業務を変えるkintoneユーザー事例 第117回
創業122年目の老舗が挑んだ社内業務の大改革
他社事例に学び、ロート製薬流にアレンジしたkintoneの社内浸透ノウハウ
2021年09月08日 10時30分更新
他社事例から学んでUIに反映し、導入を拡げたロート流アレンジ
導入効果も大きかった。kintoneアプリを導入することで、1人当たりの作業工数は51時間から14時間に70%削減することができたのだ。とは言え「決して、ここまで来るのは楽ではありませんでした」と柴田氏。
kintoneを導入してすぐにメンバーから「なんで日報なの?」とか「逆にやることが増えて面倒くさい」といった声が上がってきた。柴田氏はこの状況を打破すべく、他社事例をとことん調べ、UIに反映していった。同時に、kintone hiveにもオーディエンスとして参加したそう。
それらの学びから3つ、ロート流にアレンジした仕組みがある。1つ目が「デジタルチャンピオン」という役割だ。kintoneあるあるだが、同社も運用フェーズに入るとなかなか浸透が進まないという課題があった。そこで、kintoneのパワーユーザーにデジタルチャンピオンという肩書きを与えたのだ。肩書きと役割を得ることで、自覚と責任感が生まれ、モチベーションも上がったそう。そんなデジタルチャンピオンが社内へのkintone浸透に活躍した。
2つ目が「便利さと楽しさ」。既存のコア業務をkintone化して、kintoneを使わないと業務が回らないようにするという事例もあるが、柴田氏はそれを避けた。業務を無理にkintone化しないようにしたのだ。
「使わなければいけないというネガティブなものよりは、使うと便利・楽しいというポジティブな感情をトリガーにした方が浸透が進むのではないか、と考えたのです」(柴田氏)
そこで、社内コンクールを実施した。BPが店舗を訪問して交渉し、POPを付けたら5ポイント、ポスターを貼ったら10ポイント、ボードを貼れたら20ポイントをゲットし、kintoneに入力するようにした。結果はグラフ化して、ゲーム感覚で利用することで、チームや個人で店頭のシェアを上げたり、商品の視認性を上げる取り組みを実現したのだ。
3つ目が「ゲンバとホンバ」。柴田氏は自らの足を使って現場と本場に行くことを泥臭く意識したという。現場とは、課題の震源地のこと。そこから持ち帰った課題を、自分たちより先に行く人たちに学び、そしてヒントをまた現場に持って行くことでkintoneを浸透させたのだ。
「kintone hiveに参加してわかりましたが、同じ悩みを持った人はとても多いです。悩んでいる人が多いということは、必ずヒントがあります。積極的にコミュニティに顔を出したり、事例を探すことを、足を止めないで動き続けてください。最後に、kintoneを信じて惚れ抜いてください。必ず、使っていくうちに、kintoneを使っていてよかったなと思う場面が絶対にあります。われわれの社内でも徐々にコネクトが生まれています。このつながりをもっと強く、大きくして、世界の『Well-being』にコネクトしていきたいと思っています」と柴田氏は締めた。

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