昨今、個人でも気軽に動画の配信や生放送が可能な動画プラットフォームが目覚ましい発展を遂げている。YouTubeなどのインターネット動画を通じた広告ビジネスも活発になっており、そうした動画配信活動で収入を得ている「YouTuber」などの職業も広く知られるようになった。
特に、現在の小中学生を中心とした若年層にとっては、テレビ番組よりもインターネット動画の方がなじみ深いものになりつつあるという声も聞く。近年の小中学生の「将来なりたい職業」の上位に「YouTuber/動画投稿者」がランクインしているといった調査結果もあり、その影響の大きさを感じられる。
しかし、YouTuberや動画投稿者が職業として成立し始めたのはごく最近のことで、そのコンテンツ制作の技術や、ビジネスにおけるノウハウを教わることができる場はまだ多くはない。そんな中、ゲームクリエイターやCGアニメーターなど、クリエイティブ分野の専門スクールを展開するバンタンが、YouTuberをはじめとしたインターネット動画に関わる人材の育成を目指す「バンタンクリエイターアカデミー」を、2021年4月に開校した。
これまで、ゲームクリエイターやCGアニメーターなど、クリエイティブ分野の専門スクールを多数展開してきたバンタンだが、今回のバンタンクリエイターアカデミーとはどういった学校になっているのか。五反田にある新校舎「クロスタワー」に赴き、その様子を取材してきた。
100%現役プロの講師陣から学べる総合的カリキュラム
バンタンクリエイターアカデミーは、17歳以上向けの専門部と、角川ドワンゴ学園 S高等学校と提携して高校卒業資格が取得できる高等部の、2つの学部を備えた専門スクール。実際に活動中のYouTuberなど、業界内で現役で活躍しているプロを講師陣に招いて授業を行なう。
講師陣には、「HIKAKIN」さんや「はじめしゃちょー」さんといった人気YouTuberが所属するYouTuberプロダクション、UUUMの取締役を務める市川義典氏や、「ABEMA」などのサービスを提供するサイバーエージェントの代表取締役である藤田晋氏、現役で活躍しているYouTuberグループ「PKA channel」の「ゆうぴーまん」さんなどが名を連ねている。
動画制作の技術だけでなく、企画・プロデュースやYouTubeチャンネル運営についての知識まで、業界の最先端で活躍する講師陣から、トレンドに沿ったスキルや知識を総合的に学べることで、より実践的な能力を身に着けられるとしている。
本学の特徴的な教育手法として、全生徒が在学中からYouTubeチャンネルを開設し、活動を行なっていくといったものがある。開校時点では、高等部・専門部合わせて225人の生徒が入学しており、この全員がYouTubeチャンネルを持ち、在学中からプロを目指していくという。
スクールのクラス分けは学年ではなく、レベル別で分けられるため、より自分に合った環境で学習できるようになっている。より実践的な環境を意識して、チーム制作を主軸とした授業を取り入れており、高等部・専門部合同の授業で年齢差のあるメンバーとの共同作業も経験できるとのこと。
また、2年次以降は連携企業へ有償インターンシップに参加でき、3年次まで収入を得ながら就職先を探すことが可能になっている。さらに本学では、「飛び卒業」制度を導入しており、企業側から卒業前に雇用したいという申し出があった場合に、カリキュラムの修了前に卒業が可能だ。
例えば、3年制のクラスを受講していても、2年次のインターンシップ先で雇用の申し出があれば、2年で卒業が可能になる。なお、連携企業には、下記の企業が参加している。
撮影環境やコミュニケーションスペースが充実
本学の教室は、撮影に使える設備が備え付けられていたり、コンセプトの異なるセットが用意されていたりと、スタジオとして使用できるようになっているのが面白いところ。コミュニケーションスペースやメイクルームなどを備えているのも、クリエイター向けの学校らしさを感じられる。
今回の取材では、授業の様子も見学させてもらうことができた。筋トレYouTuberとして活動する「JIN」さんの専属映像クリエイターを務めた「Kyle yusuke」さんによる映像編集授業と、前述したPKA channelの3人による動画撮影の授業などを実施しており、初日の授業を熱心に受講する学生たちの様子が見られた。