プロバスケットの試合会場で
顔認証を使ったスポーツ観戦の実証実験
9月30日、ソフトバンクとB.LEAGUE(ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ)、沖縄バスケットボールは、沖縄アリーナで開催された「B.LEAGUE 2021-22 開幕戦 琉球ゴールデンキングスVSアルバルク東京」にて、顔認証ソリューションを使ったスポーツ観戦体験の実証実験を行なった。
今回の実証実験は、スマートフォンやチケットなどを取り出さず、顔認証だけで入場チェックをしたり、各種サービスを受けられるというもの。対象者は沖縄アリーナでの開幕戦および10月2日開催のチケット購入者。別途専用アプリの「Face&Go」をインストールし、Face&Goにチケット情報や顔、ニックネームを登録すると利用可能となる。開幕戦の観客は公式発表で3780人。ソフトバンクによるとそのうち約1700人の利用者登録があったとのこと。
Face&Goに登録した来場者は入場時のチェックのほか、スタジアムまでの無料シャトルバス乗車やオリジナルグッズの配布、スタジアム内で無料フード&ドリンクの入手、選手からのオリジナルメッセージ視聴といったサービスが受けられた。
顔認証にはiPadを使用。シャトルバス乗車時と入場時のチェックではiPadにサーモセンサーが装着されており、検温機能も搭載されていた。
筆者も実際に体験し、来場者の様子も確認したところ、顔の認識速度がiPadでも十分。ただしシャトルバス乗車は屋外、会場での入場チェックは日差しの強く当る場所ということもあり、顔認証に失敗したり、別の登録者として認識されたりといったエラーもあった。
ソフトバンク担当者によると、テストでは高い精度だったものの、実際に現場でやってみると、やはり明るさなど周りの環境に左右されやすいとのこと。どこに設置しても滞りなく処理できる精度やスピードが、今後の改善点となりそうだ。
とはいえ実際に体験してみると、スマートフォンを取り出さずスポーツ観戦での各種サービスを受けられるのは便利。自分もプロ野球観戦によく行くが、席を離れてトイレやフードを買いに行くたびにチケットを探して取り出したり、サイフを出したりするのを億劫と感じていた。特にフード購入後は両手がふさがることもあり、席に戻る際にチケットやスマホを探して操作し、係員に見せるのは大変。
ソフトバンク担当者によると、QRコードやバーコードではなく、あえて顔認証にこだわったのは「スマホを取り出さずにできること」を考え、スタジアム内での煩わしさをなくしスマートにするため。ソフトバンクが今回の顔認証システムを使用した実証実験は初めてで、開発も今年6月頃にスタートとまだ始ったばかりのもの。そのため実用化などは未定だが、今後は決済などと紐付けたサービスも考えているとのこと。
最近はスマートフォンに依存したサービスが多く、スマートフォンがなかったりバッテリー切れで使えないとサービスを受けられないというケースもよくある。もちろんサービス登録など母艦となるデバイスとしてスマートフォンは今後も必要不可欠だが、こういった顔認証システムなどが普及することで、「脱スマホ」的なサービス提供もそう遠くない未来で実現できそうだ。