレットも高性能なものが増えてきていますが、制作に取り入れることはあるんでしょうか?
山田「確かに、タブレットも高性能になってきていますが、モーションキャプチャーの作業に使えるほどかというと、まだそこまでではないと感じています。やっぱりPCですね。OSだと、この業界は圧倒的にWindowsです」
――PCで作業する場合、SSDの読み書きの速度や品質も、制作に影響しますか。
鈴木「今回のようにPrimeColorカメラを使って1日収録すると、4TBとか8TBクラスのデータ量になるので、まずは容量。例えばこの前手がけた案件だと、8台のPrimeColorカメラを使った記録で、4TBを1日で使ってしまいました。それとバックアップをとりながら作業を進めるので、転送速度が大事ですよね」
――かなりの容量になりますね。今回の現場では、外付けのSSDにもバックアップしながら進めたとか?
鈴木「そうですね。モーションキャプチャーの生データはすごい容量になるので、まず収録したら外付けのSSDにバックアップして、事務所に持って帰ったら社内のサーバーにアップロードしています。なので、(外付けSSDの)転送速度は速いほどいいんです」
――Samsung T7 Touch(USB 3.2 Gen2対応)の使用感はいかがでしたか。
尾嵜「この前、USB 3.0のほかのHDDでバックアップしたら、12分以上かかったバックアップが、2分くらいで終わって、スムーズに作業が進みました」
――それはすごい。SSDの品質が、明らかに作業効率に直結していますね。
尾嵜「この現場でも、バックアップの時間を計算に含めていましたが、土井選手の演技に対する体現性が高くNGがほとんど出なかったこととバックアップ時間の短縮が相まって、結果的に2時間近く“巻き”で収録を終えることができました」
モーションアクター顔負け! 土井選手の身体能力
――今回のプロジェクトは、土井レミイ杏利選手の体の動きをトレースして、VTuberに仕上げるというものです。土井選手の動きは、モーションキャプチャーのプロの視点から見て、いかがでしたか?
鈴木「とにかく綺麗で、いろいろなところがよく伸びていたと思いましたね」
山田「普通、はじめてモーションアクターに挑戦すると、なんとなく縮こまった動きになってしまうんですよ。そうすると、完成したときにも、すこしモジモジと恥ずかしそうにしている風に見えてしまうんです。土井選手は、動きが力強くて、柔らかいといいますか。グッと力強く入ってくる一歩目が気持ちいい動作で、“バネ”を感じる動きでした。」
――さすがアスリートですね。身体能力によって、モーションキャプチャーでできることの幅も拡がるんでしょうか。
山田「たとえば、高くジャンプするモーションを収録したいときに、想定よりジャンプの位置が下だと、CGで補完するような作業が必要になるんですね」
――CG上で、より高くジャンプしているように見せるということですよね。
山田「ジャンプの高さが足りないとき、具体的にどういう作業が必要になるかというと、到達点を目掛けて、モーション自体をストレッチさせて、高く飛び上がっているように見せるんです。その上で、空中でのポーズが不自然なら、自然に見えるように調整したりですとか。そうすると、やっていないことをやっているように見せているので、どうしても“やってない感”が出てしまうんです」
――土井選手だからこそ、可能な動きが取れましたね。
尾嵜「マーカーが欠落なく収録されていて、リファレンス映像も必要ないくらいの動きでした」
なお、「BOOST CREATIVITY SESSION」は、今後も第三弾として新たなコラボレーションを予定しているという。 クリエイターのコラボレーションによって生まれる化学反応を最大限に引き出すために、Samsung SSDがどのような 役割を果たしていくのか今後も引き続き見守っていきたい。
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