auの新料金ブランド「povo」の発表で、値下げ競争で鼻先ひとつ抜きん出たKDDI。「20GB+2980円」の新料金において、通話定額を必要としていない人に、さらに500円安い選択肢を提供したこと、1回200円で1日データ無制限というトッピングも、povoならでは特徴となる。ここでは3月から一斉に開始される3社の新料金のうち、povoを選ぶ際の注意を考えてみたい。
不要なものを外して低料金化
データの大量利用にも対応
povoの料金プランについては、「月500円安いカラクリ」などと不都合な点があるかのように語られることもあるが、ドコモ「ahamo」やソフトバンク「SoftBank on LINE」にはあった1回5分までの通話定額が付いていないぶん、その2サービスより500円安い月2480円(以下、すべて税抜)から利用できる。1回5分までの通話定額は月500円で追加も可能で、その場合は2サービスと同額になる(かけ放題はプラス月1500円でこちらも合計は同額)。
一部には「通話料が別」という点を誤解し、通話がまったくできないと誤解している人もいるようだが、通話機能はもちろんあり、通話定額が基本プランに含まれていないだけの違いと言える。今や3大キャリアで通話定額を切り離せない料金プランは、すでに新規加入が可能ななかには無い。一般の固定電話でも通話料金は従量制。長い電話の歴史から見れば、通話定額がセットのほうが特殊な部類だ。
そもそも普段はLINEなどの通話機能などを使い、電話番号による発信はほとんどしない人にとっては、通話定額がなくて支払額が下がるほうがありがたいはず。
通話のほかにもコニュニケーション手段がある現代においては、電話番号による発信は減って当然なので、povoの料金設計はむしろユーザー寄りと言えるだろう。通話定額を強制的に組み込んだ料金プランこそ、平均支払額の上乗せを狙っているのかと考えてしまう。
それでも、povoの月20GBという通信量は多すぎると思うかもしれない。その点でもKDDIでは、UQ mobileで3GBで月1480円というプランを用意している。UQ mobileなら店頭での契約もでき、他社よりもバランスのよい選択肢を提供していると言えよう。
さらに筆者がpovoで気に入っているのは、200円の追加で利用できる「24時間データ使い放題」のトッピング。毎日適用したとしても6000円で、基本プランの2480円を足せば8480円。毎週末だけ利用するとしても月9回で合計4280円。
auには、月6580円でスマホではデータ使い放題の「使い放題MAX」(3月開始)があるが、テザリングでは月30GBという制限付き。povoにはそういった制限はない。データの大量利用を考えているユーザーにとっても、povoが魅力的な選択肢になりえるところも評価したい。
端末は今あるiPhoneなどをそのまま使えそう
料金面などで納得し、povoを選ぶことになったら、次に注意する点はスマートフォンの対応。当初は端末のセット販売はないとのことなので、自分でなんらか用意する必要がある。そしてauやUQ mobile以外からの乗り換えでもSIMの交換だけで、そのままスマートフォンが使えるかという問題がある。
これはauネットワークの格安SIMを使う場合と同じで、「au VoLTE」への対応と周波数帯の対応が問題で、一般的にはドコモやソフトバンクのネットワークよりも端末を選ぶ“クセ”があると言われている。また、povoでの詳細な対応端末の情報はまだ発表されていないが、基本的にはUQ mobileやauネットワークを使うMVNOの格安SIMと同等と思われる。
iPhoneの場合はシンプルで、国内に正規に出回るiPhoneなら周波数対応は問題なく、SIMロックさえ解除していれば、iPhone 6sの世代以降ならau VoLTEの対応も問題ないはず。そして、au版のiPhone 8以降はSIMロック解除の必要がないのもpovoでも同じになるはずだ。実際にUQ mobileの動作確認端末を見ても、最新のiPhone 12シリーズを含めて、すべて対応が記されている。
Androidはau VoLTE対応と対応バンドに注意
Android端末は機種が多いだけに個別に確認が必要となる。要点としては「au VoLTE」非対応機種では電話番号を使った音声通話がまったく使えないこと。そして、ドコモやソフトバンクのAndroidスマートフォンの場合、その多くはauネットワークのプラチナバンドへの対応がなく、エリアに制限が生じるということだ。
対応バンドについては、どの機種もバンド1に対応するので使えないわけではないが、auのプラチナバンドであるバンド18/26に対応していない機種ではエリアが狭くなる可能性がある。ただし、筆者の経験の範囲内ではバンド18/26非対応の機種をauネットワークで使った場合でも、著しく狭くなるわけではない印象だ。
一方、au VoLTEの問題だが、国内で正規に販売されているSIMフリー端末のほとんどが対応し、意外にもドコモ/ソフトバンクが販売するAndroidスマートフォンの多くでも、SIMロック解除すればau VoLTEに対応する。しかし、対応しない機種も確実に存在する。
確認方法としては、こちらも現時点ではUQ mobileでの動作確認端末が目安になる。UQ mobileの対応表で「○」なら問題がないが、「△」のほとんどはバンド対応でエリアに制限が出そうな機種、「×」「-」は使えない機種となる。
対応しない機種のほとんどはリストに非掲載なのでわかりにくいが、筆者の知る限り、SIMフリー機の比較的最近のモデルではモトローラ「moto g7 power」、ファーウエイ「HUAWEI nova lite 2」などが非対応。2020年登場の「TCL 10 Lite」は当初非対応で、アップデートで対応した。au VoLTEの問題は重要なので、端末を流用する際はまず最初に確認しておくべき項目となる。
公開当初、記事タイトルが間違っておりました。お詫びして修正いたします。(1/24 19:00)
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