完全ワイヤレス型イヤホンで、ノイズキャンセル機能付きというと、昨年まではごく一部の高級機だけが持つ機能だった。しかし、今年に入ってから、輸入モノのいわゆる“中華イヤホン”と呼ばれる製品では、割と当たり前に搭載する機能になっており、1万円を切るような価格帯の製品も出てきた。まだ、玉石混交という感触もあるが、中には想像以上の音で感心させられるものもある。
もうひとつの動向として、新興ブランドだけでなく、スマホ端末のメーカーが自身のブランドを冠して提供する“多機能機”のリリースが目立っており、ノイキャンの搭載が進んでいる点が挙げられる。例えば、HUAWEIやGalaxyなどは積極的なブランドと言えるが、ここで紹介するOPPOもそんな姿勢を示すもののひとつだ。
初の完全ワイヤレスで、高性能なハイブリッドANC搭載機
「OPPO Enco W51」は、OPPO初のワイヤレスイヤホンといううたい文句。初ではあるが、アクティブ・ノイズ・キャンセリング機能を持つ多機能機だ。またハウジング内側(耳側)の人感センサーを使って、取り外すと自動で曲の再生が一時停止するなど、なかなか充実した機能を持っている。それでいて、実売価格は1万円台半ば。昨年までの常識では、ノイズキャンセル搭載機の実売価格は3万円前後がひとつの基準だったので、実に半額程度で買えるようになったと捉えられる。
形状は「AirPods Pro」のようにアンテナとマイク部分が下に伸びたタイプ。この軸の部分がイヤホンハウジングに連結しているあたりにタッチセンサーがある。ここをタップすることで、曲の一時停止やノイズキャンセルのオンオフ、ボイスアシスタントの起動などが可能になっている。
試用機のカラーはフローラルホワイト。バッテリーケースは正方形に近い形で、曲面を生かしたものとなっている。樹脂製のイヤホン本体/充電ケースとも表面はつるつるとしていて、コストを抑えつつも高級感のある雰囲気だ。若干滑りやすかったり、指紋が目立ったりする面がある。また、タッチ操作の機種全般に言えることだが、複数タップした際の入りが確実でないのは、気になる人には、気になる部分かもしれない。
ノイズキャンセル性能は十分な効果を感じられるもの。例えば扇風機の前で聴いても風の音をよく切ってくれる。なお、ノイズキャンセリング機能は、左側のセンサーをダブルタップすることでオン/オフできるが、外音取り込み機能は装備していないようだ。しかしながら、自動車が常時行き来している、幹線道路沿いに立ってテストした際には、周囲に定常的にある騒音は抑えつつも、車が来ているかどうか、あるいは周囲で何らかの物音が聴こえたといった際には分かるようになっていた。
ノイズキャンセリング方式は、片側3つのマイクを使ったハイブリッド型で、35dBの遮断性能を持つという。高級機種ではなく、この価格帯でFB/FFの両方式を搭載したANCを持つのはまだ珍しい。IP54の防塵防滴にも対応。さらに、伝送方式は、一般的なリレー式ではなく、安定性や遅延の面で優れた、左右独立式とのこと(aptXには対応しないので、クアルコム以外のチップだろう)。非常にコスパに優れた製品であるのが分かる。