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いつからかまど炊きはおどっていると錯覚していた? アイリスオーヤマ逆転の炊飯器「瞬熱真空釜炊飯器」

2021年07月14日 17時00分更新

文● 盛田 諒 編集● ASCII

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5.5合炊き IHジャー炊飯器
瞬熱真空釜炊飯器
実売価格6万980円
8月6日発売

アイリスオーヤマ
https://www.irisohyama.co.jp/news/2021/?date=0714

 一体いつから──かまど炊きはおどっていると錯覚していた?

 アイリスオーヤマが7月14日、釜の中の米を激しく対流させる(おどらせる)ことなくかまど炊きの味を再現するという5.5合炊きIHジャー炊飯器「瞬熱真空釜炊飯器」を発表しました。「米は、おどる方がうまい」の真逆を行くコンセプト。同社がLED照明などに採用する熱電動技術「ヒートパイプ」を内釜に応用したハイエンドモデルで、「もっとも自信のある製品」だと胸を張ります。

かまど炊きはおどっていなかった

 日本の家電メーカーとしてすっかりなじみになったアイリスオーヤマ。中でも炊飯器は宮城に精米工場を抱え、パック米「生鮮米」を販売している同社にとっての看板製品。水の量を計りやすい「量り炊き」、銘柄による炊き分けができる「銘柄炊き」、分離してIHクッキングヒーターになる変態的炊飯器などを展開してきた同社が、満を持して出したのが今回のハイエンドモデルです。

 ハイエンドでめざしたのは「かまど炊き」の味。かまど炊き専門店に通いつめ、宮城にある同社の研究所敷地内にかまどを作るなどして研究した結果、かまど炊きのごはんは「おどっていない」ということがわかったといいます。

 同社によれば、かまど炊きは釜全体が炎で一気に包まれるために炊きムラが少なく、粒立ち感があり、おいしいごはんが炊けるもの。他社製品には、IHの温度差や圧力によって激しい対流をおこし「米をおどらせる」ものもありますが、同社が調べたところ、実はかまど炊きでは米の対流は少なかったということ。

 なぜおどらないのか。同社によれば、炊飯器は釜の底部に熱源があるため釜の上下で温度差が生じ、対流が生まれ、米がおどります。一方、かまど炊きは釜全体を炎が包みこみ、かまどが均一な温度になるため、米がおどることが少なかったそうです。

LED照明の熱伝導技術を応用した二重構造釜

 釜全体をかまどのように均一な温度にするにはどうすればいいか。そこで採用したのが同社がLED照明などに使っている熱伝導技術「ヒートパイプ」でした。

 ヒートパイプは熱の移動速度を上げる技術のひとつ。釜の内側は二重構造になっていて、中が4mmの真空状態になっています。釜の下部からIHの熱が伝わると、真空部分に入っている「作動液」という液体が蒸発し、上部まですばやく熱が移動。蒸発した作動液が放熱で冷やされて、ふたたび蒸発部に戻るというくりかえしで、釜全体を瞬間的に均一な温度にするしくみにしています。

 底部だけでなく釜全体が熱くなるため、釜内に激しい対流がおこらず、しかし熱はすばやく米に伝わるという構造。釜の素材は銅や鋳鉄などの特殊なものではなく、構造のみが新技術です。

 新開発の釜で炊いた米は、従来に比べても、つやがあり、粒立ちがよく、さらに対流が起きないため米同士がぶつかりにくく、つぶれが少なくなっているといいます。実際に炊けた米を見ると粒の形がすべて整っていて、べちゃっとつぶれていたり、隣同士くっついた米粒はありませんでした。

 食味としては、粒立ちとのどごしが良い、しゃっきりとした炊きあがりになるそうです。発表会では試食ができなかったのでどこかで食べてみたいです。

二重構造釜はちょっと重い

 機能面では、米の分量にあわせて最適な水量を計測する「量り炊き」、ブランド米の炊き分けができる「銘柄炊き」、よそったごはんの量からカロリー目安を算出する「カロリー計算」、低糖質米を炊く「ヘルシーメニュー」などこれまで同社が採用してきた便利機能を全部入りにしています。

 カラーはマットブラック、箱のような四角いフォルム。操作パネルは使うときだけ灯かりがつき、使わないときは消灯してすっきりとしたデザインになります。機能が多いため操作はどうしても複雑になりますが、ボタン類が少ないので汚れを拭うなどのお手入れはしやすくなっています。

 サイズは幅249×奥行き353×高さ239mm、重量は6.1kg。釜は二重構造になっているだけあって2kg弱と重めです。消費電力量は定格1240W。

 米をおどらせるといえば、思い出さざるをえないのは可変圧力IHジャー炊飯器「おどり炊き」のパナソニック。同じかまど炊きに着想を得ながら「圧力なし、おどりなし」で逆転のコンセプトをぶつけてきたアイリスオーヤマには相当な自信がうかがえます。6万円台という各社の売れ筋が集まった主戦場でどれだけ存在感を示せるかに注目ですね。

 

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