このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

業界人の《ことば》から 第409回

DX銘柄2020を選出

日本企業は「手なり」文化から脱却し、出口としてのDXを“特化した領域”で活用せよ!

2020年10月12日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

今回のひとこと

「デジタルは、手段でなく、前提となる。社会やビジネスの基盤がデジタルに変化することで、デジタルやオンラインが付加価値ではなくなる。オフラインとオンラインの主従関係が逆転した社会が訪れる」

(DX銘柄評価委員会の伊藤邦雄委員長)

DXに対する取り組みを評価して選定

 経済産業省と東京証券取引所は、2020年8月に「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」を選定した。「DX銘柄2020」には35社が選ばれ、「DX注目企業2020」には21社が選ばれたほか、「DXグランプリ2020」として、小松製作所とトラスコ中山の2社が選ばれた。

 DX銘柄は、東証一部、二部、ジャスダック、マザーズの東京証券取引所の上場会社約3700社を対象に「デジタルトランスフォーメーション調査2020」を実施し、エントリーした535社を対象に選定を行ったものだ。

 DX銘柄は、「企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業」とし、DX注目企業は、「DX銘柄に選定されていない企業のなかから、DXの裾野を広げていく観点で、総合的評価が高かった企業や、注目されるべき取組を実施している企業」を選定。選定作業は、有識者によって構成されるDX銘柄評価委員会が行う。

DX銘柄2020一覧

DX注目企業2020一覧

 そして、「DXグランプリ2020」は、「DX銘柄2020」選定企業のなかから、企業の競争力強化に資するDXの推進を強く後押しするため、業種の枠を超えて、デジタル時代を先導する企業を選定したものだ。

DX銘柄評価委員長の弁

 「DXグランプリ2020」の受賞企業である小松製作所とトラスコ中山の2社の受賞理由について、DX銘柄評価委員長を務める一橋大学大学院経営管理研究科の伊藤邦雄特任教授は次のように語る。

 「コマツは、すでにコムトラックスにおいて、日本の製造業のデジタル化の先駆け企業として、高く評価されてきた。さらにDXに磨きをかけ、DXを駆使したスマートコンストラクション事業では、顧客の課題にとどまらず、業界および社会の課題の解決にも目を向けている。施工のオペレーションの最適化によるコトと、機械の自動化および自律化のモノの2軸を結合して、安全で生産性の高いスマートで、クリーンな未来の現場を実現しようとしている姿勢は高く評価できる。外部環境の変化に即応する強靭で、フレキシブルな収益構造とESG課題の解決の両立を、高いレベルで実現している。『ダントツバリュー』を追求し、顧客や代理店、パートナー、地域社会、コマツの現場をダントツでつなぎ、まさに全体最適の経営を実現している」

 「トラスコ中山は、『勘と思い込みは時として致命的な失敗を犯す。データの分析と活用により、次のステージに進むための礎としたい』との経営トップの認識が、同社のDXの基礎にある。様々なソースから大量のデータを収集し、AIなどを活用してデータを分析し、それを同社の独創力としてサービスに転換するサイクルを、柔軟に回すことに成功している。経営ビジョンのなかにDXを位置づけ、企業風土として、ITおよびDXが根づいている。同社のビシネスモデルは、DXによって、革新し続けている点が評価された。DX施策をKPI化し、具体的なKPIをリアルタイムで経営判断に活用している点も評価される。自社物流センターを持ち、ビッグデータやAI、IoT、RPAといったデジタル技術との相性を活かし、持続的に進化させている。AIを活用したダイナミックプライシングなども、革新的な生産性向上に寄与している」

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