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iOSやmacOSの進化が見えた! 「WWDC21」特集 第20回

アップル次期macOS「Monterey」成熟が楽しみなパブリックベータ注目ポイント

2021年07月28日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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今後の成熟が楽しみな「ショートカット」

 「ショートカット」と言うと、古くからのMacユーザーは、メニューの選択をキーボード操作で代行するものを、真っ先に思い浮かべるかもしれない。しかし言うまでもなく、このショートカットは、そのショートカットのことではない。すでに述べたように、元はiOSやiPadOS上で実現されたもので、いろいろなアプリケーションやOSの機能を組み合わせて、操作を自動化するためのもの。それなら、これまでのmacOSにもあったAutomatorと同じようなものかと思われるだろうが、実際、機能的にはかなり近いものもある。

 Montereyのショートカットも、見かけ上は1つのアプリとなっていて、起動した画面は、iPadOSのものによく似ている。

 「スターターショートカット」として、最初から4つのショートカットが登録されているので、それをそのまま使ってもいいし、中身を開いてカスタマイズしたり、オリジナルのショーットカットを作成する際の参考にすることもできる。

 ショートカットは、基本的に「アクション」を組み合わせて組み立てる。この点でも、用語も含めてAutomatorと共通性がある。アクションには、ユーザーに問いかけて数字やテキストの入力を促し、それをショートカットの実行に反映させる機能もある。また、条件によって実行するアクションを選ぶこともできるので、状況によって動作の異なる応用範囲の広いショートカットを作成することも可能だ。現状のパブリックベータに入っているサンプルのショートカットには、Macでは実行できなアクションが含まれているものもあるので、まだ未完成の段階だが、将来性を感じるには十分な内容となっている。

 iOSやiPadOSでは実行できないアクションとして、スクリプトを実行するものがある。macOSの場合、Unixのシェルスクリプトさえ実行できれば、ほとんどできないことはないとさえ言える。シェルスクリプトの実行は、Automatorでも重要なアクションとなっていて、これまでも細かな機能の自動化に貢献していた。それがこのショートカットにも引き継がれるのは頼もしい。

 スクリプトについては、シェルスクリプト以外にもAppleScriptやJavaScriptの実行が可能となるようだ。

 作成したショートカットは、さまざまなアプリケーションの「サービス」サブメニューから選べるクイックアクションに登録したり、直接メニューバーに登録したりできる。メニューバーに登録すれば、特定のアプリケーションの機能とは関係なく、いつでも直接選択して実行できるので便利だ。

 ここでは、一例として、メニューバーに「アップルRSS読み上げ」というショーットカットを作成する例を示す。

 名前から想像できるように、アップルの「Newsroom」の新着記事のRSSを読み込み、そこから最新の10個の記事のタイトルをテキストとして読み込んで、それを読み上げる音声を出力するもの。そうした機能を表す3つのアクションをストレートに並べただけのものとなっている。

 このショーットカット編集画面を閉じれば、それだけでこのショートカットがメニューバーに登録される。

 これは非常に単純な例だが、メニューバーからこのショーットカットを選ぶだけで、いつでもアップルの最新ニュースが音声で確認できる。この例を見ただけでも、macOSの幅広いカスタマイズが、誰でも簡単にできるようになることが実感できるはずだ。

 機能部品として使えるアクションは、さまざまなカテゴリー別と、アプリケーションごとの2種類の分類で整理されている。特定のアプリの機能を思い浮かべてショートカットを構成する場合には、後者の分類で探したほうが早い。

 もちろん、どのアプリが提供するアクションなのかを気にすることなく、複数のアプリから必要なものをピックアップして、1つのショートカットを組み立てることが可能だ。

 すでに現状のショートカットアプリには、サードパーティのアプリが提供するアクションも多く含まれている。その場合、その特定のアプリケーションがインストールされていない環境では利用できない。またすでに述べたように、システムが提供する機能でも、今のところMacでは利用できないアクションも少なからず含まれている。最初は混乱することもあると思われるが、環境が整ってくれば、macOSの効率的、効果的な操作のために、かなり有効な機能として使えるようになることが期待できる。

 ショートカットには、「ギャラリー」として、あらかじめ数多くのショートカットが含まれている。これまでは、Macユーザーにとって馴染みの薄いものだったが、それらを試したり、開いて構成を確認したりしているうちに、だんだんと慣れてくるだろう。

 なおMontereyにはAutomatorも残っていて、もちろんこれまで同様に動作する。ただ、もしかすると将来はショートカットに一本化される可能性もあるのではないかとも考えられる。現状では、Automatorにできてショートカットにはできなこともある。例えばAutomatorでは独立したアプリケーションが作成でき、それをユーザーごとの「ログイン項目」に登録し、Macの起動・ログイン時に毎回自動実行させることもできる。それと同じことは、今のところショートカットではできそうもない。ただし、ショートカットのバージョンが進めば、Automatorの機能も取り込んで、そうした差もなくなるのかもしれない。

 いずれにせよ、AutomatorがmacOSだけの閉じた世界なのに対し、ショートカットはアップル製のさまざまなOS上で共通の自動操作機能になろうとしている。複数デバイス間の共有、連係を考えたとき、将来性の点でもショートカットには大きな期待が持てるだろう。

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