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独自CPU「M1」で処理性能&バッテリー駆動時間が大幅向上 新Mac特集 第19回

プロユーザーのためのM1エントリーマシン「M1搭載MacBook Pro」レビュー

2021年02月27日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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右がM1搭載MacBook Pro、左がM1搭載MacBook Air

M1搭載MacBook Airとの最大の違いは
キーボードとトラックパッド

 もう少しM1搭載MacBook Airとの比較を続けよう。ディスプレーを閉じた状態では、特に異なっていたのは側面の形状と厚みの変化の有無だけだった。ところが、ディスプレーを開いてみると、両者の違いははっきりする。

 並べてみないと気付きにくいが、まずトラックパッドの大きさがかなり違う。これは日常的な操作性に、比較的大きな影響を与える部分だ。簡単に言えば、M1搭載MacBook ProではM1搭載MacBook Airよりも細かな操作に対応できる可能性が高い。もちろん、慣れの問題も大きいので、一概にどちらが使いやすいと言うのは難しいが、同じ設定でも指の移動距離に対するカーソルの移動量はM1搭載MacBook Proの方が小さいので、微妙な操作に対応しやすい。M1搭載MacBook AirのトラックパッドをM1搭載MacBook Proと同じサイズにできない技術的な理由は考えにくいので、これは意図的な差別化の1つだろう。

 もう1つ明らかなのは、言うまでもなくTouch Barの有無だ。M1搭載MacBook Airのレビューでも書いたが、ディスプレーの明るさやボリュームの調整など、通常の機能キーとしての操作ではTouch Barよりも物理的なキーのほうが操作しやすいと感じることもある。ただし、アプリによって、時間軸や何らかの連続量を操作する場合には、明らかにTouch Barのメリットが発揮されるのも確かだ。もちろん、どのような操作でも、Touch Barがなくて困ることはない。極論すれば、あれば便利なこともあるが、なくても困らない贅沢品のようなもの。M1搭載MacBook ProのM1搭載MacBook Airに対するもう1つの差別化のポイントであることは間違いないが、筆者個人としては、それほど決定的な要素とは考えていない。

 キーボードのその他の部分は、M1搭載MacBook AirとM1搭載MacBook Proでまったく同一と言っていいだろう。優れた操作感覚で、すでに確かな定評を獲得したMagic Keyboardだ。キーのピッチは標準的な19mmで、ストロークも約1mmを確保している。ピッチはもちろん、ストロークについても、デスクトップ用のフルサイズのキーボードから打ち替えても、ほとんど違和感がないのは不思議なほどだ。反発力の変化のしかたなど、月並みな表現だが、絶妙なキータッチを実現しているからだろう。

 なお、右上の角が電源ボタンを兼ねたTouch IDセンサーとなっているのは、M1搭載MacBook Airと変わらず、旧モデルとも同じだ。

 目に見えない部分にもM1搭載MacBook Airとの違いはある。M1搭載MacBook Airのレビューでも述べたが、まずディスプレーの最大輝度が違う。MacBook AirもM1モデルになって明るくなり、最大輝度は400ニトになったが、M1搭載MacBook Proは従来どおり500ニトを実現している。もちろん、通常は最大輝度に設定して使い続けることはないだろう。明るい屋外で本体のみで簡単なプレゼンをするような場合には、威力を発揮することがあるかもしれない。

 ディスプレーの明るさは、考えようによっては目で違いを確認できるが、耳でなければ違いがわからない部分もある。内蔵スピーカーと内蔵マイクの音質だ。これらは、いずれもM1搭載MacBook AirよりもM1搭載MacBook Proの方が優れている。

 まずM1搭載MacBook Airのスピーカーは単なる「ステレオスピーカー」なのに対し、M1搭載MacBook Proは「ハイダイナミックレンジステレオスピーカー」となっている。分かりやすく言えば、ノイズが少なく大音量が出る、ということになるだろう。実際に聴き比べてみると、M1搭載MacBook Proの方が低音も豊かに感じられる。M1搭載MacBook Airではややざらついた感じの音になるものも、M1搭載MacBook Proならしっとりとした音色で聴くことができた。

 一方のマイクは、M1搭載MacBook Airが「指向性ビームフォーミングを持つ3マイクアレイ」なのに対し、M1搭載MacBook Proは「指向性ビームフォーミングを持つ、スタジオ品質の3マイクアレイ」だ。仕組みや構成は同じだが、マイク自体の品質が高いということだと解釈できる。実際に同じ条件で自分の声を録音してみると、違いはわずかながら、M1搭載MacBook AirよりもM1搭載MacBook Proの方が透明感の高い音色が得られることがわかった。今回は試していないが、楽器演奏などでは、さらに違いが感じられるかもしれない。

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