『ぼくのなつやすみ』シリーズを手がけた綾部 和氏の最新作!

話題の"オラ夏"をレビュー、笑いと癒し、懐かしさ満載の夏休みを思う存分堪能できる良作

2021年08月12日 16時00分更新

文● イチえもん 編集●ASCII

すこし・ふしぎ(?)なエンドレスサマー

 一方、突如現れた恐竜や副題の「終わらない七日間の旅」が意味する超常現象など、すこし・ふしぎ(?)なストーリーも描かれている。何の変哲もない日常と、あっと驚く非日常が融合した夏休みだが、こういう夏休みにちょっぴり憧れを抱く自分がいた。

アッソーに恐竜が現れたことで、日常と非日常が1つになった不思議な夏休みへと様変わり

 個人的に良かった点は、本作のキーパーソンというべきあくの博士の存在感だ。マッドサイエンティストの博士が生み出した発明によって、摩訶不思議なトラブルに巻き込まれてしまう子ども。こういう博士と子どもの関係性は、どことなく映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を彷彿とさせる。そこもオラ夏の醍醐味の1つで、しんのすけとあくの博士のユーモラスなやりとりに、思わず笑みを浮かべてしまった。

奇妙な踊りをするあくの博士。この踊りが摩訶不思議な事件を引き起こことに……

 加えて、終わらない七日間の演出もなかなかに興味深い。同じ七日間を延々と繰り返すタイムリープもので、1周、2周とリープするたびにキャラクターの知られざる一面や謎の答えが少しずつ判明していく。タイムリープし続けるとさすがにマンネリ化するのではと危惧していたが、予想外の変化が次々と発生するため、安心してエンディングまで楽しむことができた。

終わらない七日間を体験することになったしんのすけ。果たしてこのループから脱する方法とは?

 なぜ恐竜が町に現われたのか。あくの博士の計画とは何か。タイムリープの謎とは。数々の謎が秘められた不思議な夏休みはどのような結末を迎えるのか、筆者は胸を躍らせながらプレイしていた。このシナリオでクレヨンしんちゃんの映画やOVAも観てみたいという思いが何度も頭をよぎった。

おうちで夏休みを満喫したい人にオススメ

 オラ夏は夏休みを満喫したい人にオススメできるタイトルだ。クレヨンしんちゃんならではのギャグ要素や、『ぼくのなつやすみ』シリーズならではの癒し体験が相まって、笑えて癒されるゲームに仕上がっている。同時に懐かしさを誘う雰囲気も絶妙で、ゲームを通してあの頃体験した夏休みを振り返るといったことも可能だ。

ケツだけ星人でダッシュ! これに気づいたときは大笑いしてしまった

 現在、コロナ禍の影響で外出や人との接触が厳しくなってきている。最近では都内の感染者数が3000~4000人以上にまで達しており、危機感は高まる一方だ。故郷への帰省が難しくなった今、オラ夏がもたらす癒し効果は、閉鎖的な日常においてプラスに働くのではないだろうか。自宅で夏休みを満喫したい人は、ぜひともオラ夏に触れてみてほしい。

【ゲーム情報】

タイトル:クレヨンしんちゃん「オラと博士の夏休み」~おわらない七日間の旅~
ジャンル:夏休み体験アドベンチャー
販売:ネオス
プラットフォーム:Nintendo Switch
発売日:発売中(2021年7月15日)
価格:通常版 6580円(パッケージ版/ダウンロード版)
プレイ人数:1人
CERO:A(全年齢対象)

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