盛田 諒の「ベビもの」 第2回

赤ちゃんが泣いてる理由、親よりAIのほうがよくわかるってすごいですね

　0歳児と3歳児と暮らしています盛田諒ですこんにちは。最新の子育てグッズやサービスを手当たり次第に試す連載「ベビもの」、今回は育児記録アプリです。「パパっと育児」は、赤ちゃんの泣き声を録音すると泣いている理由がわかる優れもの。バウ○ンガルかよって、いや当たるんですこれが。

●今回のベビもの
パパっと育児＠赤ちゃん手帳
基本無料
ファーストアセント
iOS/Android
http://papaikuji.info

　赤ちゃんが泣いている理由がわからないとこっちも泣きたくなるものですよね。メンズとしてはおっぱい飲ませて安心させるわけにもいかず、ゆらゆらトントンべろべろバーという牧歌的状況を強いられます。しかし時は21世紀、AI全盛期。iPhoneでアプリ「パパっと育児」を立ちあげて赤ちゃんにかざせば、すぐに理由がわかるというものです。泣き声を録音してデータを送信すればAIが音声を解析して答えを教えて……「お腹が空いた 82％」おっぱいですねハイお待ちください。

泣いている理由がわかる

　0歳児はまだ0〜1ヵ月児なので大体「眠い」「腹減った」のどちらかですが、8割方当たっているのですごいものです。同社代表の服部伴之さんに話を聞いたところ、精度の背後には膨大なデータの蓄積があるそうです。開発にあたっては約2万人のモニターを通じて数十万件のデータを集め、2年ごしでアルゴリズムをブラッシュアップしたという話。似たような研究があってもデータが数千件程度で精度が低かったり、実験室で作られたデータをもとに過学習をしていて実際の正答率が低いといったケースが多く、ここまで高精度の診断ができているのは世界的にも珍しいようです。

　その精度が認められ、優れた子育てIT製品サービスを表彰する「Baby Tech Award Japan 2019」では、健康管理部門の最優秀賞を受賞。さらに今年のCESでは、同社がためたデータをもとに睡眠と起床のリズムをつくる寝かしつけ補助機「あいねんね（ainenne）」を出品して、CES 2021イノベーションアワードを受賞しています。赤ちゃんの昼夜逆転睡眠を防いで親の苦労をラクにしようというコンセプトで、今春からクラウドファンディングを開始予定。服部さんは東芝出身、日本発の注目ベンチャーとして今後が楽しみです。上場するときは公募当てたいですね。

赤ちゃん向けスリープトレーナー「あいねんね」（ainenne）開発中

●育児記録は「ぴよログ」もオススメ

　ただ、うちで育児記録アプリとして使っているのは「ぴよログ」です。おっぱい、ミルク、おしっこ、うんち、寝た、起きた、などのいわゆる育児記録をつけるシンプルなアプリなんですが、入力がしやすく、記録を自動的にグラフにする「まとめ」が見やすいんですよね。

ぴよログ

　グラフを見ると、コマ切れだった睡眠がまとまってきたこと、おしっこもためられるようになって回数が減ったことなんかがはっきりとわかります。身長と体重が成長曲線の上限ギリギリに位置していることもわかります。でかい。さすが予定日より2週間遅れて生まれただけのことはある。

だいぶまとまって寝るようになった

成長曲線上限ギリ

　ぴよログもやはり、昨年の「BabyTech Award Japan 2020」で健康管理部門の大賞を受賞しています。Alexaなど音声アシスタントが使えて手がふさがっているときも便利なこと、夫婦で使いやすい作りになっていることなどが表彰の理由にあげられています。便利機能盛りだくさんでもシンプルなところもいいんですよね。全部盛りでも胃もたれしないラーメンみたいで。

　なのでパパっと育児はもっぱら泣き声診断用になっています。たまに「記録をつけては？」と通知が来て申し訳ない気持ちになったりしながら。

●妊娠したら「トツキトオカ」「陣痛きたかも」

　振り返ってみれば、妊娠前からずっと子育てアプリを使ってます。妊娠したら「トツキトオカ」、予定日が近づいたら「陣痛きたかも」。生まれた今となってはエンディング後のセーブデータみたいになっていてやや切ないですが、生まれるまでのことはすべてこれらのアプリに記録されています。

　いまや子育てにスマホを使うのは普通になり、「赤ちゃんがいるのにスマホばっかり見て〜」というのは古い話になりました。子どもが生まれたからといって実家に帰ることも少なくなり、ご近所に頼ることも減った今、スマホはただの記録だけではなく貴重な情報源にもなっています。

　困ったときちょっとしたことでも頼り合える人間関係にあこがれる一方、無料で使える便利アプリを開発してくれる皆さんへの感謝にもたえません。そのうちアプリの育児記録を印刷する有料サービスでも使ってみましょうかね。盛田諒でした。

 

書いた人──盛田 諒（Ryo Morita）

1983年生まれ。3歳児くんの保護者です。Facebookでおたより募集中。

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