まだレッドハットとは競合と言える立場ではない
だが、日本においては、マーケットへの訴求ができていないことが大きな課題だと自ら指摘する。
「SUSEに対するイメージは大きく3つにわかれる。Linuxの商用ディストリビュータであるという25年前のイメージ。次に、大学時代にopenSUSEを使っていたことがあり、とても懐かしいという反応。そして、最近ということであれば、SAP HANAで使用されているOSということである。まったく知らないと言われるよりはいいが、SUSEの最新の状況をきちっと伝える必要がある」とする。
「日本の顧客にオーブソースプロジェクトへの参加を要請したところ、驚くほど多く人に興味を持ってもらっている。だが、どのオープンソースプロダクトを、どのように使えばいいかがわからないという声も多い。SUSEでは、自社製品と、サポートしているオープンソースプロジェクトの製品を組み合わせて、顧客の課題を解決するフレームワークを提供していく」と述べた。
SUSEソフトウエアソリューションズジャパンでは、顧客の課題を9つに分類した「ソリューションバリューフレームワーク」を提示。「インフラ管理をシンプルにし、様々な環境において、ITを中断なく実行するにはどうすればよいか」、「クラウドとオンプレミス、ベアメタル、仮想化インフラ間でワークロードとアプリケーションを移動するにはどうすればよいか」、「セキュリティを失うことなく、接続されたエッジデバイスの高度に分散されたネットワークをどのように活用できるか」といった具体的な課題を示しながら、それらを解決するためのソリューションや、同社のコーポレートビジョンに照らし合わせた取り組みを提案。「これらのフレームワークを通じて、ベンダーロックインがない、真のオープンソースの柔軟なテクノロジーを提供する。これを活用することが、企業が、ビジネスの変化に追従するための方策になる。新たなビジネスも、スモールスタートで開発がすぐに始められ、費用を抑えられ始められ、イノベーションにつなげられやすい」などと、その特徴を強調する。
だが、その一方で、「いまは、レッドハットと競合と呼べる立場にはない」とも語る。
日本における体制面での差はまだまだ大きい。
「だが、同じ土俵で戦うことは考えていない」とし、「たとえば、ハイパフォーマンスコンピューティングでは、armを視野に入れた提案を行っていく。レッドハットとは異なる提案をしていく」などとした。
体制を刷新して、日本での再スタートを切ったSUSE。まずは、日本において、SUSEが持つ特徴を、いかに打ち出すことができるかが鍵になる。
この連載の記事
-
第606回
ビジネス
テプラは販売減、でもチャンスはピンチの中にこそある、キングジム新社長 -
第605回
ビジネス
10周年を迎えたVAIO、この数年に直面した「負のスパイラル」とは? -
第604回
ビジネス
秋葉原の専門店からBTO業界の雄に、サードウェーブこの先の伸びしろは? -
第603回
ビジネス
日本マイクロソフトが掲げた3大目標、そして隠されたもう一つの目標とは? -
第602回
ビジネス
ボッシュに全株式売却後の日立「白くまくん」 -
第601回
ビジネス
シャープらしい経営とは何か、そしてそれは成果につながるものなのか -
第600回
ビジネス
個人主義/利益偏重の時代だから問う「正直者の人生」、日立創業者・小平浪平氏のことば -
第599回
ビジネス
リコーと東芝テックによる合弁会社“エトリア”始動、複合機市場の将来は? -
第598回
ビジネス
GPT-4超え性能を実現した国内スタートアップELYZA、投資額の多寡ではなくチャレンジする姿勢こそ大事 -
第597回
ビジネス
危機感のなさを嘆くパナソニック楠見グループCEO、典型的な大企業病なのか? -
第596回
ビジネス
孫正義が“超AI”に言及、NVIDIAやOpen AIは逃した魚、しかし「準備運動は整った」 - この連載の一覧へ