10コアXeonプロセッサ、2TBのNVMe搭載で前世代比1.6~2倍の性能向上、運用簡素化も
無停止対応の産業エッジコンピューター「Stratus ztC Edge」新モデル
2021年10月12日 11時00分更新
日本ストラタステクノロジーは2021年10月12日、産業IoT向け高信頼エッジコンピューティングプラットフォームの新製品「Stratus ztC Edge(ジーティーシーエッジ) 200i/250i」を発表した。一瞬のシステム停止も許容されない環境向けの「FT(無停止)モード」をサポートするztC Edgeシリーズの最新モデルで、新たに最大10コアのIntel Xeonプロセッサや最大2TBのNVMeストレージを搭載して、データ処理性能を高めている。10月15日より国内提供を開始する。
ztC Edgeシリーズは、冗長化によるFT/HA(無停止/高可用性)モードを備えた高信頼エッジコンピューティングプラットフォームだ。今回発表されたztC Edge 200i/250iは、2018年に発売された同 100i/110iの後継機種であり、ztC Edgeの“第2世代”となる。
同シリーズの特徴であるFTモード(250iが対応)は、同社独自のハードウェアとOS(Stratus Redundant Linux 2.3)を用いてケーブル接続した2台のノード間でCPU/メモリを同期させ、プライマリノードがダウンした場合には無停止で(再起動なしで)セカンダリノードへと処理を引き継ぐもの。これにより、金融やエネルギー、交通、製造、ライフサイエンスなどの、一瞬のシステム停止も許されないミッションクリティカルなエッジコンピューティング処理をサポートする。
またHAモード(両モデルが対応)では、ストレージ間のデータ同期を行い、ノード故障発生時に短時間でのシステム復旧を可能にする。FTモードほどのミッションクリティカル性は必要ないものの、多数の現場PCをztC Edgeに仮想化集約して利用したい場合などには高い信頼性を提供できる。
今回のモデルチェンジにおいては、Intel XeonプロセッサやNVMeストレージを採用しており、前モデル比で処理性能が1.6~2倍にアップした。これにより、エッジにおけるより大規模/複雑なデータ処理を可能にする。また動作温度、取得認証も前モデルより拡大している。
エッジコンピューティング向けプラットフォームとして、IT管理者のいない現場でも簡単に運用できる工夫もなされている(ztCは“ゼロタッチコンピューティング”の略)。たとえばノードが故障した場合は、本体を丸ごと取り替えて接続するだけで、システムを止めることなく自動的に再同期処理が行われて自動復旧する仕組みを持つ。
ztC Edgeシリーズはシングルノード構成で導入をスタートできるが、今回の新モデルが搭載する最新版OSでは、シングル構成からデュアル構成への拡張(冗長化構成)を数クリックで実現する「構成ウィザード」も新規提供される。これも、IT管理者のいない現場での運用をサポートする機能である。
大規模なエッジコンピューティング環境の導入に対応して、クラウド型の管理ツールも提供する。多数の拠点に分散配置されているztC Edgeを集中管理することができるツールで、ユーザー企業のほか、ztC Edgeを自社製品に組み込んで納入しているメーカーやプロバイダーでのリモート管理サービスにも使える。
日本ストラタステクノロジー 代表取締役社長の松本芳武氏は、調査会社の市場予測データを引用しながら、今後数年間で急成長が予想されている産業オートメーションやスマートエッジ、IIoT(産業IoT)市場において、すでに無停止/高可用性コンピューティングに対するニーズが高まっているとの認識を示した。
「2018年発売の第1世代ztC Edgeは、同年にグローバルでかなり多くのPoCが実施され、2019年、2020年と徐々に単体での実装(導入)が広がった。それが今年に入って単体ではなく50台、100台と、かなり大規模な導入へと変化している」
第1世代のztC Edgeは、3年間で1000台超の本番環境導入実績があるという。その具体的な導入先として、上下水道や石油ガス、エネルギー、製造ライン、監視カメラ映像の分析による物理セキュリティ、小売の決済、交通運輸といったものがあると、松本氏は紹介した。
新製品の販売価格は、エントリーモデルのStratus ztC Edge 200iが145万円、FTモード対応の同 250iは215万8000円(いずれも2ノードセット、Stratus Redundant Linuxを含む税抜価格)。同社では初年度200セットの国内販売目標を掲げている。