Mac上で、WindowsをはじめとするさまざまなOS、その上で動くアプリを利用可能にするソフトウェア「Parallels Desktop」の最新バージョン「Parallels Desktop 17」が、8月10日にリリースされた。それを今なぜ、1ヵ月も経ってからレビューしているかについては、明確な理由がある。ひとことで言えば、特にApple Siliconを搭載したMacにとって非常に重要なアップデートを待っていたからだ。それが「17.0.1」として、9月7日にリリースされた。
今回は、その内容も盛り込みながら、Parallels Desktop 17の特徴、意義について、まずは機能面を中心に探っていく。性能面については、これに続く別の記事で取り上げる。
互換性、機能、性能向上のためのアップデート
Parallels Desktopは、基本的にmacOSのメジャーなバージョンの登場に合わせ、毎年メジャーなアップデートがリリースされる。実際には、macOSの正式リリースの少し前、毎年だいたい8月には新バージョンが発表される。その理由は、言うまでもなく新しいmacOSの内部の変更や新機能に対応するためだ。
Parallels Desktopは、macOSの1つのアプリケーションとして動作し、その上に他のOSを動作させる仮想環境を作る。ここで言う仮想環境とは、一般的なOSがそれをPCのハードウェアだと勘違いして動作する「仮想的なPCハードウェア」だと考えればいい。Parallelsの場合には、macOSを動作させる仮想環境を作ることもできるので、一般的なPCだけでなく仮想的なMacのハードウェアも作成できるというわけだ。
いずれにしても、形式的にはあくまでmacOS上の1つのアプリでありながら、仮想的なハードウェアを実現するために、一般のアプリとは異なる深いレベルでOSや現実のハードウェアとやり取りする必要がある。そのため、動作のベースとなるmacOS(これをホストOSと呼ぶ)の変化に対してデリケートなものとなっている。それが、macOSのメジャーバージョンに合わせて毎年、場合によってはそれ以上の間隔でアップデートが必要となる理由だ。
もちろん、今年のバージョン17は、次期macOSのMontereyに焦点を合わせたものだ。Monterey自体は、まだベータ版の段階だが、正式リリース後に重要な変更があれば、それに合わせてParallelsもアップデートするはずだ。最新のバージョン17でサポートするホストOSを確認しておこう。
現在のMacは、インテル製CPUからアップル自社製のApple Siliconへの過渡期にある。Parallelsは、もちろんユニバーサルバイナリ化されて、両方のMacに対応している。それでも仮想環境を作るという特殊なアプリだけに、Parallels自身も中身の変化の大きい時期だと思われる。現状のM1チップ搭載MacでサポートするホストOSがBig Sur以降しかないのは、単純にmacOS自体がBig Sur以降でしかM1に対応していないからだ。
Parallelsの年1回のメジャーアップデートは、単にホストOSに合わせるためだけのものではない。常に新機能を導入し、しかも基本的な性能も毎年向上させている。これを長年続けるのは至難の業ではないかと思われるが、実際にこのバージョン17が登場するまでも、着々と続けてきた。もちろん今回のバージョンも新機能の追加と性能向上を両方とも実現している。今回は新機能について見ていく。