本記事はソラコムが提供する「SORACOM公式ブログ」に掲載された「ユーザーのIoTチャレンジ紹介 IoTポストやスマート呼び鈴等」を再編集したものです。
目次
Qiitaエンジニアフェスタ2021とソラコムからのテーマ
SORACOM賞の選考基準
SORACOM優秀賞「視覚でわかる、スマート呼び鈴」
SORACOM優秀賞「LINE ボットが答えるIoTポスト」
SORACOM最優秀賞「夜も安心、機器の稼働を見守るIoT」
おわりに
IoTをやってみたくなったら?
こんにちは、ソラコムの松下(ニックネーム:Max)です。
ソラコムは、「Qiita(キータ)」が2021年夏に行った「Qiitaエンジニアフェスタ2021」という記事コンテストイベントに協賛し、9/9のQiitaエンジニアフェスタ2021 Online MeetupにてSORACOM賞の受賞者を発表しました。
ユーザーのIoTチャレンジがQiitaに投稿されましたが、ここではSORACOM賞の受賞記事についてMeetupではお伝えしきれなかった作品の魅力を紹介します!
Qiitaエンジニアフェスタ2021とソラコムからのテーマ
Qiitaとは、エンジニアに関する知識を記録・共有するためのブログサービスです。IT技術系の情報収集の際に見かけることも多いのではないでしょうか。
Qiitaではエンジニアのアウトプットを支援する企画として、毎年冬にQiita アドベントカレンダーという、クリスマスに向けた連続投稿イベントを開催しているのですが、「夏にもアウトプットの取り組みがあってもいいじゃないか!」という想いで開催されたのがこのフェスタとのこと。
ソラコムからは「SORACOMを使ったIoTにチャレンジしよう!」をテーマに募集したところ、多くの作品にご応募いただきました。ソラコムメンバー一同、大変感謝しております!
SORACOM賞の選考基準
選考基準は以下の通り設定し、ソラコムのソリューションアーキテクト、コミュニティーマーケティングマネージャーに加えて私(Max)が選考メンバーとして、最優秀賞1名と優秀賞2名を選出しました。
・日常生活や、業務の課題解決を実現している作品
・SORACOM サービスを効果的に利用している作品
・記事のLGTM数
どの作品も日常の困りごとをIoTで解決した珠玉の内容で、選考メンバーが苦しんだ(嬉しい)事を付記しておきます!
それでは、優秀賞の2作品、そして最優秀賞1作品という順番でSORACOM賞の受賞記事を紹介します。
SORACOM優秀賞「視覚でわかる、スマート呼び鈴」
SORACOM優秀賞1作品目は SORACOMのIoTボタンで耳の遠い祖父のために光とLINEで通知する呼び鈴を作るで、@kaonaga9さんが受賞されました。おめでとうございます!
内容は、来客時に使われる呼び鈴に視覚に訴えかける仕組みを加えることで、ご年配の方の生活を良くするというものです。
呼び鈴(インターホン)は音で来客を知らせるものですが、何らかの理由で聞き取れなかった場合は気づかずに困ってしまうわけです。音量を大きくするという手も考えられますが、今度は騒音となる可能性もあります。
この作品では、呼び鈴の隣にSORACOMのIoTボタンを設置、呼び鈴と共に押してもらうことでLINEに通知を送るとともに、スマートライト Hueのライトを点滅させるという、視覚にも訴える仕組みを作っています。LINE通知というのはありがちですが、電球を加えることでスマートフォンが無くとも気づくことができるというのが評価のポイントでした。
玄関までWi-Fiが届いているのかは状況によりますが、一般的にはあまり想定されません。そこで、スマートフォンと同じ通信(セルラー通信;IoTボタンではLTE-M)を内蔵したSORACOMのIoTボタンを使うことで、通信の問題を解決しています。
現時点では、来客者に呼び鈴とIoTボタンの2つを押してもらう手間がありますが、例えば「こちらも押してください」という張り紙1つで協力いただけそうというのも、IoTの初期における取り組みとして良かったです。
@kaonaga9さんにはスマートホームセットをお贈りします!これで、おじいさまのご家庭をより便利にしていただければと思います!
ちなみに、この仕組みをきっかけに「スマートホーム対応インターホン」が出てくれたら…とも感じました。メーカーの皆様、いかがでしょうか?
SORACOM 優秀賞「LINE ボットが答えるIoTポスト」
SORACOM 優秀賞2作品目は、ビジュアルプログラミングだけで郵便受けにモノが入ってるかどうか検知してみたで、@inui_yuiさんが受賞されました。おめでとうございます!
内容は、ハンダ付けもプログラムもゼロで、LINE ボットに問い合わせできるIoTポストを実現しています。
マンション等にお住まいの方でちょっと面倒なのがポストの確認です。特にポストがエントランスに集中しているような場合は、往復だけで大変なことになります。
この作品では、M5StackというIoTマイコンに距離センサーを取り付けて、ポストの中の有無を判定する仕組みにしています。また、エントランスのようなWi-Fiが無いところからの通信に、セルラー通信が使えるようになる3G拡張ボードと、IoT向けデータ通信 SORACOM Airを使うことで、どのような場所からでもクラウド連携できるようにしています。
こういった仕組みを作る際、一般的にはハンダ付けをしたり、黒い画面でプログラムを書いたりと少しだけ手間かかるものですが、今回はM5Stackに挿すだけで使えるセンサーを採用したり、UIFlowというWebベースのビジュアルプログラミングで実現しています。
評価ポイントは2つあります。まずはデータ通信量を考慮したSORACOMの通信プラン選定です。今回のようなポストの中身の有無だけをクラウドへ送信する場合、数バイトのデータで済みます。しかも頻度が少なければと1か月あたり数MB程度で済んでしまうこともあります。SORACOMには小容量向けの低価格プラン(plan01s – Low Data Volume)があり、まさにこういったケース向けで、実際に利用されています。気になるランニングコストも公開いただいております。加えて、データ転送サービス SORACOM Beamの利用で、さらなるデータ量削減を実現しているのも素晴らしいアーキテクチャだと、ソラコムメンバーからのコメントがありました。
もう一点は「問い合わせできる」という仕組みです。センサーデータはGoogle Spreadsheetに格納しておき、LINEから「郵便ある?」という問い合わせを送ることで、LINE ボットが回答してくれます。通常はセンサーの感知時点で通知することを考えますが、通知を受け取りたくないタイミングもあります。問い合わせの仕組みならば、利用者の都合に合わせることができるわけで、これは目からウロコでした!こういった利用者目線であることも受賞理由となりました。
@inui_yuiさんにはSORACOM IoT体験セットをお贈りします!これでさらなるご自宅の改善が進むことを願っております!
