なりたい職業、刺激と保守が並ぶ
「YouTuberになりたい」「プロゲーマーになりたい」という子どもは珍しくない時代となり、若者世代の職業観は徐々に変わってきているようだ。15~21歳女性を対象としたmemedays(ミームデイズ)の「Z世代の将来に関する意識調査」(2021年3月)を見ていこう。
将来なりたい職業を聞いたところ、1位は「インフルエンサー」(21.1%)という結果に。若者たちにとって、インフルエンサーは立派な職業として認識されているようだ。なお、同じくインフルエンサーとしての意味を含む「YouTuber」は11位(5.3%)であり、動画制作に限らず、様々な手法で個性を発揮することへの憧れが強いと考えられる。
また、2位は「保育士・幼稚園教諭」(18.4%)、3位は「芸能人(歌手・俳優・声優など)」(13.2%)、4位は「公務員」(12.3%)、5位は「教師・教員」(11.4%)。「インフルエンサー」と「芸能人」以外は、どちらかというと保守的な職業が並ぶ。Z世代の職業観は、個性的で華やかさを求める「刺激志向」と、社会に信頼され堅実さを求める「安定志向」とで両極化しているというわけだ。
なお、「その職業を選んだ理由」のトップ3は、1位「たのしそう」(56.1%)、2位「自分に向いていそう」(54.4%)、3位「やりがいがありそう」(53.5%)の順だった。
「将来のためにSNSをがんばる」
「将来や夢のために、いま頑張っていること」について聞いてみると、1位「勉強」(60.5%)、2位「学校生活」(39.5%)、3位「友達関係」(29.8%)、4位「検定・資格の取得」(27.2%)、5位「バイト」(26.3%)という結果に。興味深いのは、6位に「SNS」(24.6%)が入っている点だ。
また、「将来に対する考え方」について聞いたところ、72.8%が「SNSから影響を受けている」と回答している。SNSで見かけた意見に影響されやすい世代であることがわかる。
SNSでは似た者同士がつながりやすい。その結果、似たような言説ばかりを見かけるようになり、エコーチェンバー現象が働くことがわかっている。孤独に陥らないという意味ではいいが、意見が偏りやすくなるので、周囲の大人は意識して様々な意見に触れられる環境を用意してあげるといいだろう。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
この連載の記事
-
第266回
デジタル
6~9歳の5人に1人はSNS投稿・動画撮影経験済み。小学1~3年生が配信する例も -
第265回
デジタル
11~15歳の6人に1人はネットいじめを経験している -
第264回
デジタル
タイパを求め10代は倍速視聴・ながら視聴で生活の質を上げている -
第263回
デジタル
災害時に情報発信・拡散したことある人が2割もいる -
第262回
デジタル
「スマホ育児は良いこと」が8割。子どものスマホ利用は当たり前の時代に -
第261回
デジタル
板書は撮影、スクショがメモ代わり。中高生の勉強法は理想の紙×デジタル使い分けかも -
第260回
デジタル
意外!? 子どものスマホ所有開始年齢が10.6歳で下げ止まり -
第259回
デジタル
5年で新聞は減少、ネット・SNSが大幅増。ついにシニア層でも変化が! -
第258回
デジタル
炎上スピード増速中! 炎上最多はTwitter(X)、何気ない発言・写真も原因に -
第257回
デジタル
子どもの4人に1人はゲーム課金経験あり、SNS原因でけんかも -
第256回
デジタル
災害時に情報収集しやすいオススメTwitterアカウントはこちら! - この連載の一覧へ