学生制作の2作品が社会実装化検討中!
本当に『学生さんがうらやましい』と思った――イノラボ×東大IEDPコラボを振り返る
プレゼンテーションのための動画の作り方を伝えた
―― イノラボさんのご指摘で、学生に気付きが発生したようですね。次の「パッケージ映像/スライド作成」というのはプレゼン資料作成ですか?
佐々木 モノを作って終わりではなく、「みんなと共有する」ためのツールとして、パッケージされた映像、いわゆるプレゼンテーションのための動画作成法を伝えました。
―― それも面白い試みですね。通常の学会発表は専門家を対象にしますから、「とにかくしっかり結果を見せる」ことに力を注ぎますが、今回はお金を出す側の社会人に自分が考えているコンセプトを一発でわかってもらう必要性がありますからね。
昨今はYouTuber大学生も珍しくありませんが、映像専攻ではない学生にとっては、1つの映像を作り上げるという経験は新鮮だと思いますが、学生の反応はいかがでした?
佐々木 具体的には、映像の文法的なことを伝えた後に、ミュージックビデオなどを見ながら「ここはこういう意図がみえる」といったそういう解説を加えていく感じです。学生さんの反応は良かったですよ。
柏原 受講生のなかには、映像を学びたいという思いが動機になって受講している人もいたので、その点ではすごく満足感が高かったですね。映像制作の経験があった人もいたのですが、そういった人も含めて、意図を持った撮り方や機材・撮影手法の選び方などは、かなり学びが大きかったようです。
講義では知識提供のみでしたが、夏休み中の実習で、習った知識を生かして実際に映像を制作した経験は、スタジオの醍醐味であるダイナミックに手を動かす作業だったこともあり、みんな「すごく楽しかった」と言っていました。
渋谷 我々イノラボも可能な限り佐々木先生の授業を受講したのですが、映像表現は我々も勉強になりました。我々は普段、技術で食べているわりにビデオ作成という観点では、方法論はかなりアドホックにやっていたところがあるので、体系的に教えてくださったのは我々としても勉強になりました。
藤木 なぜ思い通りに伝わらないのかという一番上の重いテーマがあるので、それに対する方法論みたいな話があって。あと佐々木先生の紙芝居を見せてくれる授業もあって、内容も面白いし、こうすれば伝わるんだという裏側も感じられるものになっていて、非常に参考になりました。
中間発表では中心となるアイデアが固まってきた
―― 5月28日に中間発表が行われましたが、イノラボさんのほうからご感想をお願いします(一覧はこちら)。
藤木 荒削りでしたが、学生さんのアイデアが固まってきた段階だったなと思います。それぞれ内容に特色が出てきた印象を持ちました。
渋谷 企画発表の段階では「これに着目しようかな」というレベルのフワッとしたものだったのが、中間発表で初めてソリューションに近いものが出てきたので聞き応えがありました。
岡田 イノラボ渋谷の説明と、佐々木先生の「何を/誰に/どのように」というところが初めてクロスして聞き応えがありました。みんな勘所をおさえてきたな、という印象です。
―― 中間発表から最終発表までの間に変わったものもあったとお聞きしたんですけど、このときは、企画発表から2週間しか経ってないにも関わらず、佐々木先生や渋谷さんのインプットを受けてしっかりしたものになっていたということでしょうか?
藤木 そうだと思います。中間から最終までに変わっていった企画もあるのですが、コアな部分は変わっていない印象です。このあとは、伝えたい人が絞られていき、研ぎ澄まされていくのですが、そのコアとなるものが、ここの段階で出来上がったなと。
―― その後は最終発表に向けて学生さんたちはラストスパートに突入したと思いますが、6月25日に個別相談会があり、夏休み期間に集中して作業したようですが……。
佐々木 夏休み期間に集中して進めるために、6月25日にまず進捗確認、そして8月はみんな集まって、各自が抱えている技術課題を解決するためのタイミングを設けました。