お世話になっております。フードジャーナリストでラーメンWalker百麺人の、はんつ遠藤です。第5回は千葉県からお届け♪
僕は東京東部である東京都葛飾区の出身(東の隣は千葉県松戸市)なので、千葉県はとても親近感があるというか、小さい頃から海に遊びに行くというと九十九里だったり、近場で旅行というと館山だったり。
まぁ、一言で千葉県といっても、もともとは下総の国と上総の国でしたから、千葉市、船橋市、市川市、松戸市、柏市、我孫子市あたりと、房総半島あたりでは、全く違う雰囲気ですが。
今回ご紹介させていただくのは我孫子市のラーメン店。
我孫子市あたりだと以前は国道6号線を自転車で走って行ってましたが、最近はクルマです。寒いし♪
JR常磐線我孫子駅から徒歩だと20数分。バスだと東我孫子車庫行き(多系統もあり)で約5分の安孫子高校で降りれば、バス停から徒歩約1分。
僕はクルマで伺いました。駐車場は、ちょっと離れていますが、3台分あります。
さて、煮干し醤油ラーメンじゃなくて、看板には“煮干しだし醤油ラーメン”なのです。一体どういう意味なんだろう?と思いながら入店。
店内はカウンターとテーブル席で、コロナ対策も施された、ゆったりとした配置です。レンガ調の壁紙だったり、木の温もりを活かしたりした、清潔感もある室内。
ご主人の桂 寿男さんは、もともとはレストランのコックさん。
「永福町大勝軒」が大好きで、自分でも簡単に作れるだろうと思い、試作してみたのだそう。
「そしたら、全然美味しく作れなかったんです! ラーメンをなめてましたね」と桂さん。
そこで、他の永福町大勝軒系のところで修業を積んだそう。
ならば、本家で働けばいいのでは?と思うかもしれません。僕も実際に食べに行った時にスタッフ募集みたいな張り紙を見たことあるんですが、身長が170㎝以下じゃないと雇ってもらえないんです!(今は分かりません)桂さんは背が高いから、明らかにムリ 汗
さて、券売機を拝見すれば「ラーメン」の種類が小、中、大、特大と4つに分かれています。
麺の量の差ですね。小が150g、中が225g、大が300g、特大が450g。
今回は中をオーダー。セルフシステムの水を持ち、席で待ちます。
そして登場。おお、香りが素敵です!!
「豚骨とカツオ、煮干しは5種類なんです」
瀬戸内海の煮干しは香り、長崎~九十九里とかは脂のノリなど、それらを組み合わせてバランスを取っているそう。
スープを一口飲めば、まさに“だし”感が伝わる煮干しテイストなんです。なるほど、これが、「煮干しだし醤油ラーメン」の方向性かぁ♪
煮干しラーメンだと今、ブームの煮干しがっつりというかセメント系的な感じに思われてしまうので、あえての、煮干しだし醤油ラーメンなんですね。
優しい醤油風味もいいですね。そこに、カメリアラードで熱々仕上げ!!
寒い時期には特にぴったり。じわじわと発汗してくる不思議なテイスト。
そして作り方をじっくり伺えば伺うほど、びっくりしました!
スープは6時間ほどかかるだけでなく、清湯なのに通常と異なるコクがあると思ったら、前日に一定量を残して、翌日にフレッシュなスープと合わせる、いわゆる“つぎたしスープ”だったのです。
「しかも、毎日火入れをしないといけない作り方なので、定休日も来て仕込みをしないといけないんです」
大変……。
「しかも、この作り方だと、朝4時にはお店に来て、仕込みを始めないと間に合わないので」
超大変……。
なので今は営業時間は11時~14時45分L.Oのみ(水曜定休)。
それでも、終わったら片づけてまた仕込みをして、で、もう大変そう。
ちなみに麺は永福町大勝軒系ならではの、草村商店の中細麺。
「他の麺だと、やっぱりこの味は出ないんですよね」
確かにパツン系とは真逆であって、でも伸びてる感じとは違う、独特のしなやかさというかふわっと感。
そんな真剣さもあり、とても美味しい1杯を堪能しました!
「ありがとうございます。でも、まだ70点」
ええええ???
なんでも、醤油だれの熟成がまだ足りないそうで、あと3~4か月くらいしたら、90~100%になるはずだとか。(すみませんが、今で充分、美味しいんですけどー)
「いえいえ、まだまだです。この味を極めるには、人生1回じゃ、とても足りない」と桂さん。
桂さんは来世に生まれ変わっても、永福町大勝軒系のラーメン店主です!
(それか、JAZZ好きらしいので、JAZZミュージシャンかも♪)
煮干しだし醤油ラーメン 桂
千葉県我孫子市若松170-6
047-161-2461
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/wR8FUjI9V3WXDnh)をご確認ください。
はんつ遠藤
1966年生まれ東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方をひとりでこなし、取材軒数は、1万軒を超える。全国のご当地グルメの知識と経験を活かし、ナムコのフードテーマパーク事業にも協力し、中国・上海の日式ラーメンテーマパーク「拉麺競技館」の名誉館長も務める。『日経トレンディ』にてトレンドリーダーにも選出。「週刊大衆」「JAL(Web)」などに連載中。また近年はYouTube【はんつTV】で飲食店を紹介している。ラーメンWalker百麺人も。岐阜高島屋「はんつ遠藤の全国ご当地ラーメンリレー」監修。
著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』『おうちラーメンかんたんレシピ30』『おうち丼ぶりかんたんレシピ30』『東京やきとり革命!』など27冊。
百麺人(https://ramen.walkerplus.com/hyakumenjin/)
本人Twitter @hantsendo
YouTube【はんつTV】 https://www.youtube.com/channel/UCgu9hL89X4k5mWpz8BetHjw
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