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ワーケーションはぜひダムへ!業務改善士の沢渡あまねが語るダム際ワーキングの魅力

2020年08月25日 09時00分更新

文● 沢渡あまね 編集●大谷イビサ 写真●沢渡あまね

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太田川ダムがワークスペース利用に協力的な背景

-では、こうしたダム際ワーキングのようなものをうまくやるコツを教えてください。

沢渡:なにより重要なのはダム際ワーキングに適したダム選びです。どのダムでも良いかというとそうではなく、以下の条件を満たしているダムを正しく選ぶのがポイントです。

(1)大自然の中の、オープンで涼しい環境がある
(2)安全に走りやすい道路が整備されている
(3)食事するスポットやキレイなトイレがある
(4)テーブルや椅子、駐車場など作業できる環境がある

ものすごい山奥の、鬱蒼とした山道を走らなければたどり着けない秘境ダムもありますし、トイレもなくコンビニはおろか自動販売機すらないダムもありますから、うかつに行くと、食料難民になります(苦笑)。

-なんかそのイメージあります。気持ちいいかもしれないけど、仕事できるのかなと(笑)。

沢渡:その点、私のホームダムともいえる太田川ダム(静岡県森町)は上記の4つすべてを満たしています!遠州森町スマートICから20分程度と新東名からのアクセスも良く、遠方からも行き来しやすい。屋根付きのあずまやが3棟あるため、雨でも安心です。

なにより、太田川ダムは管理者がダム際で仕事をすることに協力的でしてね。当たり前ですが、ダムは本来働く場所ではありません。個人レベルの作業は問題なくとも、大勢でグループワークやディスカッションをするとなると、一般の観光客に迷惑をかける可能性もありますし、ダムインフラ本来の維持管理業務の妨げになるようなことがあってもいけません。その点、太田川ダムは理解がありました。

-協力的なダムがあるということ自体が意外でした。

沢渡:私がダム際ワークを始めてSNSで発信していたら、ダムの「中の人」である袋井土木事務所 河川管理課の方が声をかけてきてくれましてね。「どんどんやってください」「むしろ、ダム際ワーキングをカルチャーにしたいです!」ってな具合で。最初、怒られるのかと思いましたが(苦笑)で、今回の「ダム際で働いてみた」企画につながります。

今年の3月に、太田川ダムの管理をしている静岡県袋井土木事務所とアクティ森は、太田川ダムを観光資源として活用していこうということで協定を結んでいます。昨年は地元企業や自治体とともに「太田川ダム管理10周年記念イベント」を開催したのですが、1000人以上の来場者で大盛況だったそうです。

-山奥のダムに1000人はすごいですね。

沢渡:こうして両者がコラボレーションして、太田川ダムの魅力発信やインフラツーリズムの促進を進めている矢先で、私が「ワークスペース」という役割を提案したところ、平日における交流人口の増加が期待できそうということで、前向きな協力をいただいたのです。これに地域企業であるNOKIOOが加わり、太田川ダムの「ワークスペース」として活用する関する先駆者として、促進に向けた取り組み、具体的な活用方法の発信にチャレンジしました。

袋井土木事務所 河川管理課の浦田氏。ダム際ワーキングに意欲的

ダム際ワーキングのコツ。どんな仕事がよさそう?

-ダム際ワーキングでの仕事はどんな感じで進めればよいのでしょうか?

沢渡:まずは効率性や、日常の仕事をうまく回すことを目的としすぎないことですかね。ダムは生活動線にある場所でもなく、電波の状況も悪い箇所もまだまだあります。「通常作業をこなす」よりも「普段と違うことをする」「オフィスでは得られにくい発想を得る」くらいの気持ちで取り組むのがよいかもしれません。

私は執筆や事務作業などの日常の仕事もダム際でやっていますが。静か、かつ自然に囲まれた空間で集中できます。電波が悪いところは、かえって電話の邪魔やスマホいじってしまう誘惑などから解放され、それはそれで作業に集中できるのですよ。デジタルデトックスにも効果的です。

-私であれば自然の中でモクモクと執筆作業ですかね。確かに、ネットワークにつながらないとかえって集中できますね。

沢渡:デバイスやツールにも工夫をしてみましょう。ちょっとしたデバイスやツールが、ダム際のようなオープンな環境での仕事の効率やモチベーションをあげます。

たとえば、私は音声コミュニケーションデバイスとしてヤマハの「YVC-200」を使っていますが、これは音声・ビデオ会議の強い味方です。野外のオープンな空間でもノイズキャンセリングの技術で、雑音を拾いにくく、話者の声を拾いやすい。スピーカ機能も優れているので、今回のような複数人数で、一人はリモートで参加という環境でも高品質な音声コミュニケーションが可能です。

YVC-200を使用しているため外でも音声はクリア

 

-地産地消というか、ヤマハも浜松の会社ですよね(笑)。

沢渡:よくぞ気づいてくれました(笑)。あとは携帯・折り畳み式のホワイトボードも役立ちます。ちょっとしたメモ書きにも重宝なので、野外ワークの強い味方です。あとは、お気に入りスポットをみつけたら、すぐに仕事場にできる便利な折り畳み椅子や虫よけスプレーや虫刺されの薬も重要なアイテムです。

ホワイトボード便利

-最近、政府もワーケーションとか言い出していますが、こうしたダム際ワークってどんな効能があると思いますか?

沢渡:ワーケーションをする組織や人としてのメリットとしては、普段とは違う非日常的な環境で仕事をすることにより、オフィスでは出にくいオープン&ポジティブなアイデアが出やすい点が挙げられます。もちろん、チームビルディングにも効きますし、 エクササイズやリフレッシュメント、ストレス解消にもなりますね。あとは、環境を選べば意外とセキュアです。

一方で、ワーケーションを受ける地域のメリットもあって、平日にも関わらず、食事、宿泊など地元にお金が落ちるのは大きいでしょう。 観光やお祭りイベントと違って、天候にも左右されにくいですし、他地域の人たちとの交流することで、自地域にない、専門知識やアイデア、ソリューションを得ることもできます。なにより地域のファンが増えます。

-ずっと在宅勤務で外に出ていないので、なんだか興味出てきました!

沢渡:おっ、さっそく行きましょう! 次回のスケジュールは……っと。

太田川ダムの前で記念撮影! 次はみなさんもダム際ワーキングにチャレンジ!

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