ドライバーにくわえ、内部を大幅に刷新
音質面での改良としては、ダイナミック型ドライバーの直径を若干小さくし、応答性を改善したとする。振動板の素材は、樹脂(PET)とチタンを組み合わせたもの。BA型ドライバーは、このダイナミック型ドライバーとのマッチングを考えて選定している。コンピューター解析だけでなく、試聴も繰り返し、0.1dB単位の細かな調整をしたという。中高域の情報量の増加に加え、BA型/ダイナミック型、それぞれのドライバーが担当する音域の境界付近(クロスオーバー周波数)の歪み感を減らせたとする。
さらに、位相(音波が伝わるタイミング)のズレを減らすため、PCB基板内に穴を空けたり、内部パーツのレイアウトを0.01mm単位で厳密に調整している。位相が揃うと、楽器やボーカルの位置の再現性が明確となり、空間の広がりなども改善される。最近の音楽コンテンツを楽しむうえで重要な要素だし、映画などを観る際にも重視したい要素だ。
クアルコムの最新規格に対応
このように、TE-BD21jは、非常に手の込んだ作り込みがなされた製品だ。
加えて、AVIOTらしい先進機能もサポートする。そのひとつが、クアルコムの“aptX Adaptive”や“TrueWireless Mirroring”への対応だ。安定した接続を維持しつつ、信号を圧縮し、Bluetoothの通信経路に載せる際の品質にも気を配った仕様だ。
aptX Adaptiveは通信状態が良好な場所では、CDより高音質な48kHz/24bitの伝送が可能。一方、通信状態が悪い場合はビットレートを落として途切れないようにする。また、信号処理に伴う遅延(レイテンシ)についても50~80ms程度と、Bluetooth標準コーデックのSBCが220ms程度であることを考えると非常に少ない。動画視聴やビデオ会議などでも違和感が出にくい仕様と言える。
TrueWireless Mirroringは、完全ワイヤレスイヤホンで一般的な“リレー方式”ではなく、“左右同時の伝送”で安定した通信を得るための仕様。リレー方式は、プレーヤーから来たステレオの信号を一度片側で受けて、改めてもう片側に信号を伝送する方式だ。この際、間に頭部を挟んだ“左右またぎ”の通信が発生するので、音の途切れや遅延が発生しやすい。一方、TrueWireless Mirroringは、プレーヤーから発せられた信号を同時に受信する方式なので、通信の安定性の面でも、遅延の面でも有利になっている。