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iOSやmacOSの進化が見えた! 「WWDC21」特集 第20回

アップル次期macOS「Monterey」成熟が楽しみなパブリックベータ注目ポイント

2021年07月28日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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メモを取った場所の記憶を手繰り寄せるクイックメモ

 クイックメモは、言ってしまえばメモアプリの機能を強化して、アプリを使っていないときでも、どこででも使えるようにしたもの。しかし、それだけでは片付けられない画期的な機能を備えている。連想記憶のような、人間の記憶の呼び出し方法を取り入れたように見えるもの。使い方によっては他に代わるものがない強みを発揮しそうだ。

 まず、どこでもクイックメモを取る機能自体は、それほど驚くようなものではない。たとえば、Safariなどのページでメモとして残したいテキストを選択し、マウスの右(副)ボタンをクリックして表示されるメニューから、「新規クイックメモ」、または「クイックメモに追加」を選べばいい。

 ちなみに、以前のメモアプリでも、この同じメニューにある「共有」サブメニューから「メモ」を選ぶことで、選択範囲のテキストをメモとして残すことはできた。クイックメモは、同じメモアプリに記録されるものの、それとは別物だ。

 これで新たにクイックメモが作成され、内容を確認できる新規メモのウィンドウが表示される。

 このウィンドウは、メモアプリが表示しているもので、この状態ではすでにクイックメモはメモアプリに記録されている。メモアプリのメインウィンドウでも、他のメモとともに、メモの内容を確認したり、編集を加えたりすることが可能だ。

 ここまでは、クイックメモによって記録したものが、メモアプリに集約されるというだけで、言ってみれば当り前の機能だ。

 ちょっと驚かされるのはここからだ。このメモのことはいったん忘れて、再びメモを取ったウェブページを開いたとしよう。この場合はアップルのNewsroomのMontereyのページだ。するとそれだけで、画面の右下に、どこからともなく、このページで取ったメモが、ミニチュア表示でポップアップしてくる。

 このポップアップをクリックすれば、上で見たようなメモの確認、編集ウィンドウが開く。これは、いわば場所と記憶を結びつけるような画期的な機能だろう。人間も、ある事柄を知ったり聞いたりした場所と、その記憶そのものが結びつくことがある。その結果、そうした事柄に再び触れると、その場所を思い出したり、逆にその場所に行くと、その事柄を思い出したりする。これは、場合によって、非常に面白い効果を発揮するものと期待できる。

 クイックメモとは直接関係ないが、メモアプリには他にも大きな機能の進化が盛り込まれている。1つのメモを複数のユーザーで共有して編集する場合、誰がどのような編集をいつ加えたかを簡単、確実に把握できるアクティビティの表示機能と、メモの内容にタグを付けて分類、検索する機能だ。今回前者は試していないが、後者はすでに実用的な機能として動作していることが確認できた。

 これまでも、メモアプリはアップル製の複数のデバイス間で情報を交換したりする際に、意外に便利に使えると感じられる存在ではあった。しかし、今回の機能強化で、その存在感自体が何段階もレベルアップしたように感じられる。活用範囲も大きく膨らんで、情報交換、蓄積、活用のためのメインアプリにまで昇格しそうな勢いだ。

 今回は、Facetimeやメッセージなど、Montereyの新機能として真っ先に挙げられるような、目立つ機能には目をつぶり、個人としてMacを使う際に、特に生産性の向上に直結するような機能を中心に取り上げた。一見地味なMontereyだが、成熟の粋に達したような機能が組み込まれていて、実際に登場するのが楽しみだ。

 

筆者紹介――柴田文彦
 自称エンジニアリングライター。大学時代にApple IIに感化され、パソコンに目覚める。在学中から月刊ASCII誌などに自作プログラムの解説記事を書き始める。就職後は、カラーレーザープリンターなどの研究、技術開発に従事。退社後は、Macを中心としたパソコンの技術解説記事や書籍を執筆するライターとして活動。近著に『6502とApple II システムROMの秘密』(ラトルズ)などがある。時折、テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士として、コンピューターや電子機器関連品の鑑定、解説を担当している。

 

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