SORACOM最優秀賞「夜も安心、機器の稼働を見守るIoT」
SORACOM最優秀賞は、ESP-NOWを使ってGateWay方式でSORACOMへ送信する~機械のIoT化を低コストでで、@m_takeさんが受賞されました。おめでとうございます!
内容は、穀物乾燥機の稼働状態を見守る仕組みをIoTで実現しています。
農家には多くの農機具がありますが、中には冷蔵庫のような連続稼働が求められる機器があります。こういったものには監視&通知のメカニズムが入っていることもありますが、基本的に「現場で知らせる」仕組みとなっています。一方で、記事で対象となっている穀物乾燥機は、収穫期において昼夜問わず動かし続けなければいけないため、止まってないか?と心配になるわけです。
この作品では、穀物乾燥機のモーターのON/OFF状態や内部の警報信号に加え、温度センサーの情報をESP32というIoT向けマイコンで収集し、中継器を通じてクラウドに送信して状態や通知を受け取る仕組みを作っています。
データはダッシュボード作成サービス SORACOM Lagoonで閲覧できるように制作されてています。このように、監視している機器数や項目数が多く、単純に動いている/止まっているだけでなく、現場で何が起こっているのかをデジタルデータで表現・活用している事が最大の評価ポイントとなりました。
中継器を経由している背景はセンサーノードとして利用しているESP32の数かなと推察しています。1台1台にLTEといったセルラー通信を載せる場合、ネットワーク的な課題は解決しますが費用は増えがちです。そこで、ESP-NOWという無線通信プロトコルを利用して集約し、中継器からセルラー通信でクラウド連携するという絶妙なアーキテクチャを採用しています。また、通信量を削減するためにセルラー通信時はバイナリで送りつつ、クラウドに展開する直前でSORACOMの機能であるバイナリ―パーサーでJSON化するという手法が、技術的にも優れているとソラコムメンバーのコメントがありました。
最優秀賞の@m_takeさんにはルンバ i3をお贈りします!任せられることはロボットやIoTに任せて、屋外作業に集中いただければと思います!
おわりに
受賞された皆様、おめでとうございます!また、たくさんのご応募に重ねて感謝です!
IoTは「モノ・ネットワーク・クラウド」を組み合わせることで、現場のデジタル化を実現する技術です。10年前はこれらを揃えること自体が困難だったことを思うと、誰もがIoTを活用できる「IoTテクノロジーの民主化」への道を着実に歩んでいるんだなと感じました。
IoTをやってみたくなったら?
ソラコムでは、IoTのつなぐを簡単にするIoTプラットフォームSORACOMや、IoTデバイスを1つから手軽に買える「SORACOM IoT ストア」、そして、IoTへの取り組みの第一歩を後押しする手順書「IoT レシピ」を提供しています!もしIoTに興味を持っていただけたのであれば、ここから始めてみるのはいかがでしょうか?
その際にはぜひQiitaへ投稿いただき、また、#SORACOMというハッシュタグで共有ください!
これにて夏のフェスタは終了となりましたが、冬にはQiita アドベントカレンダーがあります!
SORACOMでも展開予定ですので、今後もQiitaのSORACOMタグをよろしくお願いします! (ああ、言ってしまった!有言実行せねば。過去の様子もご覧ください:2015年/2016年/2017年/2018年/2019年/2020年)
この連載の記事
-
第466回
デジタル
カメラとAIで楽器演奏シーンを簡単に残す、IoTプロトタイピングの裏側 -
第465回
デジタル
数千を超えるIoT機器を管理!生成AIで設備運用を効率化するhacomonoの挑戦 -
第464回
デジタル
SORACOMのビジネスパートナープログラムに、新たに5社の認定済パートナーが参画、SORACOM Harvest Data で日時データをタイムスタンプとして利用可能に takuyaのほぼ週刊ソラコム 08/31-09/13 -
第463回
デジタル
SORACOM Lagoon 3 の Alert rule の考え方をマスターして、最適な通知を作成 -
第462回
デジタル
LTE USB ドングル UD-USC1 を SORACOM サービスと組み合わせて利用する -
第461回
デジタル
EV充電インフラを保護する5つの方法 -
第460回
デジタル
IoT プロジェクトの課題を解決する、SORACOM サービスの活用事例 -
第459回
デジタル
ATOM Cam 2 専用 LAN アダプターを販売開始、ソラカメのクラウド録画マルチストリーミング再生機能をリリース takuyaのほぼ週刊ソラコム 08/17-08/30 -
第458回
デジタル
IoTで接続された充電ステーションがEVの普及を促進する -
第457回
デジタル
SORACOM Napterがさらに便利に!リモートアクセスの安全性と利便性を両立したWebターミナルのご紹介