スマホなら60回近くも充電できる
自宅で使える強力な防災ツール。大容量&高出力ポータブル電源「Anker PowerHouse II 800」を試す
2021年03月11日 17時00分更新
手持ちのMacBookでバッテリーの減りをチェック
実際に、手持ちの13インチMacBook Proを「Anker PowerHouse II 800」に接続し、バッテリー残量の減り具合を確かめてみた。
条件としては、「MacBook Proの充電がほとんど残っていない状態で、停電が起きてしまった」ことを想定し、MacBook Proのバッテリー残量を10%まで減らしてから、「Anker PowerHouse II 800」のAC端子につないでいる。
その結果は、およそ65分で「Anker PowerHouse II 800」のバッテリー残量が10%減るというものだった。「Anker PowerHouse II 800」に接続する前のMacBook Proのバッテリー残量は10%だったので、「Anker PowerHouse II 800」からMacBook Proに給電し続けていたことになる。
その際の消費電力は60〜70W前後で、作業内容や、ディスプレーの輝度(周囲の明るさによる自動調節を有効にしている)によって変動していた。
また、フル充電状態のMacBook Proを接続も試した。結果は、消費電力が30〜35前後へと下がり、「Anker PowerHouse II 800」のバッテリー残量が減るスピードはさらに遅くなった。MacBookがフル充電状態になったら一度給電を停止して、再びPCの内蔵バッテリーで駆動させるという使い方なら、「Anker PowerHouse II 800」は、PCと組み合わせても、かなり長い時間使えるだろう。
「Anker PowerHouse II 800」のディスプレーには状況に応じて「バッテリー残量」「バッテリーの持続可能時間」「フル充電になるまでの推定時間」「電源周波数」「動作下限/上限温度を超えたときの通知」などが表示されるが、その中でも特に使いやすいのは、「バッテリー残量」と「バッテリーの持続可能時間」だ。
「バッテリー残量」は「%」表示で、「バッテリーの持続可能時間」は「◯◯.◯h(例えば、10.5hなど)」という表示形式を採用していて、パッと見てわかりやすい。
バッテリーの減り方は消費電力に左右され、高度なバッテリー管理をするPCの場合、消費電力も作業内容や輝度によって変動するから、「必ず何時間持つ」とは言えない。
だが、この「バッテリー残量」と「バッテリーの持続可能時間」を見れば、いつでも「Anker PowerHouse II 800」の状況がわかる。モバイルバッテリーではインジケーターで残量を表す製品なども数多く存在するが、緊急時には、いつバッテリーが切れるかわからない恐怖は味わいたくない。「Anker PowerHouse II 800」は、この意味でも防災ツールとして優れていると思う。
家庭用UPSとしても活用できそう
さまざまな用途に役立てられそうな「Anker PowerHouse II 800」。やはり防災への備えとしてや、アウトドアやレジャーに携行して、屋外で家庭に近い電源環境を実現するツールとしての活用が、もっともスタンダードな使い方になるのかもしれない。
しかし、本記事では自宅での「Anker PowerHouse II 800」の可能性を試してみたい。すぐに思いついたのは、家庭用の「UPS(無停電電源装置=停電などで電源が断たれた場合に電力を供給する装置)」としての使い方だ。
筆者の自宅では、光回線のモデムに無線LANルーターを接続して、Wi-Fi環境を構築している。
そして、光回線の引き込み場所、光回線のモデム/ルーターを設置しているコンセントが、ダイニングキッチンにあることが以前からの悩みだった。
つまり、キッチンで電力を使いすぎて安全ブレーカー(部屋ごとのブレーカー)が落ちると、ブレーカーを上げて、モデム/ルーターの再起動が完了するまで、Wi-Fiも使えなくなってしまうのだ。
在宅勤務になってからは、PCに触れている時間に、ほかの家電が動いているということも珍しくない。ためしに、どの程度でブレーカーが落ちるのか実験してみたが、IHクッキングヒーターと乾燥器付き洗濯機の乾燥機能、炊飯器の保温機能を起動した状態で、エアコンの電源を入れると主幹ブレーカーが、電気ケトルの電源を入れると、キッチンの安全ブレーカーが落ちてしまった。
このくらいの家電を同時に動かすことは、あり得なくもないと思う。特に、ファミリー層ではリビングと子ども部屋、キッチンとリビングなど、2部屋以上でエアコンや暖房器具などを稼働させる機会も多く、在宅勤務で多くのデジタル機器や家電を動かしている状況では、ブレーカーが落ちても不自然ではないだろう。
「Anker PowerHouse II 800」は、コンセントから本体の電源を取りつつ、ほかの機器に電源を供給するという使い方も可能。これを応用すれば、ブレーカーが落ちた際にもモデムとルーターは「Anker PowerHouse II 800」から電源をとって動き続ける。まさに緊急用予備電源、UPSとしての働きをしてくれるのだ。
モデムやルーターだけでなく、ブレーカーが落ちる=電源が落ちてしまうデスクトップPCを接続して使うのも良さそうだ。
水槽用ポンプやインパクトドライバーも動かせる!
さらに、AC端子2口の合計で最大500Wまでの出力に対応するという特徴を活かして、思いつきで色々なものを動かしてみた。
ひとつはアクアリウム用の濾過フィルターだ。濾過フィルターは、水草のゴミやサカナのフンといった水中の不純物を濾して取り除き、水質の悪化を防ぐための器具で、アクアリウムの必須アイテムと言ってもいい。
濾過フィルターが使えなくなると、たちまち水質は悪化するため、水質管理にシビアなサカナを飼っているなら、コンセントが使えなくなった際の緊急対応は考えておきたい。
濾過フィルターはモーターによって水を汲み上げる、ごく簡素な造りの製品が多く、サイズや性能にもよるが、その消費電力は5W〜10W程度。当然、問題なく動作した。
筆者宅の濾過フィルターの消費電力はおよそ8W。充電残量残り89%の状態で、80時間以上はバッテリーが持つ計算になる。予備電源、非常用電源としては十分すぎる容量だ。
もうひとつはインパクトドライバーだ。インパクトドライバーは、回転と衝撃を発生させ、硬い素材へのネジの締め付けも可能とする工具で、家庭で使われるエレクトロニクス製品としては、かなり高い消費電力になるはずだ。
筆者宅のインパクトドライバーの消費電力は182Wだった。この消費電力でも、充電残量90%状態で、5.6時間の連続駆動が可能という表示が出る。
5〜6時間もあれば、DIYの一日の作業時間としては十分ではないだろうか? 消費電力の多い電動工具は、ほかの家電と併用するとブレーカーが落ちる心配もあるから、DIYで電動工具を動かす予定があるときは、「Anker PowerHouse II 800」を充電しておき、専用電源として使うのも面白そう。
なにより、コンセントが届かない場所や、コンセントを引いていない屋外でも、「Anker PowerHouse II 800」を組み合わせれば関係なく動かせるという大きなメリットがある。
モデム、ルーター、PC、濾過フィルター、インパクトドライバーと、タイプの違うエレクトロニクス製品をいくつか動かしてみたが、いずれも動作に問題はなく、むしろ、使い方の幅を広げてくれるように思った。