Kids Publicは、2020年6月1日より山口県長門市および美祢市において山口県立総合医療センターへき地医療支援部が厚生労働省科学研究費研究として実施した「へき地における小児科、産婦人科領域の遠隔健康医療相談実証」に、「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」の提供を行なっていた。
255名が参加した本介入研究の結果、産婦人科・小児科オンラインを自治体に導入することで子どもの病気、妊娠、出産に関する疑問が解決できている住民の割合が2.1倍になることが実証されたという。
本研究は、産婦人科、小児科領域の専門家へのアクセス格差是正に対するオンライン医療相談の効果検証を行なうにあたり、業務委託契約を結んだ同社が産婦人科、小児科に特化したオンライン医療相談である「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」の提供という形で研究協力を行なった。
対象者は、2020年6月~12月に実施した長門市および美祢市の妊娠後期面談、赤ちゃん訪問、1歳6ヵ月児健康診査、3歳児健康診査を受けた母親。対照群と介入群を下記のように設定し、結果を比較した。
・対照群(「産婦人科・小児科オンライン」の無料利用不可):2020年6月~8月に上記健診を受けた母親
・介入群(「産婦人科・小児科オンライン」の無料利用可能):2020年9月~12月に上記健診を受けた母親
対照群174名、介入群81名に関して参加後4ヵ月半後(平均値)に実施した事後アンケートの結果を解析したところ、「産婦人科・小児科オンライン」の無料利用という介入が、対照に比べ「そう思う」と回答した人を何倍増やしたかの値(PRR)が下表の結果となり、小児科医、産婦人科医、助産師を身近に感じる住民の割合を1.5~1.7倍にさせ、子どもの病気、子育て、妊娠経過、出産に関する疑問を十分に解決できていると感じる住民の割合を2.1倍にさせたことが示された。
事前・事後アンケートの各設問に対して「そう思う」と回答した参加者の割合は対照群および介入群において下記の通りだった。小児科医、産婦人科医、助産師を身近に感じる割合は、対照群では事前から事後で低下し、介入群では上昇したことが示された。また、疑問を十分に解決できていると感じる割合も、対照群では事前から事後で低下し、介入群では上昇した。
同社はこれまで、利用後のアンケートをまとめたり、参加者に対する反響を聞くアンケートを実施してきたが、「同社の介入(産婦人科・小児科オンライン)によって、どれくらいの効果があったのか測定できない」という欠点があったという。今回の介入研究では、自治体の協力を得た上で、産婦人科・小児科オンラインを使える人と使えない人を作って比べているため、因果関係まで言及できる形となった。
今回の結果を踏まえて、エビデンスをもとに、行政サービスとして取り入れられるようにアピールを進めていく予定。現在20ヵ所の自治体が導入しており、今後さらに利用を広げていきたいとしている。