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契約ライフサイクルを一気通貫で提供するプラットフォームへ

契約書レビューのLegalForceの導入が1000社突破 新サービスやテレビCMも

2021年07月07日 18時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2021年7月7日、契約リスクの管理をクラウド型サービスとして提供するLegalForce(リーガルフォース)は記者説明会を開催。代表取締役CEOである角田望氏がLegalForceの会社概要や事業内容をデモを交えて紹介するとともに、新サービスやテレビCMを披露した。

LegalForce 代表取締役CEO 角田望氏

5期目を迎えるリーガルテックスタートアップの最新動向

 LegalForceは2017年創業のリーガルテックスタートアップで、2021年7月時点の従業員は226名にまで拡大。資金調達はシリーズCまで進んでおり、40億円を超えている。代表取締役CEOである角田望氏は、M&Aや企業間紛争など企業法務の実務に携わってきた弁護士。そのときに感じた契約にまつわる課題を解消すべく、角田氏は同じ法律事務所に所属していた小笠原匡隆氏とともにLegalForceを創業し、現在5期目に至っている。

 同社の強みは、AIを中心とした最新テクノロジーと法務の知見の掛け合わせだ。AIに関しては専門の研究開発部門を社内に設置し、角田氏の出身校でもある京都大学との共同研究も進めている。また、製品開発専任の弁護士が所属しており、海外も含めた法務の実務に即した製品を開発している点もユニーク。共同創業者の小笠原匡隆氏が代表を務める法律事務所ZeLoと提携しており、最先端の実務に根ざしたプロダクト開発を目指している。

LegalForceの強み

 開発体制も強化しており、6月17日には元カオナビ最高技術責任者の和賀勝彦氏が開発部門の統括であるVPoEに就任。さらに7月1日にはリーガルテックの活用にも明るい元太陽誘電 法務部長の佐々木毅尚氏がCLO(最高法務責任者)に就任している。

契約ライフサイクルの観点で契約リスクを管理するサービス

 同社は「すべての契約リスクを制御可能にする」というミッションの元、サービスを開発している。

契約リスクをコントロールするためのサービス群とメディア

 そもそも契約とは、当事者間において権利義務関係を形成する効力という点で、他の企業文書とは本質的に役割が異なる。「たとえば、取締役会の議事録は非常に重要な文書だが、決議したことを記録した文書。この文書によって新たな効力が生み出されるわけではない。でも契約書は違う」と角田氏は説明。記録を残すだけではなく、契約書によって、当事者に義務が生じ、義務違反が生じれば、裁判にまで発展する。有効に活用すれば、自社に利益をもたらすことができるが、違反すれば大きな損害を及ぼすため、企業はこれら契約にまつわるリスクを適切にコントロールすることが重要になる。

 LegalForceは欧米で主流となっている「契約ライフサイクル」という観点で、事業部からの案件発生、契約書の作成や審査、契約の締結、締結後の契約管理というフェーズに沿ったサービスを提供する。「AI契約審査プラットフォーム」を謳うLegalForceでは、AIが契約書をレビューすることで、契約締結前にリスクを排除できる。また、リスクの発見のみならず、リサーチ、修正作業、ナレッジ共有などをワンストップで提供し、法務の契約審査業務を効率化する。導入社数(有償)は大企業、中小企業、法律事務所まで含めて1000社を突破したという。

LegalForceは導入企業が1000社を突破

 2021年1月にリリースされた「LegalForceキャビネ」は、契約締結後のリスク管理を実現するサービス。LegalForceキャビネは紙の契約書をPDFにスキャンして、テキストを読み込み、契約情報を自動抽出。契約書の更新期日や終了期日などの管理などをチェックし、必要に応じて不利な条項の除去や更新拒絶・更新依頼、契約義務のモニタリングなど具体的なマネジメントのアクションをとることができる。こちらも7月で導入企業は150社を超えたという。

最後のピース案件管理 そしてテレビCM放映も

 現在、LegalForceでは契約ライフサイクルのうち、契約書の作成や審査、締結後の管理というフェーズをカバーしているが、契約の締結においても電子契約(電子印鑑GMOサイン/クラウドサイン)をサポートしている。そして、最後のピースを埋めるサービスとして今回発表された新機能が案件管理のサービスとなる。

 案件管理はこれまでメールやチャット、電話や口頭などさまざまな方法で行なわれていた事業部門と法務部門の契約書の作成・チェック依頼を一元化し、滞留案件をなくし、既存の案件をナレッジとして共有できる点が売りになるという。「今までLegalForceのサービスは法務部門の人たちが使っていたが、これは事業部の人たちも使うので、なるべく既存のやりとりを変えないようにした」(角田氏)とのことで、専用メールアドレスに送ることで自動的に案件として管理されるという実装になっている。こちらはLegalForceのオプションサービスとして、本年の秋口に提供される予定。これにより、契約ライフサイクルを一気通貫で提供できるという。

 新機能に続いて、テレビCMの放映も発表された。これはリーガルテックの社会的な認知の向上、AIに対する親近感の醸成、そしてLegalForceの知名度アップを目的としており、弁護士役として俳優の岡田将生さん、法務担当者役として同じく俳優の鈴木浩介さんが出演する。さらに昨年4000以上の視聴があったという自社イベント「LegalForce Conference 2021」を10月6日(水)に行なうことも発表された。

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