一般的なアプリによる実行時間の比較
一般的なアプリケーションによる実行速度の計測としては、Finderによるフォルダーのコピー、アーカイブユーティリティによるXIP形式のファイルの展開、Safariによるウェブアプリの実行、iMovieによるビデオの再エンコーディングという4種類のテストを実行した。
Finderによるフォルダーコピーには、iMovieのアプリパッケージ(2.77GB)をコピーの対象とした。Macのアプリは、見た目は1つのファイルのようだが、実はパッケージ形式のフォルダーで、中は非常に多くのファイルを含んだ複雑な構造となっている。これを、Finderを使って、同じ場所(デスクトップ)にコピーするのに要する時間を計測する。これは時間が短いほど高性能ということになる。
アーカイブユーティリティによるXIP形式のファイルの展開は、ここではXcodeのインストール用のアーカイブファイル(11.43GB)を解凍して、アプリ(実際にはパッケージ形式のフォルダ)に戻すのに要する時間を計測する。以前のテストと比較するために、旧バージョンのXcode(12.2)のアーカイブファイルを使った。これも時間が短いほど性能は高いことになる。
Safariによるウェブアプリの実行は、BrowserBenchのサイトにある、JetStream2のページを利用して、テスト実行後に表示されるポイントを比較した。これは、数字が大きいほど高性能だ。
iMovieによるエンコーディングでは、約50秒の4K(3840×2160)ムービーファイル(H.264、AAC形式、ファイルサイズは125.6MB)を、iMovieの共有メニューで「Facebook用」として書き出すのに要する時間を計測した。結果のムービーファイルは、「SD 480p(640×360)」のフォーマットで、サイズは13.4MBほどになる。
これらのテスト結果を一覧表に示す。
Finderによるフォルダーコピーは、同じマシン上でも比較的ばらつきが大きく、テスト時点でのストレージの中身の状態にも左右されるので、この結果がただちに各マシンのストレージ性能を反映したものだと判断するのは危険かもしれない。それに対して、それ以上にストレージへのアクセスの多いXIPファイルの展開では、どのマシンも、1、2秒の差となっている。この結果からは、CPU性能とストレージ性能を組み合わせたものは、4種のM1搭載機種で、ほぼ同等と考えられる。実行時間で評価できる3つのテストをまとめてグラフで比較しておこう。
SafariによるJetStream 2の実行結果は、昨年発売されたM1搭載の3機種よりも、iMac 24インチモデルの方が明らかに速い。これは主にSafariのバージョンの違いによるものと考えられる。JetStream 2では、JavaScriptやWebAssemblyのコードを実行するが、それらの処理の効率化は、各メーカーのウェブブラウザーの開発競争の中でも最も重要な部分となっている。それだけに、ブラウザーのバージョンが改定されるたびに、性能も向上していく部分だからだ。iMac 24インチモデルのテストに使ったSafariのバージョンは、6月初旬時点で最新の14.1.1となっている。このテスト結果は、スコアで表示されるので、数字が大きいほど速い。グラフで比較しよう。
同様に、1つの上のグラフで示したiMovieによるエンコーディングの速度も、昨年のM1搭載機が横並びなのに対して、わずかながらiMac 24インチモデルの方が速くなっていた。これも、iMovieのバージョンの違いと考えられる。今回iMacのテスト使ったバージョンは、やはり6月初旬時点で最新の10.2.3だ。
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