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ハニーポット、課金、パワポカラオケ、LINE API、パートナーあるある話まで1日どっぷり

オンライン開催の「JAWS DAYS 2021」でre:Connectしてきた(シゲモリ編)

2021年03月23日 09時30分更新

文● 重森大 編集●大谷イビサ

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自治体AWS推進計画の最新動向と事例を学ぶ

 さて、お祭りコンテンツを楽しんだあとは、サポーターセッションものぞいてみよう。チョイスしたのは、日立システムズの後藤 将之さんが語る「自治体AWS推進計画」だ。地方自治体への取材経験もあり、タイトルに興味をひかれた。

 AWSどころか、自治体ってクラウドサービスの利用は全然進んでないという印象。ご存じの方も多いとは思うが、自治体のネットワークはそもそも、個人番号利用事務系と自治体専用のLGWAN、そしてインターネットに接続されるネットワークと三層に分かれている。クラウドサービスを使うためにはこのネットワークの壁を越えなければならないのだ。それを超えてでもAWSを使うメリットがあるのか。後藤さんは過去に起こったセキュリティインシデントを取り上げ、AWSを使えば防げたのではないかと個別に説明した。

実際にあったセキュリティインシデントと、AWSで防ぐ手立てを示すことでメリットの大きさを訴えた

 こうした明白なメリットに加えて、政府共通プラットフォームとしてAWSなどのクラウドサービスが指定されたことから、クラウドサービスの導入は進むのではないかと後藤氏は言う。

実際に地方自治体にAWSを導入した事例も紹介された

「2016年度に導入された三層分離環境は2021年に更新が見込まれています。しかしインターネット以外のネットワークは随時検討するとされており、AWS導入においても変化を前提にした設計が必要です」(後藤さん)

 ほかにもL2延伸が不可能、DirectConnect経由で利用できないサービスがあるなどAWS側の課題にも注目し、それらへの対策が必要だと語られた。

サポーターセッションに高校生が登壇!?

 続いて、LINE Developers Community(以下、LINEDC)から送り込まれた刺客、高校生エンジニアようかんさんの「AmplifyとLINEで作るJAWSDAYS投票システムの話/[AWS×LINE]高校の卒業記念に8,700枚の写真でモザイクアートに挑戦した話」という長いタイトルのセッションを視聴。サポーターセッション枠なのに高校生!? しかもLINEボットの制作実績がものすごく多い。自己紹介ののち、LINEDCの紹介があったが、なかなか面白そうだ。

サポーターセッションに突如現れた高校生に驚いた

 パワポカラオケで使われていたLINE投票システムも、LINEDCから提供されたものだそうだ。AWS AmplifyとLINEを使い、LINEDCのメンバー3名で作ったとのこと。構築時の説明に何度も「リフ」という言葉が出てきて、なんだろうと思っていたらちゃんと説明があった。

「LIFFとは、LINE Front-end Frameworkの略称で、簡単にいうとWebアプリとLINEアカウントを連携させるフレームワークです。今回LIFFを使った理由は、複数投票されないようにLINEアカウントとひもづけてひとり1票の投票を守っていただくようにしました」(ようかんさん)

 なるほど、なんでLINEを使っているのかと思ったら、重複投票させないためだったのか。気軽に投票できるし、これはいい方法だ。

パワポカラオケやチーム対抗提案コンペの投票に使われた投票システム

 後半は、ようかんさん自身の卒業記念モザイクアートを作った話。生徒、学校から合わせて8700枚の写真を募り、それを使ってモザイクアートを作成。スライドショーと組み合わせて最後の学年集会で上映するムービーを作成したとのこと。アイディアもすごいが、何より行動力がすごい。校長先生を口説き、そこからトップダウンでほかの先生の協力を取り付け、職員会議に参加して課題を解決しながら進めたという。

「技術的には難しいことはしてないんですよ。API Gatewayを通じてLambdaに投げて、DynamoDBで写真枚数を管理しました。モザイクアート自体は、mosaic-node-generatorを使って作りました。書いたコードは2行だけです」(ようかんさん)

8000枚の写真から作ったモザイクアートの実物がこちら

 難しいことはしていないと言うが、LINEという身近なアプリを使って写真を集め、モザイクアートとして卒業記念に同級生たちに贈るというアイディア自体が、すばらしい。技術はしょせん手段でしかないということを、痛感する話だった。

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