動画やゲームでニーズが高いゲームモードを持つ
いま店頭に並んでいる完全ワイヤレスイヤホンの種類は非常に多く、非常にありふれた存在になっている。その中で存在感を示すのは難しい面があるが、realmeの製品は、デザインのコンセプトや価格設定、長時間着けても負担にならない軽量性などから、比較的若い世代のライフスタイルに溶け込み、スマホと親和性が高い製品を目指している印象がある。
機能としては特に目新しいものはないが、左右両側のタッチセンサーを長押しすることで使えるゲーム用の低遅延モードの搭載などはそのひとつだ(自動車のエンジン音のSEとともに起動する)。119msの低遅延という数字自体は、反応を重視するゲームや楽器演奏などにはまだ足りないという印象もあるが、動画視聴を含めた映像と音のズレが気になるコンテンツ、つまり音楽再生以外の用途を重視しているのが分かる。
個性的な音のBuds Q
音の傾向については、Buds Air ProとBuds Qで対照的だ。どちらも低音の再生能力を重視しているとするが、Proという名称からも分かるように、Buds Air Proはワイドレンジで中高域の伸びや美しさを重視したサウンド。対するBuds Qは100Hz以下のローエンドをかなり盛ったサウンドで、ポップス系の楽曲などを聞くとブォーというかなり強調された低音が楽しめる。通常6mm程度が多い、完全ワイヤレスで10mm径のドライバーを搭載している点も比較的珍しい。
ボーカルなど、中高域についてはともに耳障りではない、滑らかさやしなやかさを重視している印象だ。ただし、Buds Qはレンジ自体が狭い(高域を切っている)のでかなり特徴的なサウンドになっている。
Buds Air Proは高域が伸びるが、ボーカルなどの滑らかな質感という点では共通性がある。低域についてはDBB(Dynamic Bass Boost)というアルゴリズムで増強しているそうだが、Buds Qほど緩い感じの低域ではなく、適度なしまりがある。周波数特性としてもフラットに近く、日本のユーザーの好みに合いそうなのはBuds Air Proのほうだろう。
Buds Air Proはノイズキャンセルと外音取り込みの切り替えが可能(両方オフは選べない)が、この切り替えによる音質変化はあまり感じなかった。モードはタッチセンサーの長押し(2秒)で切り替わる。
2製品のうち特にBuds Qはケースの中に電池や回路が入っていないかと思うほど軽い。また、本体も小さくなっていて、耳から飛び出す部分が少なく目立ちにくい点が人によってはいいと感じるかもしれない。全体は黒い筺体なのに、イヤーチップの軸の部分だけ黄色をあしらっている点などもさりげないワンポイントになっている。
Buds Air Proのケースは光沢処理によって美しいが、反面指紋が付きやすい面もある。また、ケースを自立させたり、ふたを開けた状態で維持するということが難しい面はあった(撮影は大変だが、実生活ではあまり問題にならないとは思う)。
音質や機能などについては、日本初上陸ということもあり、中国やグローバルの好みを中心に取り入れているのか、日本で人気のある製品とは少し異なる部分もある。「これもまた個性のひとつだ」ととらえてもいいかもしれないが、音についてはもう少し日本のユーザー向けのチューンがあってもいいかもしれない。